313.最近の話題から (2004/02/11)

自己申告によるアワードの受賞が相次いでいるようですが(他人事のようですが)、最近の話題をいくつか振り返ってみたいと思います。


国税庁確定申告書作成コーナーが再開したそうですが、今年もとんでもないトラブルを起こしたようです。自分の申告書が勝手に全国のあちこちにばらまかれては、SSLによるセキュリティーも何の役にも立ちません。


このシステムに関しては、昨年利用した際「21.確定申告書作成コーナー (2003/02/23)」で書いたことがあり、今年の出来映えはどんなものかなと期待しておりました。


昨年は、ページを切り替えるたびに何分も待たされ、挙げ句の果てにサーバーから切り離されました。今年はレスポンスに関しては改善されたようですが、その後がいけなかったようです。おそらく昨年は10人同時に印刷する事が起こるほど、システムのレスポンスが速くなかったのでしょう。


ただ、全国から一斉に同じ時期に使うシステムで、10人同時に印刷する事が発生しない訳がなく、昨年のレスポンスに関しても同様ですが、システムの要件をまとめる時点でトラブルが発生することが確定していたのではないでしょうか?


確定申告書のデータを入力し終えてプリンターから印刷された申告書を見て、収入欄に200億円なんて書かれていたらびっくり仰天しそうです。


200億円と言えば、青色発光ダイオードの特許裁判の判決が思い出されますが(無理のある展開)、予想される製品の売り上げ額1兆2000億円となれば、その発明の業績の対価も過去にない高額になってしまいました。


売り上げに対する特許の貢献が50%利益率が20%特許の貢献に対する会社と発明者の割合が50%ずつらしいのですが、結果は600億円を対価として受け取り事が出来ると計算されたのでした。


会社側から提出された特許による収入は、経費を聞けば15億円の赤字になるとのこと。もしそれが本当なら、どこかの会社に特許ごと売ってしまった方が良さそうです。株主への説明にも、この発明によって赤字になりそうだと書かれているのでしょうか?


またどこかの経済団体の会長さんが、200億という賠償金額を聞いて、「そんな裁判をしていると日本の企業の活力が失われてしまう」と言ったそうですが、この発明による利益の計算が正しいかどうかを論じるべきであります。200億という金額が高額であるのは特許による利益が巨額になったからです。


200億円の支払方法は別途協議がされるわけですから、企業の活力が失われると言う安易な発言は控えてもらいたいものです。もし、問題点を指摘するなら、特許による利益の計算方法の問題、例えば「部品の利益率は裁判官の思うほど高くないよ」と言うような指摘をしてもらいたいものです。


さて、話題が変わってソニーのクリエTH55クリエオーガナイザーが注目を集めています。長い間置き去りにされていたPIM機能をブラッシュアップした、意欲的な作品と言えましょう。


ただ個人的には、手書きの文字を張り付けることが出来るというのは抵抗があります。なぜなら手書きの字が汚いからです。手書きの字が読みやすければ、紙の手帳でも良いのです。時々、分厚いシステム手帳に細かい字でびっしりと紙面を埋め尽くしている人を見かけます。このようなことができる人は何もPDAの力を借りなくても、自分だけの手帳を作り上げていくことが出来るでしょう。


しかし、私のように自分で書いた文字が既に暗号化されているような場合、書いた直後ならまだしも、しばらくしてから見直すと何を書いたか自分でも分からない事があります。このような場合、大抵は読み返すこと自体が苦痛なのです。


ですから私にとって、PDAの最大のメリットは手書きしなくても良いことなのです。今更手書きの汚い字をきれいなフォントの上に重ねる気にはなれません。


ただ、PIMに新しい改革をもたらそうとする今回の製品は評価に値すると思います。これをきっかけにPIMが本来の価値を取り戻し、PDA購入の一番の理由になることを期待します。


PIMは最もパームをコンピューター的に使うことが出来る機能なのです。ですから、もっと既存のコンピューターの技術を応用すれば、飛躍的な発展が望めるのではないでしょうか。既存のPIMデータを継続して利用でき、なおかつ革新的なPIM機能を提供する製品の登場を期待しております。