223.宇宙から万里の長城は見えなかった (2003/10/17)

中国の有人宇宙飛行が成功して、内外で様々な反応が見られるようです。中国の驚異の技術力を賞賛する声がある反面、軍事的な脅威としても捉えられているように、なかなかインパクトのあるニュースであったと思います。


中国はまだ発展途上国であると言っているようですが、旧ソ連や米国が有人飛行に成功した時には既に大国であったわけで、そのような経済的に発展しきっていない状態でも、宇宙に飛行してしまえる辺りがやはり大国なのでしょうか?


ところで、戻ってきた飛行士が、「万里の長城は宇宙からは見えなかった」と言ったそうです。万里の長城は、長らく宇宙から見える地球上の唯一の建造物とされてきましたが、宇宙は思ったより遠かったと言うことでしょうか。あるいは、近年風化が進んできていると言われている長城が、予想以上に崩れてきているのかもしれません。


宇宙からでも見えると言われると、「さすがは万里の長城だ!」と感心していたわけですが、根拠が無くても断言されると信じてしまうものです。そういえばだいぶ前になりますが、似たような話があったことを思い出しました。


まだ野球場に球速の表示がなかった頃、ある野球解説者が、当時最速と言われていた江夏投手のピッチングを見ながら、


時速200キロ新幹線より速い球を投げられるのは、江夏投手だけでしょう!」


と言っていました。その当時はその解説者だけでなく、一般的にそう信じられていたのです。最近になっていろいろなスポーツの球速が測定されるようになって、野球のピッチャーの球が時速200キロメートルを超えるとは誰も思わなくなりましたが、昔は遠ざかる新幹線にボールをぶつけられるのは、江夏投手だけだと信じていたのです。


データがすべて信じれるわけではありませんが、データのないものはさらにいい加減であることが多いようです。


さて、中国が誇る万里の長城が宇宙から見えなかったでは済まされません。次の飛行ではドデカイ望遠鏡でも搭載するのでしょうか?

220.いいメカはシンプル! (2003/10/12)

10年ぐらい前までは、全自動コンパクトカメラのことを、「BCカメラ」と呼んでいました。(注釈: 現在ではこの表現は相応しくないと言うことで、各カメラ会社はコンパクトカメラで統一しているようです。)


観光地でウロウロしていて、観光客に「スミマセーン。写真を撮っていただけますか?」と呼び止められて、「BCですから上の大きなボタンを押すだけですから!」と言われた経験はどなたでもあると思います。長い間、BCカメラと言う呼び方を一般的に使っていましたが、使わなくなったもう一つの理由があります。


BCカメラは、シャッター以外の操作を不要にして簡単に撮影が出来る様になっています。昔は確かに、操作を簡単にしただけのシンプルなカメラでした。つまりカメラそのものがBCであった訳です。


ところが、BCカメラも年々自動化が進み、露出やピント合わせ、ストロボの自動発光やフィルム装填など、全てをこなすようになって人々は気づいたのです。BCカメラがBCなのではなくて、使う人間がBCなのだと!BCカメラは、逆に賢いカメラだと気づいたのです。


そうなると、人に写真を撮って貰おうと頼む場合、「BCカメラですからよろしく」では、あなたがBCであると言っているようなものですから、失礼してしまいます。そんなこんなでBCカメラという呼び方は使われなくなっていったのです。


よく、機能をてんこ盛りにし過ぎて、操作が複雑になってしまっている家電があります。しかし、使い手の立場に立って企画・設計されたものは、機能が複雑でも操作はシンプルなものがあったりします。


先ほどのBCカメラの場合でも、シャッターを押すだけの操作で、測光・測距・ストロボ発光など数十のシーケンスが自動的に完了するのです。複雑な動作を指一本の操作でこなすところに、シンプルな操作を実現する賢さを持ち合わせています。


シンプルなパームを考える時も、同じように考えることが出来るのではないでしょうか?パームに機能を追加していっても、操作が複雑にならず直感的で分かりやすければ、シンプルであると感じるのではないでしょうか?


昔、自動車の排気ガス対策の技術開発が盛んだった頃、富士重工のテレビCMで「いいメカははシンプル!」と言うコピーがありました。同じ機能ならシンプルな方が良いと言うことです。ハードウェアもソフトウェアも、シンプルな方が故障も少なく拡張性もあります。


「シンプル」「スマート」と言い換えることが出来るかもしれません。


Palm’s Simple is Smart!!

219.ニッポニア・ニッポン (2003/10/10)


桃花鳥が七羽に減ってしまったと新聞の片隅に

 写りの良くない写真を添えた記事がある

 ニッポニア・ニッポンという名の美しい鳥がたぶん

 僕等の生きてるうちにこの世から姿を消してゆく




さだまさし 前夜(桃花鳥)より

日本産のトキの最後の1羽がついに死んだそうです。日本の野生絶滅として登録されていた、トキが本当に全滅したことになります。(野生絶滅は、野生には存在せず絶滅危惧種よりさらに悪い状態のものを指すようです。)


大正時代までは日本中にいたそうですが桃花鳥と呼ばれるようにピンク色の羽に高値が付いて乱獲され、絶滅に至ったようです。保護のもとに、繁殖を試みれば容易に数を戻せると考えたが、結果は人間の思うようにならなかったと言うことでしょう。


我々は、時として安易な行動に出ます。何とかなると思っている内は良いのですが、何とかなるかどうかはやってみなければ分からないことも多いのです。今現在でも、多くの絶滅危惧種がいます。


ニッポニア・ニッポンだけの話ではありません。人類も、全体的に見れば危機的状態にあると言えます。エイズの感染者の増加や、人口の増加飢餓地球の砂漠化等、既に手遅れになっているかもしれません。


約20年前にトキが7羽になってから、繁殖の努力の甲斐もなく時が過ぎ、最後のトキの寿命が尽きたのです。人類の知恵は、ことトキに関しては無力だったようです。


人類が、自ら絶滅危惧種に登録する様な事にならないことを、願うしかありません。

213.カルフールに参上 (2003/10/04)

10月1日に関西地域で2店目となる、カルフール箕面店がオープンしました。最初の週末となる今日の午後、早速行ってみることにしました。


箕面と言っても旧市街ではなく、新しく住宅が開発されたり船場の繊維問屋が新しい店を構えたりしている、比較的最近開発された地域にあります。


フランス製のスーパーマーケットとは、どのようなものか興味津々で多くの人でごった返す店内に入ってみました。


宣伝では、広々とした店内にゆったりとした商品配列と言われていましたが、さすがにオープン記念の人の多さでそのような印象はありませんでした。また、インラインスケートを履いた店員が素早く駆けつけると言うのも、店が込んでいるせいか一度見かけただけで、まだその機動力を発揮するまでには至っていないようでした。


期待してPDA関連の売り場を探したのですが、その関連ではパソコンや電子辞書止まりで、PDAの売場は見つけることが出来ませんでした。


フランスで、カルフールがどのような店舗展開をしているのか知らないので、その特徴に関して箕面店のオープンに関する宣伝広告に頼るしかないのですが、USならばウォールマートが展開しているのと同じ様に、エブリディロープライスを特徴としているようです。


オープンセールもあり、全体的な価格がどの程度であるかがわかりにくいのですが、売場の商品毎に最低価格のものに表示を付けて、比較をし易いように工夫をしていたりするので、それなりに価格にこだわっていおるように見えましたが、少し上品な印象を受けました。


イトーヨーカドーが関西に来たときにも感じたのですが、安さをオブラートで包んで表現したと言う感じで、関西で見慣れた露骨さが無く、その為それほど安くないのではないかと思えてしまいました。


それから一番気になったのは、取り扱う商品の範囲が広いために、それぞれの商品におけるバリエーションが少なく、比較して納得して購入することが出来ないのではないかと思いました。


それぞれの売れ筋商品は押さえてあるのでしょうが、比較の対象となるメーカーやグレードの商品がそばに展示されていない様です。売れ筋の商品を徹底的にリサーチして、結果的に売り上げに寄与しない商品を廃した結果でしょう。


売り上げに寄与しない商品として、PDAが扱われなくなったとしたら寂しい限りです。


一般的な電化製品に関しても、いろいろな商品の中で結局売れるのはその中の一部である事は分かりますが、最初から売れ筋商品しか置かれていないと、選択する余地が無く、また商品選びの楽しさも味わえません。


カルフールの2階に関してはあまり印象が良くなかったのですが、食品売場はフランスらしく、ワイン売場が充実していたりシードルを売っていますし、チーズ売場もバリエーションが豊富でいい感じでした。また、周辺のモールにも魅力的な店を誘致しており、また訪れたいと思わせる魅力があります。


全体としては、これまでのダイエー、ジャスコ、マイカルなどと少し趣が異なっていて楽しかった事を、申し添えておきます。10月16日には尼崎にもカルフールがオープンするそうで、周辺の既存店には脅威になるでしょう。

209.木の温もり (2003/09/30)

「119.ウッドコーンスピーカー」で紹介した製品が、11月についに発売されるようです。asahi.comに「カバ材で振動板、温かい音のスピーカー ビクターが発売」と言う記事が掲載されています。木の温もりにして感じることが出来る、楽しい製品だと思います。スピーカー単体の製品としては販売されないのが残念ですが、今後人気が出てくれば可能性があるかもしれません。


今は多くの製品に金属樹脂が使われています。最初の内は光沢もあり、表面の加工によって様々な面様に出来ますから、高級感を出したりしっとり感を出したりと自由自在です。しかし年月が経ってくると、酸化や浸食されたりして、新品の時の輝きが失せてきます。


一方、木の材質には、工業的に作られたものとは違った、自然の恵み的な暖かさを感じます。勿論、木も年月が経てば古くなってきますが、うまく枯れた感じになると、年月がかえって風格をもたらすのです。


そもそも、木は伐採された直後よりも、松・杉の場合等は300年ぐらい経った方が堅くなり、強度が増すと言われています。また、楽器に使われた場合は、音を出すことによる振動によって、内部の水分含有量が均一になり、音質が良くなると言われています。木で作られたものは、大切に使えば永く使い続けることができると言うことでしょう。


永くと言えば地球上で一番大きな生物と言われているものに、カリフォルニアにだけ群生する「セコイア」、通称ジャイアントセコイアがありますが、樹齢は3000年に及ぶものもあるそうです。3000年程も生きていると、同じ木が落雷に遭うことが何回もあるそうですが、それにも関わらずしぶとく生き続けているそうです。


当サイトのアドレスに使われている「レッドオーク」は、アメリカ北東部が原産の広葉樹(ハードウッド)で、日本で言えばナラに相当する利用範囲の広い樹木です。ウイスキーの樽に使う「ホワイトオーク」に似ていますが、少し赤みがかかった色で、なかなか暖かみがあって私の好みです。


オランダ製の家具には、オーク材で作られ、黒っぽい塗装を施して仕上げられたものがあります。色合いに加えて堅い材質により、重厚感のある質感が特徴です。


木材と言えば、南洋材のラワンのように伐採によって資源が枯渇する可能性が言われ続けているものもありますが、レッドオークは自然に生長している量が伐採量を上回っているそうで、これからも安心して利用できそうです。


最新のテクノロジーを使った電子機器も楽しいですが、太古の昔から人類が利用してきた木の感触を改めて確かめるのも、また楽しいのではないでしょうか?