661.メイヨークリニック受診日記2: ようやく予約にたどり着き (2008/04/02)

最近は、日本でも高度医療を担う病院では、掛かり付けの医師からの紹介状がなければ、基本的に診察を受けることが出来なくなりました。


USではもっと古くから掛かり付け、すなわちホームドクター制度が一般的になっていましたから、メーヨークリニックで診察を受けるのにも、紹介状なるものがなければならないものと思っておりました。


ところが、ここロチェスターでは他のUSの地域とは制度が異なっており、、メイヨークリニックが地域医療の最前線に位置づけられていると言うではありませんか。


勿論、日本で言うところの医院的な施設がないわけではありませんが、その数はかなり少なく、まず病気になったらメイヨークリニックに電話を掛けて予約を取るというのが、ロチェスター流のようです。


そもそもメイヨークリニックは、複数棟のビルからなる巨大病院ですが、入院設備はなく外来専門だそうです。一方、入院施設のある病院としては、1マイル程離れたところにある同系列のセント・メリー・ホスピタルがあります。


電話帳を調べてみると、確かに外来の予約受付番号の案内があります。金曜日の午後に電話をしてみると、最初は内科の診察を受ける必要があるらしく、来週の月曜日の朝一に初診フロアに来れば診察してもらえるとのこと。予約時間がはっきりしていないことが気に掛かりましたが、とにかく診察してもらえそうなので一安心です。


またその時に、メインビルディングの1階にある、International Departmentで登録手続きをしなければならないと言うので、場所を確認することも兼ねて、金曜日の夕方に行ってみることにしました。


確かに、ビルの1階に銀行の窓口のように綺麗なカウンターがあり、簡単な書類を提出すると登録手続きをしてくれて、日本の医療機関と同じ様なプラスチックの診察券を受け取ることが出来ました。


メイヨークリニックでは、海外からやって来る患者が診察を受けるときに、無料で通訳の方を用意してくれます。医学用語には難しい言葉が多く、聞き間違いは命取りになりかねませんから、お願いすることにしました。


さて、ここまでは順調だったのですが、月曜日に早速問題が起こります。


朝7時半に内科のフロアで待つこと3時間。予約が取れていると思ったのは間違いで、誰かが予約をキャンセルすることを見込んで、キャンセル待ちをすると言うことだったようです。ゆったりとしたソファーの並び待合室は快適ですが、さすがに3時間ともなると退屈です。


すると、カウンターから呼び出しがあり、「午前中はキャンセルが出そうにないから、もう一度午後1時に来れば、1時半ごろには診てもらえるだろう。」と言うので、いったん会社に戻り、午後また内科にやって来て待つこと30分。


すると今度は、「明日の午後1時15分に内科の予約が取れたので、明日出直しなさい。」とのこと。


喜んで良いのか悲しまなくてはいけないのか、よく分からないままに病院を後にしたのでした。

660.メイヨークリニック受診日記1: 予告 (2008/03/30)

先週、東京方面に出張に行ってから体が熱っぽくてだるくなり、3日ほどほとんど寝込んだ状態になっておりました。


てっきり風邪をひいたものと思い込んでいたのですが、熱も体に感じるほどは実際には熱くなりません。頭痛もありますが、それよりも目の上、特におでこの辺りだけが異常に巨大化しているような感覚がありました。(ガキデカになったか?)


本当の風邪にしたら咳もほとんど出ません。そこで週末になって出した結論は、これは重度の花粉症。真偽のほどは確かめられませんが、唯一の根拠は、クリーニング屋のおばさんが昨日言っていたこの証言。


「今週は花粉きついわ~、クシャ~ン!!」


テレビのニュースで、煙の如くたなびく杉の花粉の映像を観ることがありますが、確かにあの勢いで放出されれば、かなりの濃度で大気中を舞うことでしょう。想像するだけで、鼻の奥がかゆくなってきます。


私の花粉症は、それ程年期が浅いわけではありません。春先の杉花粉だけでなく、ほぼ年中何らかの花粉の攻撃に敏感に反応しております。


ですから、これまでにも医者に診てもらったことがありますし、いくつかの民間療法も試してみました。しかし、今年も「桜が咲いた」、いや「鼻汁が垂れた」と言うことは、未だ改善を見ていないと言うことでありましょう。


そう言えば2年前、アメリカの先端医療なら治るのではないかと、淡い期待をもって訪れたメーヨークリニック


全米の数ある医療機関の中で、必ず五指に入ると言われる有名な医療チームに掛かれば、私のアレルギー性鼻炎など、あっという間に解決してくれるに違いないと、はるばるUS中西部ミネソタ州の片田舎にあるロチェスターという街に行ったのでした。(実は出張で行ったついでに診てもらっただけ、、、)


以前にメイヨークリニックについては、「568.ミネソタ見聞録7: ミネソタにメイヨークリニックあり (2006/01/22)」で少し書かせていただいたことがあります。


今回はその時の受診記録を、Palmに残っている日記をもとに再現してみたいと思います。


ただし、あくまでも患者の立場での経験に基づいておりますので、医学的な記録としては必ずしも正しいとは限りません。どちらかと言えば、海外体験記としてお読みいただければありがたいです。


「アメリカの医療は本当に進んでいるか?」「なぜ海外医療は高いのか?」などの疑問にも、一患者として意見を書かせていただこうと思っております。


それでは、「メイヨークリニック受診日記」の始まりです。

651.台湾出張4: 台北半日観光 (2007/12/06)

短期の出張で、しかも今回は2泊3日ですから、好きな観光をする時間などほとんどありません。最初は、台北なら世界4大博物館に数えられる故宮博物院に行かなければと思っていたのですが、ゆっくり朝食を食べたこともあってあっさり諦め、近場の國父紀念館 (中山メモリアルホール)に行ってみることにしました。

孫文を讃えたこのホールには立派なブロンズ像があり、その前に2人の衛兵が見張っているのですが、この衛兵交代が素晴らしいの一言に尽きます。

陸・海・空軍から選抜されたエリート兵と言うだけのことはあって、その動きの精密さには驚かされます。1時間ごとの衛兵交代の儀式は、約20分ほどの間微塵の動きの乱れもなく、まさに機械仕掛けの人形の如し!

バッキンガム宮殿の衛兵交代もそれは見応えのあるものでしたが、こちらのは人間業を越えたいわば曲芸に近いものを感じました。幾度となく銃身をたたきつけられたのでしょう。石のタイルが、一部だけ浮いてしまっています。

記念館の中には、その他図書館やホールなどがあり、様々な催しが行われるようです。面白かったのは、ホールを取り巻く回廊で、ストリートミュージシャンや大道芸のコンテストをやっていたことで、観客がそれぞれの芸人の評価をしていきます。

一糸乱れぬ衛兵交代をやっているすぐ隣で、ヒッピー姿でギターをかき鳴らし歌っている若者や、おへそを出しながら腰をくねらせフラダンスを踊っている女性たちとの対比が、ものすごく新鮮でした。

さて、ろそろ空港に向かわなければ乗り遅れそうです。取りあえず台北の中心にある台北駅までMRTで行ってみました。すると駅前に電気店が集まったビルがあったので思わず入ってみました。

パソコンや携帯電話を売る店の中に、PDAと書かれた店があったので覗いてみました。Palmがあるか聞いてみたところ、ショーウィンドーからPalm TXE2を出してきました。

TXは2GBのSDカード付きで$10700NT(約4万円)E2$7000NT(約28000円)でした。Treoもあったのですが、こちらは携帯電話契約付きでのみ販売するそうです。

台湾の携帯電話は、日本より小型のものが多いように思いました。機能が限定されているのかも知れませんが、日本でも小さい携帯電話は需要がありそうな気がします。

さて、空港まではバスで1時間ぐらいと聞いていたのでそろそろ乗り場を探さなければと思いながら、今年台北まで開通したという高速鉄道(台湾高鐵)にも乗ってみたいと思い、高鐵の駅の方に行ってみました。

空港は桃園と言う街にあり、高鐵では台北から南に2つ目の駅になります。この駅に止まる列車の本数は少ないのですが、駅で時刻表を見てみるとあと20分ほどで出発する列車がありました。

そこで自動販売機で切符を買おうとしたのですが、どうもその機械は中国語表示のみだったようです。時々何のことだか見当が付かない選択肢が現れますが、そこは漢字の雰囲気でエイヤッと!無事一号車の指定席券を手に入れました。$160NT也(約640円)

この台湾高鐵はご存知の通り、一部日本の新幹線技術が導入されていて、700T型と呼ばれる車両は新幹線の700系とほぼ同じ形をしています。内装では、700系と空調の吹き出し口の形状や車両間のドアがボタンを押さなければ開かないことが異なる程度で、2列+3列の座席はほぼ同じです。

台湾では車は右側通行ですから地下鉄も右側を走っていましたが、高鐵だけは左側通行でした。日本製の新幹線車両は右側通行ですれ違う事が出来ないのでしょうか?

桃園駅からはシャトルバスに乗って約15分で空港に到着します。空港には近い将来、MRTが乗り入れる計画があるそうですから、高鐵が空港ー台北間の主要な交通手段にはならないのでしょうが、十分快適な移動をすることが出来ました。

空港の第2ターミナルは近代的で、他のアジア諸国の空港と比べても十分な設備を持っているように見えました。出国手続きをし、あまり厳しくないセキュリティーを抜けると、日本はもうすぐです。


最後に余ったお金でお土産を買いながら、この旅で出会った人たちや風景を、思い出として心に留めるのでした。(やっぱりおじさんにはびんろう屋のお姉さんが一番印象的でしたな。)

650.台湾出張3: お弁当と台北夜市 (2007/12/03)

さて2日目です。昨日と同じ地下鉄でオフィスに向かいます。


今回訪問した会社には受付があるのですが、ここにいる2人の若い女性たちがなかなか楽しい人たちで、中国語と英語と日本語が入り乱れた奇妙な会話が繰り広げられるのです。


今日のテーマは昼ご飯のメニュー。今日もまたお昼にランチボックスを取ってくれるそうで、弁当屋のメニューを持ってきて説明をしてくれます。そこには数種類の弁当が書かれていて、それぞれに入っているおかずの説明が書かれています。


せっかく台湾に来たのですから台湾料理を食べたいと伝えると、弁当はすべて台湾料理だと言います。女性たちはせっかく日本から来たのだから、いろいろな種類の料理を食べて欲しいと言ってくれます。


そこで、メニューの中の一つの弁当に入っているおかずについて、WEBの翻訳を使って日本語に変換して、紙に書いて持ってきてくれました。何と親切な人たちでしょう。


ふむふむ、なるほど「弁当A」に入っているのは、これらのおかずなのですね。



  • あぶり肉
  • 焼けにしゃがみます
  • 塩漬け魚

2つ目のおかずを食べることが出来るかどうか少し心配になりましたが、まあ何とかなるでしょう。


少しお話をしている間に餃子の話題になりまして、日本では焼いた餃子がポピュラーだと言うと、台湾では焼き餃子は面倒でうまく焼くのが難しいから、茹で餃子がほとんどだと言うことでした。台湾家庭料理には作り易さが重要なのかも知れません。


お昼ご飯のお弁当もおいしく頂き、別にその後無性にしゃがみたくなることもなく安心して仕事をしておりました。夕方になって、今度は晩御飯に餃子を持って来てくれました。(食べてばかりの様ですが、その間にちゃんと仕事はしております。はい。)


しかも、焼き餃子茹で餃子の両方を注文してくれていて、いっしょに酸味の効いた野菜スープも付けてくれています。その会社のエンジニア2人に台湾の事をいろいろと聞きながら、おいしく頂きました。


明日の飛行機までに時間があったので、午前中に観光で回れるところはないかと聞いたところ、台北の休日の朝は遅いとのこと。科学史博物館なるものがJCBのパンフレットにあったのでその評価を聞いたところ、その類は台中に立派なものがあって、台北のものは今一だとのこと。それではと他の博物館の情報を聞いて明日に備えたのでした。


夜も8時ぐらいになってきたので、彼らと別れてオフィスを出ました。さあ、これで仕事もすべて終わりました。(あまり仕事をしていないような気もするが、、、)


台北の夜と言えば、やはり夜市を見逃すわけにはいかないでしょう。地下鉄ですぐ隣の駅に景美夜市というのがあるようなので行ってみました。規模が小さいため、あまり観光客は来ないようですが、それなりの賑わいで面白いです。昔行った韓国の慶州の市場を思い出しました。


一往復してみて、その面白さにもっと大きな夜市に行きたくなり、台北最大と言われる士林夜市にも行ってみることにしました。


MRTの劍潭駅で下車してびっくり。細い通りを埋め尽くすほどの人出です。さすがに観光客もたくさん来ていて、日本人の団体さんもいらっしゃるご様子。さっきのローカルな夜市も良いですが、これだけの規模のものも見応えがあって良いです。夜市には、食べ物屋と衣料品関係が多いのですが、その他雑多なものが売られています。


人混みの中、結局大したものも買わない内に、夜市の端まで30分ぐらいでたどり着き、MRTの隣の駅である士林駅からMRTでホテルに帰りました。


金曜日の夜と言うこともあって、MRTは大混雑。台北の人たちは夜遅くまで外出すると見えて、かなりの人数の駅員がホームに出て乗客の整理をしています。あれだけ夜市に人出があるのですから、MRTが混むのも当然でしょうか。


金曜日の夜は、台北が一番エネルギッシュになる時間なのかも知れません。

649.台湾出張2: 長かった一日目 (2007/11/25)

台北空港が近づき、飛行機が高度を下げ地表の様子が見えて来たときに第一印象は、田んぼの大きさが日本と同じだと言うことでした。空港ビルは最近のアジア各国がハブ空港化を競い合っているのに較べると、この空港はいささかくたびれた感じがします。


物価がよく分からないので、ひとまず$2000NT(約8000円)の現金を空港ビルにあるATMで入手しました。相手先のオフィスビルに直行しなければならないので、まずタクシー乗り場に行って、インターネットで調べた中国語の住所を印刷した紙を見せます。確かにタクシードライバーには英語は通じないようです。


その女性のドライバーは、途中日本の演歌のカラオケCDを掛けながら約1時間かけて台北の南西、新田市にある目的のビルに到着しました。空港では$1000NT~$1300NTと聞いていたのですが、$1500NT(約6000円)近くかかりました。走っている車はトヨタや三菱が多く、乗ったタクシーもトヨタのカムリでした。


そこにはハイテク関連企業を集めた2つのビルが並んでおり、なぜかビルには住所でしょうか、205と207の名前が付けられています。


変わっているのがここのエレベーターで、行き先が上か下かをボタンで押すのではなく、数字のキーで行く階を入力すると、何号機のエレベーターに乗るかが指示されます。


例えば「Aに乗れ」とか「Dに乗れ」と指示され、そのエレベーターの扉が開きます。エレベーターの籠にはドアの開閉ボタンしかなく、目的の階に自動的に止まるようになっています。シンドラー社製でした。


確かに、エレベーターを効率よく制御するには、上か下かだけでなく行き先階まで分かっている方が都合が良いのでしょう。ただ、乗ってから気が変わって違う階に行くことが出来ません。後から聞いてみると、このようなエレベーターは台北でもここにしかないそうです。


さて、仕事も一段落付いて晩御飯を食べる所を探さなければならないと思っていたところ、相手先の方が弁当を用意してくれたのでそれを頂きました。


いろいろなおかずが入っていて、薄めの味付けですがボリュームはたっぷり。それぞれが台湾の家庭料理に出てくる総菜らしく、日本人には特に中華料理と意識させない味付けでした。


さて、初めての国で空港からオフィスにタクシーで来ただけですから、右も左も全く分かりません。ホテルが何処にあるのかもよく分かりませんから、あまり遅くならない内に地下鉄の路線図を確認して、夕方6時半頃オフィスを出ます。


最寄りの地下鉄の駅まで歩いて送ってくれたのですが、その徒歩5分ほどの距離でも噂に聞く「びんろう屋」が2軒もあったりします。オランダやベルギーなら飾り窓と見紛うような、大きなウィンドーと派手な格好をした若い女性の組み合わせは、日本から来たばかりのおっさんには刺激的です。


地下鉄はMRT(Mass Rapid Transit)と呼ばれ、世界で一番信頼性の高い地下鉄に認定されたとのこと。確かに、時間に正確で、駅の設備やICチップを使ったトークン、駅の案内や車両のどれをとってもすばらしい地下鉄だと思いました。


乗った車両にはジーメンス製のものと川崎重工製がありましたが、連結器の形式や消火器の取り付け位置などに違いがある以外はほとんど同じに見えました。


車両の幅が広い替わりに天井は少し低いようです。走行感覚は良好です。かなりの駅数(15個ぐらい)を乗っても$35NT(140円)ですから、比較的安いと思います。


車内のマナーは大変良く、優先座席の利用も守られている上、優先座席以外でも譲り合う場面を幾度となく見かけました。駅のエスカレーターで立つ人は右側、急ぐ人は左側というのも徹底していましたが、MRT以外ではそれ程厳しくはないそうです。車内で携帯電話を使うことは許されていますが、飲食はペットボトルの水でさえも御法度です。


MRTの車内で、老人はエスカレーターを使わずにエレベーターを使うように促すポスターを見かけました。たしかにMRTの駅にあるエスカレーターは、他の場所にあるエスカレーターよりもスピードが速いように感じました。


さて、ホテルに一番近い市役所前の駅で降りて、途中にある店を見ながらホテルに向かいました。この辺りは再開発で建てられた三越系デパートなどが並んでいます。世界で一番高いビルである台北101にある101モールを覗いてみると、如何にも高級な店が並んでいます。


「こりゃ場所違いだわい」と思いながら、少しはずれのコンビニにビールを買いに行きました。500mlの缶ビールが160円ほどでした。その後ホテルにチェックインし、長かった一日目が終わったのでした。