649.台湾出張2: 長かった一日目 (2007/11/25)

台北空港が近づき、飛行機が高度を下げ地表の様子が見えて来たときに第一印象は、田んぼの大きさが日本と同じだと言うことでした。空港ビルは最近のアジア各国がハブ空港化を競い合っているのに較べると、この空港はいささかくたびれた感じがします。


物価がよく分からないので、ひとまず$2000NT(約8000円)の現金を空港ビルにあるATMで入手しました。相手先のオフィスビルに直行しなければならないので、まずタクシー乗り場に行って、インターネットで調べた中国語の住所を印刷した紙を見せます。確かにタクシードライバーには英語は通じないようです。


その女性のドライバーは、途中日本の演歌のカラオケCDを掛けながら約1時間かけて台北の南西、新田市にある目的のビルに到着しました。空港では$1000NT~$1300NTと聞いていたのですが、$1500NT(約6000円)近くかかりました。走っている車はトヨタや三菱が多く、乗ったタクシーもトヨタのカムリでした。


そこにはハイテク関連企業を集めた2つのビルが並んでおり、なぜかビルには住所でしょうか、205と207の名前が付けられています。


変わっているのがここのエレベーターで、行き先が上か下かをボタンで押すのではなく、数字のキーで行く階を入力すると、何号機のエレベーターに乗るかが指示されます。


例えば「Aに乗れ」とか「Dに乗れ」と指示され、そのエレベーターの扉が開きます。エレベーターの籠にはドアの開閉ボタンしかなく、目的の階に自動的に止まるようになっています。シンドラー社製でした。


確かに、エレベーターを効率よく制御するには、上か下かだけでなく行き先階まで分かっている方が都合が良いのでしょう。ただ、乗ってから気が変わって違う階に行くことが出来ません。後から聞いてみると、このようなエレベーターは台北でもここにしかないそうです。


さて、仕事も一段落付いて晩御飯を食べる所を探さなければならないと思っていたところ、相手先の方が弁当を用意してくれたのでそれを頂きました。


いろいろなおかずが入っていて、薄めの味付けですがボリュームはたっぷり。それぞれが台湾の家庭料理に出てくる総菜らしく、日本人には特に中華料理と意識させない味付けでした。


さて、初めての国で空港からオフィスにタクシーで来ただけですから、右も左も全く分かりません。ホテルが何処にあるのかもよく分かりませんから、あまり遅くならない内に地下鉄の路線図を確認して、夕方6時半頃オフィスを出ます。


最寄りの地下鉄の駅まで歩いて送ってくれたのですが、その徒歩5分ほどの距離でも噂に聞く「びんろう屋」が2軒もあったりします。オランダやベルギーなら飾り窓と見紛うような、大きなウィンドーと派手な格好をした若い女性の組み合わせは、日本から来たばかりのおっさんには刺激的です。


地下鉄はMRT(Mass Rapid Transit)と呼ばれ、世界で一番信頼性の高い地下鉄に認定されたとのこと。確かに、時間に正確で、駅の設備やICチップを使ったトークン、駅の案内や車両のどれをとってもすばらしい地下鉄だと思いました。


乗った車両にはジーメンス製のものと川崎重工製がありましたが、連結器の形式や消火器の取り付け位置などに違いがある以外はほとんど同じに見えました。


車両の幅が広い替わりに天井は少し低いようです。走行感覚は良好です。かなりの駅数(15個ぐらい)を乗っても$35NT(140円)ですから、比較的安いと思います。


車内のマナーは大変良く、優先座席の利用も守られている上、優先座席以外でも譲り合う場面を幾度となく見かけました。駅のエスカレーターで立つ人は右側、急ぐ人は左側というのも徹底していましたが、MRT以外ではそれ程厳しくはないそうです。車内で携帯電話を使うことは許されていますが、飲食はペットボトルの水でさえも御法度です。


MRTの車内で、老人はエスカレーターを使わずにエレベーターを使うように促すポスターを見かけました。たしかにMRTの駅にあるエスカレーターは、他の場所にあるエスカレーターよりもスピードが速いように感じました。


さて、ホテルに一番近い市役所前の駅で降りて、途中にある店を見ながらホテルに向かいました。この辺りは再開発で建てられた三越系デパートなどが並んでいます。世界で一番高いビルである台北101にある101モールを覗いてみると、如何にも高級な店が並んでいます。


「こりゃ場所違いだわい」と思いながら、少しはずれのコンビニにビールを買いに行きました。500mlの缶ビールが160円ほどでした。その後ホテルにチェックインし、長かった一日目が終わったのでした。