471.Palm Alternative Part 3 (2005/02/08)

■コンピューターマニア型


過去に消え去ったコンピューター・アーキテクチュアーは少なくない。これまでにも幾多の試練を乗り越えてきているので、別に驚くに値しないと思っているが、これほど終焉が早く訪れるとは予想外であった。


どちらかと言うとハードウェアが手に入るうちは活躍の場があるのではあるが、コンピューター・アーキテクチュアーの変遷を味わうのも重要な要素だと考えるため、次に登場する画期的なハンディ・コンピューターを待ち望んでいる。


ポケットPCに転向しそうなものであるが、あまり先進的でないと考えているため興味を示さない。


次に注目を集めるのは、本格的に通信コンピューター融合した製品であると確信しているので、これまでのコンピューターの知識だけでは足りないと考え、高周波発信回路の勉強を始めている。


■物忘れ型


物忘れが激しいがゆえに、パームをどこに置いてしまったかをよく忘れるため必要な時に手元になく、あまりパームを持つメリットを享受していない。


あるいは、パームに付き合いのある人の名前と住所を入れておけば物忘れしなくなるので有り難いと、せっせと住所録を入力したのは良いが、名前を見てもアドレスを見ても、一向にそれが誰であるのかを思い出せないことがあまりにも多いので、結局ほとんど役に立たなかったようだ。


挙句の果てに、パームを部屋の中で見つけても、それをいつ買ったか、何の為に使うものだったかさえ忘れてしまい、友人に見せて何であるかを尋ねるも、「めっちゃ古い携帯だな」と言われて納得している。


■日記愛好型


実はこのタイプが、一番パームがなくなると困ってしまうのである。なんせ過去の記録を検索することに喜びを感じているため、これまでシコシコと日記を綴ってきたのであるから、今更これを無駄にする訳には行かない。


自分の過去の記録は明日の道しるべとばかり、週末の計画を立てるときには、去年の同じころに何をしていたかを見なければ決断できない。


もしパームが消えてしまうようなことがあった時は、すぐさま同じようなPIM機能を持った製品に乗り換える覚悟ができているが、パームからのデータ・トランスファー・ツールが必ず用意されると高をくくっている。


しかし、世間ではパームユーザーはごく少数であったことを、心に留めておくべきだった。あらゆる携帯電話からのトランスファーは考慮されても、「パーム」の文字はその製品のマニュアルにはなかったのである。


■アドレス帳愛好型


このタイプも同じ運命かもしれない。すでに手作業で移し変えることが不可能なほどの大量のデータが、パームのデータベースとして構築されてしまった。


携帯電話を交換するときは、お店で一瞬のうちに転送してくれるのだから何とかなると思っていたが、パームには一切そのような機能がないことに初めて気付いてしまった。


アドレス帳の情報は命であるので、捨て去る訳には行かない。どうしたものかと思案しているうちに、パームの本体がついに起動しなくなってしまった。


仕方がないので、パーム・デスク・トップから紙に印刷して、昔愛用したシステム手帳に挟み込んでしのいでいるが、携帯電話のアドレス帳を使いこなしているやつが恨めしい。

470.Palm Alternative Part 2 (2005/02/07)

■プログラマー型


プログラムを作るうえでは、デザインキットさえあればパーム製品がこの世から消えようとも問題はないのであるが、如何せんフリーウェアを公開しても、だんだんダウンロードする人が減って来たのには寂しさを隠しきれない。


そういえばチップカードHPマシンの時も同じ運命だったなと、すでに悟りの境地に入っていることも多い。


新たな分野でソフトウェア開発を目指す元気がある若いうちは良いが、引退を決断するのはつらいものがある。パームの世界に一番深く入り込んでしまったために、パーム愛好者の中でも特に新たな道を目指すことが困難であるが、それならばなおさらのこと引け際が一番大切であろう。


優秀な人材であるので、新規分野での新たな活躍に期待したい。


■電子機器大好き型


今一番はまっているのがiPodを始めとするメモリーオーディオ販売店に行けばいつでも新製品に溢れていて、思わず最新機種を衝動買いしそうになる。この売り場にいるだけでとても幸せな気持ちになるのはどうしてだろう?


そう言えば昔パーム売り場に毎日のように通った時も幸せだったなと思い出し、久しぶりにパーム売り場を探してみるが、電子辞書は見つかったものの、パームがなくなっていることに始めて気付いた。


「栄枯盛衰の世の中だな」とつぶやくのだが、その原因を作っているのが自分であるとは一向に気付かず、今日も新製品を見つけ出しては衝動買いしたい気持ちを抑えるのに必死である。


■電卓マニア型


なんせキーボードを押しまくるのが趣味であるから、パームの場合も壊れてしまうのが人より早い。これまでもキーボード付きのパームが発売される度に買い換えてきた。


小さい機器を持つことだけで満足するのではなく、それを頻繁に操作することに喜びを感じるため、iPodのようなすっきりした筐体には全く興味がない。


今使っているパームが壊れてしまったらどうしようと不安になることもあるが、関数電卓に立ち戻るという最後の手段があるだけにそれ程悲観的ではない。


しかし本心は、パームOS採用スマートフォンが一刻も早く日本で発売される事を待ち望んでいる。


■ゲームマニア型


ゲーム機は全盛とは言わないまでもそこそこ活況を呈しているので安泰ではあるが、パームと言う限られたハードウェアで、世界中から探し出してきたゲームソフトを楽しむ醍醐味をなかなか捨てる訳には行かない。


これまでに集めに集めたゲームソフトは既に数え切れないが、これらがコレクションとして価値を持ち続けるためには、動作するパーム機がなければならないと言う危機感がある。とりあえず3・4台の完動品を中古でも良いから集めておいて、大切に使い続けようとしている。


普段はPSPやゲームボーイでゲームをひたすら楽しんでいるが、特別な日、例えば自分の誕生日とかパーム記念日(そんな日あったか?)にはパーム機を取り出してきて、取って置きのパームウェアのゲームをしながら至福のひと時を過ごす。


■ソフトウェア収集マニア型


なんせ集めまくったパームウェアの数は膨大であり、これまた動かなければただのファイルに過ぎない。コレクターとしてはかなり本格派であるため、せっかく集めたパームウェアを後世に伝えなければならないと言う使命感が強い。


全てのソフトウェアの目録を作成し、作者や入手した日、特徴や実行の方法を記載して、文化財としての価値を保全することを心がけている。


ただ、個人で動作するパームを永遠にメインテナンスしながら保存することに限界を感じているため、どこかの公的機関文化遺産として保存してくれるところを探しているが、国会図書館太秦映画村では断られてしまった。


今度はロンドンの大英博物館に当たってみようと考えている。

469.Palm Alternative Part 1 (2005/02/05)

■PDA愛好型


だいたいパームを好きで使っていた訳ではないので、今パームがじり貧になっていることすら知らないことが多い。今のパーム機の調子が悪いのでそろそろ買い換える時期かなと思っていたのだが、偶然にも携帯電話もぶっこわれてしまったので、ついでにPDA売場を覗いてみた。


すると以前より狭くなった売場に辛うじて並んでいる機種はどれも結構な値段になっていて、そこでやっとパームと言う名の製品が売場にないことに気付くが、販売店がパームを取り扱わなくなったものと勝手に納得し、ハードディスク内蔵のザウルスを買って行った。


■ソニー愛好型


電気製品はソニーでなきゃイヤッ!ソニー製の洗濯機が発売されたら、発売日に並んで買うことを夢見ている。CLIEがなくなってもソニーは永遠に不滅だと思っているので、あまりパームにはこだわらない。


ソニー・エリクソンの携帯電話とバイオUがあれば、CLIEがなくなってもそれほど不自由はしない。サイズ的に同じ部類に入るPSPも実は欲しいところであるが、ソニー・コンピューター・エンターテインメント製純正ソニー製と見なすことが出来ず、心の中で葛藤している。


しかし、今使っているCLIEが本当に壊れた時は間違いなくPSPを手に入れ、「It’s
a SONY!」とあっさりソニーの製品として認めてしまう。


■パーム・ワン愛好型(旧パーム・コンピューティング愛好型)


いまだにパームV系を使い続ける愛好者も多く、またTungstenZireTreoと選択肢も意外と多い。そもそもパーム・ワンが日本市場から撤退したときから日本では買うことが出来なくなったので、CLIEが日本で売られているかどうかはさほど重要ではない。


そう言う意味では安泰なのであるが、一番気になるのはやはり日本語環境であろう。日本市場から全くパーム製品がなくなりパームを使い続ける人が減れば、J-OSが継続され続ける保証はないと不安に思っている。


しかし、パーム・ワンが製品を出し続ける以上は使い続ける覚悟は出来ているので、英語版パームでも我慢するし、中国語韓国語バージョンでも使いこなすつもりである。


■手帳使いこなし型


パームのPIM機能を愛した為にパームユーザーになったのであるが、パーム・ワンもソニーも一向にPIM機能の改善をしてこなかったため、最近ではパームを使い続けることに疑問を感じ始めていた。


そこで、今年からは紙の手帳も併用して使い始めたのだが、小さな文字を書き込むことの面倒くささにうんざりしていたところ、1ヶ月も経たないうちからどこかでなくしてしまった。自分はもう紙の手帳に戻れない体になってしまったことを実感するのであった。


仕方がないので、今新品の時の定価よりプレミアムが付いて高くなってしまった中古のパームを、あちこち探し回っている。

468.Palm Alternative 予告 (2005/02/03)

3年目に突入しましたPalmTrotterを記念いたしまして、特集をお送りしたいと思います。題して、"Palm Alternative"


Palmが日本市場から撤退し、CLIE製品の製造が中止されていく昨今、Palmコミュニティーにおきましても、製品がなくなる前に在庫を購入しておこうとか、オークションで程度の良い中古を手に入れておこうといった流れが、徐々にではありますが目に付くようになってまいりました。


「まだまだCLIEには頑張って欲しい!」「なぁにPalmならアメリカに行けばいくらでも売っているよ!」、と言ってはみるものの、「CLIEが本当になくなったらどうしよう?」、とか、「消えてしまった製品を、いつまでも使い続けることはできないだろうな。」、などと思われておられる方も多いのではないでしょうか?


記念の特集にしては縁起でもないと思われるかも知れませんが、「備えあれば憂いなし!」、もしもの時に備えておくのは、危険でいっぱいの現代社会においては常識です。


そういえば昨年11月に、パーム系ビッグサイトで大きな話題をさらった事件がありました。Project Palm機長さんが書かれた、「必死か?本気か?」と言う記事に、ふふふPalmふふふさんが、「PalmOSという名の幻想」で応えられ、さらにマサトレマサ村上さんが、「他のOSを載せたっていい。」で締めくくられたのは、記憶に新しいところです。


さらにこれらの記事をよく読んでみると、パームコミュニティーも一枚岩ではないと言うことが見えてきます。Palmの価値をPalmOSに見出す人、Palmの価値をハードウェアに見出す人、Palmの価値をパームウェアに見出す人、エトセトラ、エトセトラ。


だいぶ前になりますが、「パーム愛好者分類表」という雑記を書いたことがあります。それぞれのパーム愛好者の方が、何にPalm
Alternativeを求めて行かれるのか、考えてみたいと思います。


Palmが日本から消滅した時、パーム愛好者と言われた人は、いったいどこへ行ってしまうのでしょうか?



Where have all the Palm Users gone?

Long time passing

Where have all the Palm Users gone?

Long time ago

Where have all the Palm Users gone?

Girls have picked them every one

Oh, when will they ever learn?

Oh, when will they ever learn?

Original Lyrics From

"WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE"

by Pete Seeger

449.パームが甦る日10: 手のひらのインテリジェンス (2004/12/31)

パームがメモリー・デバイス無線LANを搭載した時、携帯電話やパソコンと互角の戦いが出来るようになるでしょう。その時、パームがモバイル端末として君臨する携帯電話にあらためて挑戦すると同時に、コンピューターのダウンサイジングが再び始まる可能性を秘めているのです。


この筋書きとは別に、今の手帳のユーザーにパームを使ってもらうためには、いったいどうすればいいのでしょうか?紙の手帳を越えるためには、何が今のパームに足りないのでしょうか?


一言で言うならばインテリジェンスが足りないのではないでしょうか?単に紙の手帳のフォーマットを焼き直しただけの今のパームには、インテリジェンスは感じられません。


「手で書いた文字を認識するのだから、インテリジェンスはあるはずだ」とおっしゃっても、それは機械好きだから言えること。紙の手帳は、認識なんかしなくても、書いたとおりの文字をそこに残せるのです。電子化のためのインテリジェンスには意味がありません。


「文字がデジタル情報になるからパソコンに転送することもできるよ」、では手帳のユーザーをパームに振り向かせることは出来ないのです。


ここからは私の希望です。パームに入力されたデータを、メモリーの中でデーターベースに一元管理して、すべてのアプリケーションでひとつのデータベースを参照するようにするのです。


これまでにも予定表とToDoを融合させる試みなどがありましたし、データ同士をリンクでつなぐ方法などはありました。ただこれは,使う人がすべてを管理してやらなければなりません。使う人がデータの構造を考えなくてもパームが自動的に行い、手帳を電子化するメリットを発揮するのです。


入力するときはひとつのデータだったものが、時間が経つと関連のあるデータが自動的に結びついている様な感じでしょうか。入力したデータが、予定表のどこに書かれているのかを意識しないデータベース構造が、パームの可能性を飛躍的に高めるのではないかと考えています。


入力する場合は、「1/5 12:00 会議」と入力すれば、予定であると認識してアラームの必要性や優先度を、必要に応じて自動的に質問するのです。また、電話番号らしき数字の羅列が入力された場合は、それがアドレス帳かメモ帳であることを判断して、さらに必要な情報があれば入力の必要性を問い、情報を揃えてくれるようなものを考えています。


キーワードを項目ごとに設定しておき、例えば時間なら、「12:00ー13:00」、「1200-1300」、「12.00-13.00」等は同じく予定表の入力だと解釈し、アドレスにある人の名前や電話番号が入力されたら、自動的にそのデータにリンクを張るなど。将来の時間を一緒に記入すれば予定表として、過去の時間なら日記として自動的に区別し、実はデータが格納されるのはひとつのデータベースで、どのアプリケーションからでも利用できるようにするのです。


データ・プロセッシング・マシンであるコンピューターにとって、データ構造は重要な意味を持ちます。データをどのように記録しどのようにして取り出すかは、コンピューターの能力を最も大きく左右する要素です。


すべてのアプリケーションで共有できるデーター構造を持つデータベースを再構築し、アプリケーション間の境界を取り去ることによって、パームの機能を柔軟で拡張性のあるものに変えることができないものでしょうか?


次に文字入力方法です。グラフィティはよい技術でしたが、手で書くより楽にはなりません。電子化する事によって手書きより楽に入力できなければ意味がありません。


グラフィティの欠点は、文字ごとにルールがあるため文字の数だけ覚えなければならないことです。ルールが必要な場合でも、1つか2つの基本的なルールだけを絞るべきでしょう。


グラフィティの技術を応用するのなら、何十通りもの書き方から選べるようにするとか、その人の書くパターンを文字ごとに記憶するなどの柔軟性が必要でしょう。


ここでは具体的な文字入力方法を示すことは出来ませんが、直接仮名入力を含め、手帳として十分な文字入力方法を提供することが、PDAが甦るための必要条件でしょう。


店頭でパームを試したとき、まず文字入力に快感を覚えるようでなければなりません。売場で文字入力に魅力を感じなければ新規のユーザーを増やすことが出来ず、結果として手帳には勝てないのです。


これを読まれた皆さんは、もっと画期的なアイディアをお持ちではないですか?


私は固く信じています。あと数年すれば、モバイルIT機器の主流はPDAになると。なぜ私がそう考えるのか?


それは、PDAが長い間使い続けた紙の手帳と、同じサイズのIT機器だからです。人間の手のひらの大きさは、そう簡単には変わらないのです。


「PDAの時代は終わった」と言うのは誤りであると断言いたしましょう。PDAの時代は、まだ始まっていなかったのです。この特集の最後に、私は大声でこう叫びたい。


「PDAの時代はこれからだ!」