250.度忘れするメモリー (2003/11/10)

最近のPDAには、以前に比べるとふんだんにメモリーを搭載した機種が増えています。16MB32MBとなってくると、少し前のパソコンと変わりがありません。ただ、モバイルと言うことでバッテリーの制限がありますから、なかなかパソコンと同じようには行かないでしょうが、今後もこのメモリー領域の拡大化は続くことでしょう。


ところで、私の愛用するm100は、2MBのメモリーしかありません。まあ、PDAとして自分で入力したデータだけ使う分には十分と言えば十分で、余程かさ高いデータを入れない限りパンクすることはありません。おまけに、ATOK1.3MBほど占めていますから、データは700KBもないと言うことです。


何と少ないデータしか持ち合わせていないパームであると、我ながら感心するわけですが、700KBと言えば、ちょうど今のこのサイトのデータ量と同じです。ほとんど文字ばかりですからデータ量は知れていますが、ここまで書き溜めるのにはそこそこ時間が掛かりましたから、700KBのデータの量を実感することが出来ます。


まあ、紙の手帳ならかなりの分厚さになるでしょうから、パームのメリットを生かしているのは間違いなさそうです。


実は、最近私のパームが、度忘れをするようになりました。漢字を忘れてしまうのです。例えば「どうろ」と入れて変換すると、「道路」は候補に出てこないで、「ドウロ」や「DOURO」としか変換できません。しかし、すべての漢字変換ができないかと言えばそうでもなく、難しい漢字が出てくることもあるのです。


対策はATOKをいったん削除して、再度バックアップをパームデスクトップからしてやるのですが、半年に1・2回の頻度で発生します。新品の時には問題はなかったのですが、何年か経って疲れてきているのかもしれません。


ハードディスクの場合でも、記録密度が高くなってくると記憶があやふやになる現象が起こってきます。ディジタルと言えどもマージンに余裕がなくなってくると、少しの劣化で動作が不安定になることもあるでしょう。


もちろんソフトウェア的なエラーであるかもしれませんし、どうしてATOKだけが問題になるのか判りませんが、時々漢字を度忘れするパームm100も、なかなか人間味があって良いものです。


もっとも、漢字を忘れても影響は少ないのですが、そのうち大切なスケジュールを忘れられると、そうは言っていられなくなりますが。

228.パームの予定表に祝日が表示されない訳 (2003/10/20)

さて、巷で反響がいろいろ響いております、ZDNetの「ケータイ早打ち記者、手帳CLIEを使う」と言う記事ですが、携帯電話の早打ち名人、つまりは現代におけるITフリークを自称する記者が、同じITの道具と思われるクリエを御茶の子さいさいと使いこなそうとしたら、意外と苦労したというお話です。


さてその記事の中で、パームの予定表で祝日の表示がないし色分けもされないとの御指摘があります。祝日が初めから赤字で書かれているのは紙の手帳では常識であり、これだけでパームの価値が半減するというのはおっしゃる通りかも知れません。


ソニーのクリエであっても、予定表はパームOSの機能を引き継いでおりますから、むやみやたらとオリジナルを変更する訳にも行かないのでしょう。では、アメリカ人がパームを使うときにも同じような不満が出ているのかと言えば、それほど気にしていないのではないかと思うのです。


USには祝日が年間10日ほどありますが、そのすべてが休日であるとは限りません。コロンブス・デーベテランズ・デーは、学校や銀行が休みでも企業は休みでなかったりします。私も危うく無断欠勤するところでしたが、カレンダーにある祝日が休日であるかどうかは、その属する団体や地域によって変わるようです。


またUSで売られているカレンダーは、祝日を黒字で書いている物が多いようです。日曜日と同じ赤で書いてしまうと休日と勘違いしますから、休みになる人だけが赤で印を付ければ良いのでしょう。


また、"Full Moon"などがあたかも祝日のように書かれていたりします。月に向かって吠える日を忘れないようにするためでしょうか?


その他、休日日数を調整するためのパーソナルチョイスデーと言うのがあり、自分で有給休暇とは別に休日を勝手に決めることができます。つまり、国民全体で同じ日を休む日本と違って、個人によって祝日や休日の違いがあるようです。


日本では法律で国民の祝日は休日と決められていますが、人種や宗教が様々であるUSではある程度の自由度を持たせてあるのかもしれません。


パームOSの日本語版には、日本の祝日を入れておくべきだという意見もあるかもしれませんが、新しく祝日が制定されたり、春分・秋分の日のように確定していない日があったりします。手帳のように1年ごとに買い換えるものなら問題はないのですが、長年愛用するパームの場合は自分で入力できる方が良い場合もあります。


ところで、日本はいつの間にこんなに祝日が増えたのでしょうか?一時の時短ブームで祝日が増えたのはいいのですが、その埋め合わせとして土曜日に出勤したりして、あまり時短に効果はなかったように思います。


そのうちに海外との祝日数の格差を埋めるために、例えば勤労感謝の日「仕事があって働けることに感謝しよう!」などと言って、休日から外されるような事にならないでしょうか?

222.クリエの液晶保護シート (2003/10/16)

ちんさんの「パームボンチ」を読んで、クリエの液晶保護シートが悪さをして、ハードリセットでも直らないことがあると言うことを初めて知りました。


そこで、よく「ボチッ」と行かなかったものだと感心いたします。その壊れたクリエを前にして怒り出すどころか、うれしくなってソニースタイルに向かうと言う心理描写がなかなか面白いと思います。今も昔もソニーファンは健在と言うことでしょうか。


どんな製品でも壊れないように作るべきだと言うのは、建前としては正しいとしても、適当な時期に壊れるように作っておくというのも、ソニーらしい商売のうまさと言うことが出来るでしょう。


昔のソニーは、なかなか壊れないが、一旦壊れると直すことが出来ないと言われていました。しかし、今やソニータイマーと言う言葉を知らない人はいないぐらい、有名になってしまいました。


最近は製品のライフサイクルが短くなってきたからでしょうが、世の中一般的にあまり信頼性耐久性は重要視されていないように感じます。


よく、パソコンで異常があった時は、キーボードやマウスやその他接続されているものをすべて取り外してから、再度リセットをするように指示されたりします。面倒だと思っていても、意外と本体ではなくこれらの付属品に問題があることを発見することがあります。


液晶保護シートによって液晶表面の浮遊容量が変化して、タップしたままの状態と同じになってしまうのでしょうか?乾燥した気候のときに起こりやすいとか、しばらく液晶が圧迫され続けた後などに起こりやすいのかもしれません。


設計のマージンをどの程度考慮するかで、変化に対する耐久性が変わって来ます。初期のパームでも、アルカリ電池なら問題がなくても、ニッカドやマンガン電池なら動作しないなどと言うことがあったそうですから、少しでも変わった事をしている場合は元に戻す必要があるます。


滅茶苦茶頑丈な機器より、たまに機嫌を損ねるぐらいの方が大切に使おうとするので、かえって良いかもしれません。

212.OMAPを採用することの意味するもの (2003/10/03)

ところで、最近のpalmOneの製品群で気づくのは、以前からのモトローラに加えて、インテルTIプロセッサーを採用していることです。これらは、ARMのコアを採用しています。


今やARMコアと言えば、泣く子も黙る破竹の勢いで様々な製品に採用されています。PalmOSがARMベースのプロセッサーに対応したことによって、PDA以外の他の製品と同じプラットフォームで、Palm製品の開発をすることができるようになったようです。


OMAPTIアプリケーションプロセッサーとその開発プラットフォームの名称で、“Open Multimedia Application Platform”の略だそうです。FOMAをはじめとする今の3Gと呼ばれている携帯電話のプロセッサーとして、世界中で採用されているそうです。


特徴は、何と言ってもARMコアDSPコラボレーションでしょうか。音声や動画などを処理する場合、ARMコアだけの場合と比べて、半分以下の消費電力2倍以上のパフォーマンスが出ると言われています。


DSPを1チップに搭載する事によって、別個のDSPチップを搭載するより低コストにできますし、何より世界中の携帯電話と同じプロセッサーを採用すれば、その膨大な生産量によるコストの引き下げが期待できます。


また、開発プラットフォームを携帯電話と共通化することで、携帯電話で開発された機能をPalmに移植することも容易に出来るでしょう。


Dellのビジネスモデルは、デファクトスタンダードをかき集める事だと言われています。世界中で標準的に使われている技術をうまく製品に取り込んでいく事が、変化の激しいデジタル機器を短期間に開発するためには必要になっています。


ソニーは、Handheld EnginePEG-UX50で登場させました。ARMコアとDRAMを1チップに搭載したもので、Embedded DRAMによるコストの削減を狙ったものだと思われますが、その半導体のプロセスを含めソニーの自前ですべてを供給しようとしています。


全てのCLIEが、将来Handheld Engineを搭載するかどうか分かりませんが、デファクトスタンダードに乗って行こうとするpalmOneとは、戦略が少し異なる様に思えます。


モバイル機器のための自前のプロセッサーを持っていることは、大きなアドバンテージであると同時に、高コスト体質になる危険性も持ち合わせています。そのことが、現在のCLIEの価格に影響していると言えるかもしれません。


OMAPの資産を積極的に利用し始めているpalmOneと、独自技術を研鑽するソニーそれぞれが、別々の道を歩んでくれた方が、製品に幅が出てくるのでユーザーにとってはありがたいのですが、どちらの道が険しいかは、もうしばらく様子を見てみなければならないでしょう。(両方厳しいだろうと言う見方もあるかもしれませんが。)

211.中途半端はわかりにくい (2003/10/03)

また何が言いたいか判り難いタイトルです。余り真剣に読まないようにしてください。


よく人と議論しているときに、「ちょっと極端過ぎないか?」とか、「それは極論だ!」などと言う人がいます。つまり、極端過ぎて現実的でないため、想定することさえできないと言う事でしょう。


有り得ないほど極端な場合は、確かにそういうことがあるかもしれません。しかし逆に、中途半端でどう解釈して良いかわからない場合も、判断に困ってしまいます。


例えば、信号で「青は進め」「赤は止まれ」です。世界中で誰に聞いても、大体答えは同じだと思います。では「黄色は?」と聞くと、「注意して渡れ!」とか「急いで渡れ!!」と言う人が多いのではないでしょうか?


確かに現実の問題としては、その方が安全な場合もありますが、基本的な考え方としては「止まれ」です。現実的には「可能な限り止まれ」であり、最後の解釈として「止まる事が危険な場合のみ危険回避のために速やかに交差点から退出せよ!」と言うことのようです。


しかし、実際目前で信号が青から黄色に変わったら、まずブレーキよりもアクセルを踏む人が多いのではないでしょうか?


この「黄色」の中途半端さが、判断する人に都合の良い様々な解釈を生んでしまいます。


このことは、商品企画にも通じるところがあります。機能が盛り沢山で高価格である製品や、限定された機能であるが安い製品はわかり易いのです。


ところが、中間的な値段とサイズで、機能も程ほどと言う機種は、余程その機種を吟味して自分のニーズと照らし合わせることができる人以外には、中途半端にしか見えないでしょう。


ソニーが日本で発売する新製品、CLIE-TJ25ですが19,800円と言うわかり易い値段設定で、年末の手帳の買い替え需要を狙っているようです。システム手帳は、安いものでも1万円ぐらいしますし、高いものは4万円もしますから、19,800円は相対的に安いと言えるかもしれません。


確かに、新規にシステム手帳を買おうかと思っている人は、19,800円のCLIEは比較の対象になるかもしれません。ただ、新規のシステム手帳を買う人が、それほどたくさんいるのかどうかいささか疑問です。つまり、システム手帳の新規需要を狙っても、余り売り上げが期待できないのではないでしょうか?


さらに既存のシステム手帳ユーザーの場合は、システム手帳は一度買えばレフィルを1セット交換するだけで済みますし、使い慣れた人は今更そのシステム手帳を手放せないでしょう。


それでもなお、システム手帳のユーザーの乗り換えを狙うと言うのなら、CLIEの値段をシステム手帳と同じにするのではなく、レフィルの1セット分の値段と張り合わなければならないでしょう。CLIEに手帳の代わりをさせるためには、製品価格が中途半端ではないでしょうか?


では、palmOneの新製品、Zire 21$99はどうでしょうか?この値段にはシステム手帳ではなく、1年ごとに使い捨てる手帳の需要を取り込もうとする意思が感じられます。もちろん、使い捨ての手帳に比べてまだ高いのは事実ですが、毎年交換する手帳の数年分だと思えば、金額的にも対抗できるでしょう。


また、そのような人たちに、実際に目で見て比較してもらえるような売り場の開拓と、分かりやすい製品パッケージを用意したことは、販売戦略において大切な事だと思います。中途半端では、新規需要開拓できません。


今日の結論です。私は、ずばりソニーの新製品、CLIE-TJ25の19,800円は高いと思います。これまでのCLIEを知っている人から見れば、値ごろ感のある価格に見えるかもしれませんが、これまで使い捨ての手帳とレフィルしか見てこなかった人の目には、高いと映ることでしょう。


無理を承知で言わせていただきます。本気で手帳の代替を提案するのなら、9,980円でしょう。これまでのソニーの伝統であるテクノロジー優先の設計思想を改め、マーケット主体の製品を提供していかなければ、手帳を競争相手に市場の拡大は望めません。


世界のソニーなら、高価格で最高の機能を提供する製品も、廉価でありながら魅力のある製品も、両方可能にすることができるはずです。中途半端はわかりにくい!ソニーに、Zire 21を超える製品を期待します。(本当は安いモデルに魅力を感じるのは、何を隠そう、私がケチだからです!)