645.ブラトルバロってどんな町?(2007/07/20)

Infoseekニュースで見かけたタイトルは、「ヌードに寛容な町、度が過ぎるとして一時禁止 (ロイター)」! 


このまま見過ごすわけには参りません。


何でも、猛暑を記録した2006年の夏ごろから、米国東部の小さな町であるブラトルバロ(Brattleboro)で、10代の若者が裸で町の通りや駐車場に出没するようになったとの事。


さらにエスカレートして、裸で自転車に乗ったり、ヌード・フラフープ・コンテストが複数開催されたりして、町の風紀が乱れてきているそうです。


さすがに地元の住民からの苦情が出てきたので、夏本番を向かえる前にこれ以上過激にならないように規制しておこうということでしょう。


「ひとつ今年の夏は眼の保養にブラトルバロにでも旅行に行くか!」(なんて人はいないでしょうが)と思っても、一体どこにあるのかも分からない小さな町です。


そもそもブラトルバロがあるバーモント州自体、アメリカ人でさえも地図でどこにあるのか知らない人が多いぐらいです。


バーモント(Vermont)の州都がモンペリエ(Montpellier)というぐらいですから、フランスからの移民の影響を残しているのでしょう。意外と堅物なアメリカ人の中では、ヨーロッパ的な志向がヌードに寛容な雰囲気を醸し出すのかも知れません。


バーモントと言えばリンゴハチミツを思い浮かべますし、“Vermont”はフランス語で「緑の山」という意味ですから、かなりの田舎であることは間違いありません。ボストンとニューヨークのアルバニー(Albany、ニューヨーク州都)の中間ぐらいに位置します。


近くには(といっても車で1時間以上はかかりますが)、ノーマン・ロックウェルがかつて住んでいたアーリントン(Arlington)や、ボストン・フィルハーモニーが夏にタングルウッド野外コンサートを行っているレノックス(Lenox)があります。


また、シンガーミシンの創業者が収集したモネを代表とする美術品を所蔵するクラーク・ミュージアム(Clark Art Institute)や、全米でもトップクラスの優秀な人材を輩出してきたウィリアムズ・カレッジを擁する、ウィリアムズタウン(Williamstown)があります。


如何にも文教的な地域で裸の論争が沸き起こっているのは皮肉な話ですが、バーモント州では裸で水泳や日光浴をすることは合法だそうです。


もともと若い人たちが川や湖を裸で泳いでいたことから自然と寛容になったそうです。冬が長く、雪に閉ざされてしまう地域ですから、短い夏の泳げるときにはどうぞご自由にといったところでしょうか。


しかし、公共の町中で素っ裸で歩き回られたら、小さな子どもへの影響もあるでしょう。「18歳までポルノを買ってはいけないと言っているのに、その本屋の前を裸でウロウロされたら意味がないだろ」なんていう意見も出ているようです。


Web版のボストン・グローブであるBoston.comに掲載されている2007年5月17日付けの記事によると、ダウンタウンの通りを裸で踊っていた20歳の男性が起訴され、有罪になった場合は5年間刑務所に入らなければならないそうです。住民から苦情が警察に寄せられ、何らかの性的興奮を与えるような行為をしたものは、同様に告発されると警告しています。


さて、今年のブラトルバロの夏は過激化か、あるいは沈静化か? どうなって行くのでしょうか?


しかし、町の名前が“Brattleboro”で、「ブラ→取る→ボロッ」とはよく考えたものです。(考えてない、考えてない!)

644.京都拉麺小路 (2007/07/19)

私たちの年代で(ってかなり古いのか?)京都のラーメン屋と言えば、「天下一品」が筆頭に上がってくるのですが、最近のご当地ラーメンブールに乗ってか乗る前からか、いろいろと京都の街中にも名物ラーメン店が増えているようです。


そういえば1980年代には、京風ラーメンが流行ったことがありました。食堂街には必ず1店はあった時期もありましたが、最近は京風ラーメンという看板は見なくなりました。


ご当地ラーメンといえば、新横浜のラーメンミュージアムが有名です。全国から集まった人気ラーメン店の中から選ぶ楽しさもさることながら、昭和30年代を再現した町並みには、幼少期を過ごした世代としては、ラーメン以上の感慨が込みあげてまいります。


ラーメンのテーマパークと言うに相応しいラーメンミュージアムほどではありませんが、京都伊勢丹の10階には、「拉麺小路」なるラーメン店街があります。


いろいろなラーメンが気軽に楽しめ、夜は10時まで営業しているので(オーダーは9時半まで)何回か利用したことがあります。


いつも「今日はどこのご当地ラーメンを食べようかな」と考えながら行くのですが、店の前で女性の店員さんが呼び込みをやっているものですから、思わずメニューより実物で選んだりして、、、(ラーメンで選ばんかい!)


ラーメン通には決してなれないと自覚しております。


伊勢丹は京都駅ビルに入っているのですが、京都の駅ビルと言えば、かつては正に田舎の駅舎そのもので、貧相な京土産を売る物産店が少しある程度でした。


あの小さな駅舎しかなかった同じ場所に、伊勢丹グランヴィアホテル劇団四季の劇場までを擁する今の駅ビルが建っているのには驚かざるを得ません。本当はそれほど広い面積ではないはずですから、このビルを設計したイタリア人建築家の、空間を演出するデザインが優秀だと言うことでしょう。


高さ制限を逸脱してまでこの建築物が必要だったかはどうかは分かりませんが、多くの修学旅行生や海外からの観光客がたくさん訪れているのを見ると、京都観光の一名所になっていることを実感します。


ラーメンを食べ終わった後、大階段をゆっくりとエスカレーターで降りていくとき、ラーメンで満たされた充足感と共に、地上に降り立つ鳥のような錯覚におちいるのです。(ちょっと疲れが溜まっているみたい。)

643.神戸・三田プレミアム・アウトレット (2007/07/18)

7月6日(金)に新しくオープンした、神戸・三田プレミアム・アウトレットに、先週の土曜日に行ってまいりました。


プレミアム・アウトレットは、関西地区では2店舗目になります。オープン当初はかなりの混雑が予想されていたため、しばらくは様子見と決めておりました。しかし、台風4号が前日から近畿地方を通過していたため、これはチャンスとばかり、朝から急遽出かけることにしました。


到着してみると、台風で空いているのかどうか比較のしようがないのですが、とにかく混んでいます。観光バスが駐車場に何台も並んでいるのですから、かなりの人が詰め掛けているのでしょう。


同じ系列であるりんくうのアウトレットとよく似たブランドが揃っています。規模的にも十分です。神戸にある、ポルトバザールという三井不動産系のアウトレットとは、ブランドで重複するものは少ないようです。


神戸・三田のアウトレットで変わった店と言えば、何と言ってもNikonでしょうか。一体何を売っているのかと覗いてみれば、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフデジタルカメラ、双眼鏡、サングラスと、一通りのNikon製品を見つけることができます。


アウトレットと言えば、型番落ちやB級品を安く売るというイメージがありますが、Nikonの店は新製品も並んでいるようです。一部旧モデルのカメラがありましたが、それほどお買い得が並んでいるようには見えませんでした。


疲れきったお父さんが椅子に座り込んでいるファッション関連の店が多い中、ここだけは張り切ったおじさんで溢れておりました。


しかし、歩き疲れたときに、軒下にある椅子を見つけるのが一苦労です。上に屋根のない椅子はたくさん設置されているのですが、台風通過中ですから座れるわけもなく、これもまた混雑したフードコートの椅子取り合戦とともに、十分雑踏感を味わうことができました。


さて、このアウトレットがある場所は郊外のニュータウンですので、駐車場から出るのには苦労しないと思っていたのですが、夕方4時ごろには駐車場から出る車が数珠繋ぎになっていて、微動だにしません。諦めて隣接するイオンショッピングセンターで晩御飯を食べてから帰ることにしました。


アウトレットの駐車場は少し奥まったところにあるために、退出に時間がかかってしまうようです。2つの施設は陸橋で接続されていてお互いに行き来できるようになっていますので、次回からはイオンショッピングセンターの駐車場に停めることにいたしましょう。


すっかり日本でも定着したアウトレットショッピングですが、新たなスポットの登場で、さらに既存の大規模ショッピングセンター間の競争に拍車がかかりそうです。

642.携帯電話とインターネット (2007/07/02)

iPhoneがUSで発売され、入手が困難なほどの人気だとか。iPodで携帯音楽プレーヤーの市場を席巻した勢いをそのまま、携帯電話の分野に持ち込むところは、さすがにアップルの商売のうまさを感じます。


日本では、商品の不良や修理の対応への不満が多いとされているアップルですが、製品品質やカスタマーサービスなどは二の次とばかりイメージ戦略優先で突き進む辺りは、何事に対しても横一列に並びたがる日本の企業には、なかなか真似の出来ないことです。


日本のウォークマン携帯が、携帯音楽プレーヤー機能が携帯電話の附属品の立場に甘んじているように見えるのに対して、iPhoneは携帯電話の機能を飛躍的に向上してくれるのではないかと期待させるところに、アップルの戦略の巧みさがあるように思います。


ところで先週号の日経ビジネスの記事によると、日本での携帯インターネットサイトの利用がほとんど増えていないとのこと。


日本では携帯電話の機能が充実していて、インターネットの普及率も世界一のレベルだと聞いていましたから、さぞかし携帯電話からインターネットを利用する人が多かろうと想像していたのですが、どうもそうでもない様子です。


そもそも携帯サイトの数が限られている上に、ヤフーなどの検索サイトの結果が使いづらいそうです。携帯電話によるインターネットではリンクを辿る事をしないため、相互リンクの多さによって検索結果の掲載順位を有効的に決められないそうです。


さらに検索サイトではクローリングさえ拒絶するサイトが多いそうですから、検索結果の制度を高めることも容易ではなさそうです。ヤフーの社長に、携帯サイトにはろくなものがないとまで言われる有様です。


日本でインターネットの普及率を押し上げているとされてきたのは、ほとんどが携帯電話のメールなのですが、携帯電話会社間の接続に利用しているに過ぎません。その上、コンテンツを提供する携帯サイトがほとんどないのですから、まだ日本ではインターネットが十分普及しているとは言えないでしょう。


携帯電話は確かに普及しました。誰でも簡単にインターネットにアクセスが出来るように見えます。しかし、それは携帯電話キャリアが自前のインフラを補うために、ごく一部のインターネットの回線機能を間借りしているだけなのです。


インターネットの情報を参照するために携帯電話会社の回線を経由し、そのたびにパケット使用料を支払う今の仕組みは、回線使用料を収入源とする旧来の電話会社の域を抜け出ていません。


インターネットの膨大な情報を取り扱うためには、携帯電話の課金システムとは別の仕組みによるネットワークが必要になるでしょう。


スティーブ・ジョブスがiPhoneで目指したのは単なる携帯電話付きのiPodではなく、これまでで最高のiPodであり、それと同時にこれまでにない斬新な携帯電話であり、さらに世界初の胸ポケットに入るインターネット端末だそうです。


PDAは今や全く勢いを失ってしまいましたが、iPhoneの登場によって、新しい世代のPDAが増えることを期待したいと思います。

641.半導体テクノロジー (2007/06/24)

梅雨に入った途端に真夏のような日差しの日になったり、一転して断続的な大雨が降ったりして、異常気象を実感させる天候が続いております。しとしと、じめじめといった梅雨のイメージは過去のものとなってしまいました。


先週は、京都で半導体関係のシンポジウムがあり、デバイス開発に関するいろいろな話題に触れることが出来ました。


10年ほど前までなら、最新の半導体技術を使ったデバイスと言えば、大規模なハイエンド機である大型のサーバーや高速演算を行うコンピューターに使われていることが多かったのですが、最近は家庭用のDVDレコーダーゲーム機等にも多く使われるようになってきました。


シンポジウムにおける半導体デバイスのトレンドをみても、そのキーデバイスはゲーム機等のかつてはローエンド機と言われた市場が牽引しています。


半導体の進歩と言えば、少し前までのテクノロジーなら写真製版技術であるリソグラフィーの精細度が高まっていけば、自然と動作電圧が低くなり、高速化と低消費電力化が同時に実現できました。


ところが、90nm以降のテクノロジーにおいてはそう単純な話ではなくなってきています。


これまでのテクノロジーでは、世代が1つ上がるごとに寸法が0.7倍になるスケーリングファクターと呼ばれた一律の縮小率が成り立っていたのですが、最近の進んだテクノロジーではマスクレイヤーごとに異なる縮小率を採用しなければならないなってきました。


また、最小加工線幅が光の波長に近づくにつれて、寸法制度が求められる特定のマスクレイヤーには露光波長の位相を考慮した設計が求められてきています。


また、精細度が高まってデバイスが小さくなれば、酸化膜厚も同時に薄くなっていたため動作電圧をさげる事が出来ていたのですが、これも成り立たなくなりつつあり、速度を維持するためにはかえって電圧を上げる必要が出てきました。


ですから、一部のテクノロジー競争が過熱したゲーム機やグラフィックカードが、真っ先に新しいテクノロジーを採用したデバイスを開発しようとするのに対して、製品の差別化に新しいテクノロジーを必要としない製品分野では、90nmはおろか130nmまでの枯れたテクノロジーで、しかもすでに償却された低コストの製造ラインを使った部品が使われることが多くなってきています。


この状況が一過性のものではない場合、半導体のテクノロジーの進歩が限界に来ていると同時に、半導体が搭載される製品がもはやこれ以上のテクノロジーを必要としていないと言うことになるのかも知れません。DVDがさらに進化した次期光デバイスであるブルーレイディスクやHV DVの市場が、いまだに光ディスク全体の1%にしか満たないという現状に似ているでしょう。


一方、半導体の分野もRF無線技術をCMOS論理回路と混載することが出来る、シリコン・ゲルマニウムなどのテクノロジーが大きく成長し、携帯電話の高性能化に活かされています。


今回のシンポジウムの発表をいくつか聴いていて、さらに新しい半導体技術のトレンドが生まれつつあるように感じました。