これまでの一眼レフカメラは、デジタル化によって、どのように変わっていくのでしょうか?
まず、良く言われているのは、撮像素子はフィルムに比べて、斜めに入射する光線に対して色のにじみや感度低下を招きやすい、と言う事です。そのために、レンズを含めた光学系を、デジタルカメラ用に設計した方がよいと言われています。
次に、ごみの問題があります。これは、レンズ交換時に外から侵入するものと、フォーカルプレーンシャッターが出す金属粉があります。このごみは、フィルムの場合は撮影ごとに巻き取られていくので、同じ所にごみが留まる事はないのですが、撮像素子の場合はいったん付いてしまうと、強制的に取ってやらない限り、同じ所に黒い点として写り続けてしまいます。ゴミ対策が、デジタルカメラ固有の問題として取り上げられています。
ところで、デジタルカメラになると、今までのフィルムを使った一眼レフカメラでは出来なかった事で、可能になるものがいくつかあります。
例えば、光源に対する適応性です。光源が異なったり、あるいは同じ太陽光下でも、晴天時と曇天時では色温度が異なる為、カラーバランスを取る為には、フィルターを使ったり、光源に合わせたフィルムを使い分けなければなりませんでした。
デジタルカメラの場合は、ホワイトバランスを取ってやるだけで対応できますから、ワンショットごとに光源や色温度がが変わったとしても、対応する事が可能です。
また、これまで一眼レフは、フォーカルプレーンシャッターを使ってきましたが、シャッター速度には物理的な限界がありました。シャッター幕を高速化するには、ブレーキなどのメカニズムが複雑になったり、耐久性に問題が出たりしました。
電子的なシャッターにより、より高速なシャッターを、ローコストに実現できる可能性があります。ストロボの同調速度も上げる事ができます。また、機械式シャッターと組み合わせた機種も既にあるようです。
もし、デジタル一眼レフを、フィルムを使った一眼レフと異なった、新しい規格による光学系で実現すれば、小型のズームレンズが可能になったり、ビデオカメラのような20倍ズームレンズなどが可能になるかもしれません。もし、このような高倍率ズームレンズが可能になれば、レンズ交換式にこだわらずに、レンズ固定式で良いかもしれません。
最後に、これが一番重要なのですが、電子ビューファインダーの可能性です。一眼レフの最大の特徴は、ファインダーで撮影する画像そのものを確認できると言う事ですが、それなら電子ビューファインダーで良いのではないでしょうか?
これまでの一眼レフでは、フィルムと同じ位置関係にある焦点板(フォーカシングスクリーン)上の像を使って、ファインダー像としていました。その為に、大きなミラーで反射させ、高価で重たいペンタプリズムを組み込んでいたのです。
しかし、撮像素子が出力する画像の信号を、小型のモニターに出せば、今まで一眼レフが必要としたメカニズムが、ほとんど要らなくなります。測光も撮像素子から出された信号を使う方が、ファインダー内で測定するより、より正確であるように思われます。
これまで一眼レフは、重い、シャッターがうるさい、ファインダー像が見にくい、などと不満を持っていた人には、電子ビューファインダーによって恩恵を受ける事ができるでしょう。ビデオカメラでも、以前は光学式ファインダーを持った機種がありましたが、最近はほとんどなくなってきています。
これでは、デジタル一眼レフとは言わないとおっしゃる方もおられるでしょう。確かにそのとおりです。では逆に、一眼レフのメカニズムは、デジタルカメラに本当に必要なのでしょうか?私は、デジタルカメラに一眼レフは要らないのではないか、と思うようになりました。
そこで次回は、デジタル一眼レフカメラの新しい規格として提唱されている、「フォーサーズ」を検証し、そこで提唱されているデジタル一眼レフカメラの姿を追ってみたいと思います。