日本で米国産のワインと言えば、カリフォルニアワインと言う事になります。デパートなどで売っているのは、まず100%カリフォルニア産と思って間違いないでしょう。
USのスーパーでも、確かにカリフォルニア産のワインが主流です。多くのカリフォルニアワインの農場は、フランスやドイツからの移民によって経営されていますから、ぶどうの栽培や製法は、ヨーロッパの伝統に基づくものなのでしょう。
一方、テーブルワイン、つまり食事の時にがぶがぶ飲む為のワインとして、ニューヨークワインなるものがあります。気楽に飲めるワインと言う事で、それなりに人気があります。
そのニューヨークワインを産出しているエリアの一つに、ニューヨーク州の南中央部に広がる、フィンガーレークス・エリアがあります。ニューヨーク市からは、車で4時間ぐらいでしょうか、やはりヨーロッパからの入植者が作った町が点在し、アムステルダムなどと言った名前の町もあります。よく聞く名前の町では、電子レンジで使えるコレールと言う商品名の食器で有名な、コーニングなどが近くにあります。
フィンガーレークスと言う湖に沿った村には、多くのワイナリーがあり、季節になると休日はどこでも試飲会が開かれています。主人が一人で切り盛りする、西部劇に出てくる酒場のような所から、立派な建物を擁した工場のようなものまで様々です。
味の方はどうかと言うと、ワイナリーごとの差が大きいので一概には言えませんが、淡白な味わいで、気楽に食事と一緒に飲むのに、相応しいと言う感じです。どちらかと言うと、赤の本格的なものを目指したものより、白で軽い感じのものの方が失敗は少ないと思いました。一番おいしかったのはデラウェアでしょうか。時々、マスカットのワインはお目にかかりますが、デラウェアは初めてでしたが、フルーティーでなかなか良かったです。
ニューヨークワインの産地は、フィンガーレークス以外にも、数箇所あるそうです。USで一番古いワイナリーの一つが、ハドソンバレーエリアにあります。一番古いワイナリーの一つとわざわざ言ったのは、もう一つカリフォルニアのサンノゼにあるのです。なぜ一番古いワイナリーが2つもあるのか?
禁酒時代に醸造を中断していたところと、海の沖合いで醸造をし続けていたところがあって、それぞれ、開始した時期が一番古いと主張したり、一番長い期間続けていると主張したりで、一番古いワイナリーが2つあるそうです。
ところで、フィンガーレークスと言えば、指のように細い湖が並んでいるのですが、ニューヨークから日本に向かう飛行機が、ちょうどフィンガーレークスの真上を通った事があり、窓から眺めたその姿が、掛け値なしに正に手の指が並んでいるのにそっくりでした。ワイナリーとコーニングのガラス博物館等、みどころは多くはありませんが、のどかなワイナリーツアーも楽しいかもしれません。