84.ダウンサイジング推進計画 最終回: パームよ、機は熟した! (2003/04/29)

さて、これまで6回にわたって展開して参りました、ダウンサイジング推進計画ですが、少しおさらいをしておきましょう。


まず、過去のダウンサイジングの流れを、第1回はワークスステーション、第2回はパソコンをテーマに、振り返って見ました。第3回は、ダウンサイジングがパソコンで止まっている理由であるページサイズに着目し、ページからより小さいフレームにして行く事が、ダウンサイジングを押し進める為に必要であると主張しました。


第4回は、人間の記憶力との比較から、フレームが必要になる根拠を示し、第5回は、ユビキタスの勧め、第6回は、オンデマンド・コンピューティングによる情報の選択とその技術、でした。


さて、ここまで読んでこられた方の中には、「ユビキタスやオンデマンドと言っても、今の携帯電話のi-modeなどが既に実現していることを、言い換えているだけではないか」、と言う方もいらっしゃるでしょう。


今回、敢えて携帯電話の話題はしませんでした。あくまで、コンピューターの利用形態の変化に注目し、パソコンまでで止まっていたダウンサイジングを、更に小さいパームの世界に広げるには、どのようにすればよいかと言うことを考えてきました。


今後、電子財布、電子認証、電子入場券、電子定期券など、今まで「電子」が頭に付かなかった全ての物を、電子的に解決しようと言う流れの中で、ユビキタスオンデマンド・コンピューティングといった技術が私たちの身近なものになったとき、それまでPDA携帯電話と呼ばれていたものは、スペックの一つである通信方式に違いがあるだけで、どちらもネットワーク・コミュニケーターなどと呼ばれているかもしれません。PDAと携帯電話の境界がなくなり、融合する日は近いのかもしれません。


さて、いよいよ私の最後のメッセージです。大型汎用機からワークステーション・パソコンへのダウンサイジングは、Sunマイクロソフト主導的な役割を果たしました。彼らは、大型汎用機を扱わない企業だったのです。大型汎用機のメーカーは、それまでに築いてきた資産を守ろうとして、ダウンサイジングには否定的でした。


それならば、パソコンからのダウンサイジングは、パソコンを扱わないPDAのメーカーによって、進めていかなければなりません。


パルマガで、機長さんが4月25日付けで紹介されておられますが、米IDCによる1-3月期の世界ハンドヘルド機器出荷台数速報に掲載されている企業の内、パソコンも作っているのは、Hewlett-Packard、ソニー、Dell、東芝、カシオ、シャープです。これらの企業は、パソコンをPDAにダウンサイジングすれば、全体では売り上げは減少するでしょうから、ダウンサイジングを敢えて進めることはないでしょう。


そこで、PDA専業の企業で、しかも圧倒的にPDAの出荷台数の多いパーム・コンピューティングに、私はダウンサイジングの主導的役割を期待します。


「パームよ、機は熟した!」。今こそ、マイクロソフトの夢をもう一度、パームにもたらす絶好の機会です。是非、PDAの盟主として、新しいネットワーク・コンピューティングの世界を切り開いて行ってもらいたいものです。