最近、回転中の洗濯機に手を入れて怪我をする事故が相次いでいると、asahi.comで警告しています。
脱水中は洗濯槽が高速で回転するため、ふたを開けてもすぐには止まらず、回転に気付かずに手を入れて指が切断されたり、子供が誤って手を入れて腕を骨折するという重傷になるケースもあるそうです。
2槽式が主流だったころは脱水槽にはプラスチックのふたが付いていて、必ず装着するように但し書きがありましたから、容易には指や腕に衣服が絡みつくことはありませんでした。
全自動式が普及してプラスチックのふたがなくなり、回転している状態で手が入ってしまうことが以前より起こりやすくなりました。また、洗濯槽が2槽式に比べて大型化していますから、絡みついた時にかかる力がより大きくなっています。
あるケースでは、洗濯完了のブザーが鳴ったにもかかわらず、まだ洗濯槽が惰性で回転を続けていて、手を入れ怪我をしたそうです。
考えてみれば、洗濯機が大型化と全自動化により洗濯槽が以前より大きくなり、危険性が高まったにもかかわらず、回転を止めるブレーキ性能が向上してこなかったところに、放置されてきた問題があるように思います。
家電製品協会は、ふたを開けてから回転が止まるまでの時間が、15秒以内でなければならないという規格を設定しているそうです。
しかし、果たして15秒以内というのが妥当な規格なのでしょうか? 15秒以内で止まれば、これらの事故は未然に防ぐことができたのでしょうか?
私は、ただ単にメーカーが低コストで実現できるための規格であるのではないかと思います。
USで生活をしていた時、いくつかのメーカの洗濯機を使っていたことがありました。今で言うところの8Kgとか10Kgぐらいの容量だったでしょうか。乾燥機は別で、洗濯から脱水まで行うものをWasherと称していました。
何せ大型で動作中は大きな音を出しますから、さぞかしふたを開けてもかなり長い時間回転し続けるだろうと思って、脱水の回転が最高速に達したころふたを開けたことがありました。
「カーン!」
金槌で金属の塊を殴ったような音がして、現れたのはゆっさりと揺れている洗濯槽でした。直前まで轟音を立てて回転していたはずなのに、ふたを開けた途端停止しているのです。
もう一度やっても同じこと。洗濯槽は寝起きの如く、ゆっさりと揺らいでいるだけです。
ふたを開けた時の甲高い音とゆっさり洗濯槽! 恐ろしくなりましたね、どうやって止めているのかを考えると。
これは「ブレーキをかけている」というより「衝突している」という感じです。何度も試していると、確実に洗濯機が壊れそうです。
この停止装置の耐久性がどの程度あるのかは判りません。しかし、もし洗濯機が壊れやすいとしても、人間の指や腕を壊してしまう日本製の洗濯機よりは、はるかに安全だったのだなと思いました。