607.「ゲノムひろば2006」のご紹介 (2006/10/28)

商用化に適した宇宙船をいち早く実用化したものに賞金を与えるとして、世界中の注目を集めた米カリフォルニア州の非営利教育機関「X賞財団」が、新たに10日間で100人の遺伝子を完全に解読したチームに、1000万ドルを与 えるという賞金レースを始めたそうです。


日経ビジネス10月23日号が"The Wall Street Journal"の記事を紹介するところによると、解読される遺伝子の提供者として、グーグルやマイクロソフトの創業者が名を連ねているそうです。


ヒトゲノムの解読計画は2001年に第一段階が終了し、平均的とされるな匿名のDNAドナーが解読されています。DNA情報を解読する事によって、どの薬を飲むべきか、どの病気にかかる危険性が高いかをあらかじめ知ることができ、また新しい病気の治療方法を探す事ができると期待されています。


DNA配列の解析にかかる費用は、近年急激に下がってきているそうですが、
基本的な手法である「サンガー法」は20年来変わっておらず、まだ誰もがその恩恵にあずかれるほど手軽に行うことはできません。今回のX賞を獲得する為には、まったく新しい解析方法を開発しなければならないと予想されています。


5年以内には実現可能だと考えているそうですが、最終的には人のDNA解析にかかるコストを1000ドル程度まで下げようとしているそうです。今私たちが医療機関で受けている検査と同じ手軽さで、DNA解析が可能になる日も近いかも知れません。


さて、そこで「ゲノムひろば2006」のご紹介です。先日から当サイトのトップページにリンクを掲載させていただいておりますが、11月に東京と京都で、生命科学分野の最新の研究テーマを一般の方々に公開するための「ゲノムひろば2006」が開催されます。


当サイトでは、2003年に「244.ゲノムひろば (2003/11/05)」「247.ゲノム三題1: ゲノムとDNA (2003/11/09)」で紹介させていただきました。


「ゲノムひろば2006」では、さらに進化したゲノム解析の最前線情報が満載です。国内の最先端の研究者がこぞって参加されておられますから、きっと面白いテーマが見つかるに違いありません。ひょっとしたら、その中から1000万ドルの賞金レースを射止める研究テーマが出てくるかも知れません。


特に今年は、コンピューターサイエンス(計算機数学)を応用した、バイオインフォマティクス分野での成果が面白そうです。


東京は11月4日・5日に丸ビルで、京都は11月18日・19日に京都大学で開催されます。少しでもご興味をお持ちの方には、きっと新たな発見があるのではないかと思います。ぜひお立ち寄りください。