ソニー製リチウムイオン電池の回収騒ぎが起きています。デルとアップルのノートブックパソコンに使われている充電池において、使用条件によってはリチウム金属が析出し正極と負極が短絡することによって、発熱や発火の危険性があると言うことです。
安全性の観点からこの問題を捉えると、近年海外旅行にノートパソコンを持参する人が増えてきており、機内での使用も可能になっていることから、飛行中の発火による事故の危険性が問われています。
機内にはあらゆる危険物の持ち込みが禁止されて来ました。以前なら預け入れ荷物の中なら持ち込めた物でも、最近の状勢ではあらゆる危険物を排除する傾向が強まってきています。
航空機の運航に障害を及ぼす可能性がある物は徹底的に排除する構えですから、このままリチウムイオン電池の安全性に疑問がもたれる状態が続けば、ノートパソコンの航空機への持ち込みが禁止される可能性も無いとは言えません。
電池が発火する事故は、これまでおそらくパソコンの使用中に起こることがほとんどだったと思われますが、微弱な電流は常に流れているでしょうし、自然放電による電解液の変化もあるでしょう。ソニー製品に限らず、リチウムイオン電池の安全性に対する検証を、業界全体で行っていく必要がありそうです。
また一方、製品の品質という観点からは、例え発火に至らないような場合でも、電池に品質的な問題があることが分かっているのなら、全数を市場から回収し交換に応じる必要があるのではないかと思われます。
新聞の報道によると、今回回収に応じるのは、デルとアップルのノートパソコン用として出荷されたものに限るとされているようです。ノートパソコンの電源部にも安全装置があり、もし電池内部で短絡などによる以上が検知されたときは、自動的に電源をシャットダウンする為、安全性には問題と言うのが理由のようです。
しかし、リチウムイオン電池が期待されるべき品質を満たしていないのにも関わらず、発火しなければ交換に応じないと言うのは、許されるのでしょうか?
「この湯沸かし器は、火を噴いて火事になる場合は交換いたしますが、火が勝手に消える場合は安全性には問題がありませんから、修理費を頂きます。」では通用しないでしょう。
ソニーはアイディアや新規性で長けたものを持っていながら、品質面では長年問題を抱え続けてきました。今回の事故をきっかけに、ソニータイマーなどという不名誉な称号を、拭い去ってもらいたいものです。