578.初夏の香りはヨットハーバーから (2006/04/19)

桜の季節も終わって、最近は少し汗ばむ日も多くなってきました。まだ海に行く本格的な季節ではありませんが、サイクリングがてら西宮市にあるヨットハーバーに行って来ました。


先週末には「関西国際フローティングボートショー2006」が開催されていたようです。最近景気が上向きになってきたからでしょうか、モーターボートの売れ行きが良いそうです。


西宮にはかなり昔からヨットハーバーがありましたが、数年前にできた新西宮ヨットハーバーは、冒険家の堀江健一氏が活動の拠点にされている事でも有名な、関西を代表する大規模なヨットハーバーです。確かに堀江氏が太平洋横断に使ったことがあるヨットが停泊しています。


自転車で埋め立て地を抜けて海際まで行くと、ボートやヨットのためのドックや立派なクラブハウスが目に入ってきます。クラブハウスの3階にあるレストランから海を眺めながら昼ご飯を食べていると、何やらモーターボートの試乗会をやっているようです。


ヤマハトヨタが並ぶようにしてテントを張っていて、3,4隻のモーターボートが先ほどから港を出入りしています。レストランで食事をしながら、一体あのボートはいくらぐらいするのだろうと思案していたのですが、何せ相場を知りません。300万円ぐらいだろうか、はたまた2000万円ぐらいはするかも知れないと思ったりしているうちに、値段を確かめたくなってきました。


クラブハウスを出てテントの方に行ってみると、子ども連れの家族がボートの試乗から下りてきました。トヨタは2種類のボートの試乗が出来るらしく、高い方は何と2700万円と書かれています。全く縁のないものだと立ち去ろうとすると、「時間があれば試乗してみてください」とのこと。それならと、港巡りの観光船にでも乗ったつもりでお願いすることにしました。


乗せていただいたのは、トヨタマリンのPONAM-28というボートで、定員12名、全長は10メートルあります。1階は如何にもシャンパンが似合いそうな豪華な内装でエアコン完備。大阪湾よりエーゲ海に浮かべた方が似合いそうです。その上はオープンのデッキになっていて、操縦は上下どちらでもできるようになっています。


さっそくデッキの上に上らせていただいてクルーズの開始です。おそらく港の中を1周して戻ってくるのでしょう。ヨットハーバーの中を極低速で進んでいきます。係りの方が、ボートについて説明をしてくれながら、防波堤を越えて夙川の河口の外に出てきました。


そろそろクルーズも終わりかなと思っていると、「さあ、少し揺れますから気を付けてください」と言いながら、スロットルをぐっと手前に引いて、あっという間に港巡りからマリンスポーツに変身です。


「ビョエー!!」


すっ飛んでいくモーターボートにしがみつきながら、これまでに味わったことがない異様な興奮に包まれていきます。


「時速50-60Kmはすぐに出ます」とはその通りで、決して波が高い訳ではないのに、結構波の上を吹っ飛んでいきます。淡路島まで、ヨットだと4-5時間かかるがこれだと1時間で行けるとのこと。宮島辺りまでなら燃料を補給せずに行くことが出来るそうです。


さっきまで遠くに見えていたヨットをあっという間に通り過ぎて、遙か沖に停泊していると思っていた貨物船が目の前に迫ってきます。


イヤー、気持ちがいいですね。いくら高級な車であっても、同じ道路を走っているうちは大きな違いはありませんが、海を走るというのは全く別の世界があります。


聞くところによると、このボートの底はアルミハルと呼ばれるアルミ製で、FRPのものに較べると波の衝撃を和らげる働きがあるそうです。サスペンションがある自動車なら乗り心地が違うのは当然ですが、ボートでも船底の材質で乗り心地が異なると言うことを初めて知りました。


アルミ製であるため傷が付きやすく、海に浮かんでいるゴミを避ける必要があるそうです。確かに水面を見ていると、ペットボトルが至る所に浮かんでいます。


30分程のクルーズの間、ボートの免許のことや燃費のこと、今まで余り聞いたことがなかった知識が得られてなかなか面白かったです。途中で少しハンドルを握らせてもらったりして、港巡りの観光船にはない、刺激的な試乗を体験することが出来ました。


試乗したボートはディーゼルエンジンを2基積んでいて、それぞれ別のスロットルでコントロールします。片方が駄目になったときでも、港に戻ってくることが出来るようになっているようです。


燃料の軽油は、自動車用に較べると税金が安いそうですが、満タンで550リットルも入りますから、燃料代も相当覚悟しなければならないようです。やはり購入されのはかなりのお金持ちで、しかも釣りをする人が多いそうです。


やはり一般庶民には高嶺の花。楽しかった試乗を終えて、再び自転車にまたがってスタコラ帰っていきました。(落差ありすぎ!)