577.阪急と阪神が経営統合? (2006/04/18)

いやまたおったまげた事になっていますね。阪神間に永らく住んできた者にとって、阪急阪神という企業グループにはそれぞれ思い入れがあるものです。同じ地域に根ざした企業でありながら、全く企業風土が異なっていると言えるでしょう。


どちらも大阪の梅田地区ターミナル・デパートを構え、鉄道網の沿線開発や娯楽施設を事業基板にしています。阪急電車も阪神電車も大阪の梅田を出発すると、30分も経たないうちに再び同じ神戸の三ノ宮に到着します。


ただ、阪急が山の手を走り、阪神が海の手を走る関係上、沿線の趣はかなり異なっています。古くから開発されてきた海の手を走る阪神電車は、以前はカーブが多く、よく揺れることで有名でした。また駅の数がやたらと多いので、各駅停車の車両には加速性能に優れたものが採用されていたことも、揺れが大きくなる理由のようです。


昭和の初期には、まだ阪急沿線には住宅が少なかったため、大阪ー神戸間のノンストップ特急を走らせていたそうです。電車がいつもガラガラに空いていた為、「いつでも座れる阪急電車」と言うのが宣伝文句だったそうです。それに対し、2両編成の電車を多用して運転間隔を短く設定した阪神電車は、「待たずに乗れる阪神電車」と宣伝していたそうです。


最近では、阪神電車が山陽電車の姫路まで乗り入れをしていたり、阪神南大阪線近鉄難波を接続して、神戸から奈良まで直通電車を計画するなど、提携を推し進める阪神に対して阪急は静観していた感がありましたが、ここに来て一気に動き始めたと言った感じがします。


阪神間や京阪間の輸送におけるJRとの競合も、いくらJRがゆとりダイヤに変わりつつあると言っても、スピードではJR側にまだまだ分があります。また沿線の住宅地開発に失敗したり、それでなくても人口が減少し始めている状況では、経営統合による規模の拡大しか残された道はないのかもしれません。


ただ、鉄道や沿線の商業施設はその地域の財産でもあります。今回の経営統合が、単なる経営の効率化だけに終わらず、地域の統合的な発展につながっていってもらいたいものです。