515.JAL 多発するトラブルの次に来るものは? (2005/06/22)

日経ビジネス6月20日号に、「御巣鷹山事故から20年 JAL 現場不在の咎」と言う記事が掲載されています。1985年日航ジャンボ機事故から今年で20年になりますが、最近トラブルが続いているJALに何が起こっているかを伝えています。


昔の日本航空は、5年ごとに墜落事故を繰り返していたそうですが、1985年の事故以来墜落事故は起きていないそうです。一見事故を契機に安全性を確立したかのように見えますが、最近のニュースを見ているとそうでもなさそうです。


1985年以前は日本航空が日本の国際線の空を独占してきましたが、1985年からの20年は航空業界に自由化の波が押し寄せ、日本航空もその中で競争に巻き込まれていきます。


国内では全日空が国際定期路線に進出し、さらに海外有力航空会社と提携することによってシェアーを伸ばしています。今やほとんどの経営指標で全日空に負けてしまっているにもかかわらず、未だに日本航空がナンバーワンであるとの自負だけが蔓延っているそうです。


数々の整備不良や乗務員のミスが、特にここ数ヶ月で激増しています。今の日本航空は、過去に消え去った、世界最大を誇ったパン・アメリカン航空の末期の姿に似ていると言います。当時のパン・アメリカン航空内では、決して潰れる事はないと信じられていたそうですが、同じことが日本航空に起こらないとは限りません。


特に、単なるミスの連続だけでなく、整備員の故意によるワイヤーの切断が発生する状態では、もはや安全を語る以前の問題でしょう。その整備員を監視するため、飛行機の整備場に14台もの監視カメラが設置されていると聞いて、まだ日本航空に乗り続けるのんきな乗客がどれほどいるでしょうか?


かつては人気があった日本航空を使ったパックツアーの売れ行きが良くないそうです。旅行会社もできれば他の航空会社を使いたいと言っているそうです。


日本航空でも運行の定時性に力を入れるあまり、安全がおろそかになっていると考えられています。JRの脱線事故の原因と共通する部分が少なくありません。


航空自由化によって、世界中の航空業界は大きく変化しました。かつては格安航空券でしか乗らないと言われたアエロフロート大韓航空が、今や安全性を誇る航空会社に変貌していますし、サービスに関しても、キャセイ・パシフィックユナイテッドなどが、かつてとは見違えるほど良くなったとされています。


しかし一方では、サベナ・ベルギースイス航空のように、実質的に消え去った航空会社があるのも事実です。


日本航空は日本エアシステムと合併して新生日本航空となりました。国内線と国際線の併せ持つ利点を生かして、甦ることができるのでしょうか?


尾翼に映える太陽が、落日の如く落ちて消えてしまうことがないように願いたいものです。