454.督促状にご用心 (2005/01/07)

asahi.comに「裁判所から本物の督促状 振り込め詐欺、さらに巧妙化」と言う記事が掲載されています。ついに振り込め詐欺の手口に、裁判所が利用され始めたようです。


これまでと大きく異なるのは、裁判所が本物の督促状を送ってくるところです。簡単な裁判手続きである「支払い督促」や「小額訴訟」を悪用しているそうですが、厄介なのは法的手段を利用しているため、これまでの同様の詐欺事件のように無視を続けると、法的に不利になってしまうことです。


裁判所は書類がそろっていれば申し立てを認め督促状を郵送してしまうので、受け取った方は2週間以内異議の申し立てを裁判所に対して行わなければならないそうです。


2週間を過ぎてしまうと相手の主張が認められたことになってしまい、事の真偽を争うことさえ許されなくなるのです。


裁判所から書類を受け取れば誰しも慌てますが、それと同時に慎重に対応しなければならないと考えるでしょう。どうしたものかと思案している間に、あっという間に2週間は過ぎてしまいます。


これは結局、裁判所に自ら訪れる人は皆善人といった性善説をとっているから起こってしまうのです。こんなに簡単に事の善悪を裁くはずの裁判所が騙されて良いのでしょうか?督促状を受け取った人に、落ち度はあるのでしょうか?


これでは、裁判所がハッカーから受け取ったウィルス感染メールを世間にばら撒いておきながら、メールを受け取った人が悪いと言っているようなものです。


オレオレ詐欺がここまで進化してくると、旧態依然とした裁判所では全く手に負えないのでしょう。これをきっかけに、裁判所がもう少し近代的になれば良いのですが。