昨日の「454.督促状にご用心」の追記です。ついに裁判所までを利用するようになった詐欺ですが、ここまで来るとなかなかやっかいです。
これまでも裁判所を名乗った郵便物で督促状が届くことがあったようです。そして、その対策は無視し続けることだったのです。それが裁判所を名乗った偽の郵便物かどうかは、容易に見分けることが出来たのです。
裁判所から発送される郵便物は、「特別送達」という特殊な郵便で届きます。基本的には書留と同じですが、確かに本人に届けられたという記録が、郵便局から裁判所に返送されるところが異なります。この送達をした記録によって、例えば裁判の判決が送達された場合ならば、控訴期間の計算が行われます。
さて、偽の督促状は通常の郵便で届きますから、無視することも可能でしょう。しかし、本当に裁判所が発送した督促状の場合は、2週間以内に異議の申し立てを行わなければ、強制執行をされてしまうことも考えられます。
本物の特別送達によって届けられた督促状に対しては、速やかに異議の申立をする必要があります。強制執行は、最初の督促状の送達から1ヶ月ぐらいで実行される事があるようです。
もちろん異議の申し立てをしただけでは事は終わりません。訴訟のスタートラインに立っただけです。そこで相手が、あたかも何らかの契約が完了しているような契約書を、偽造して証拠として持ち出してきたときには、こちらもまともに裁判を戦っていかなければなりません。
その為には弁護士か司法書士に依頼して、裁判のための準備書面を作成して、相手の戦略に対抗していかなければならないのです。
さて、裁判所が詐欺事件に利用されてしまうようになったのには、大きく2つの問題があると思います。
まず、支払い督促制度が、誰でも簡単に利用できるという問題です。
通常は債務者の住所を管轄する裁判所に支払い督促の申し立てをするのですが、直接裁判所に行く必要はなく、郵送で受理されるのです。
債権者の便宜を図って簡便な手続きによって督促が出来るようになっているのですが、裁判所は悪人がそのような申し立てをする事を想定していないのです。実在しない人物が債権者として申告していても、裁判所には判らないでしょう。
次に、裁判所には善悪の区別ができないという問題です。
裁判所の仕事は、真実の追究ではありません。人々の言い争いごとの仲裁をしているだけなのです。事実がどうであろうと、裁判所は争いがなくなるようにするだけです。
もし債権者を名乗るものが、本気でその手の弁護士を雇って裁判に乗り込んできた場合、善良な市民には太刀打ちできないでしょう。裁判で証拠として提出された書類が、偽造である事を証明するのは至難の業です。そもそも争いの事実自体がでっちあげですから、裁判になる以前の問題なのです。
このような詐欺犯にとって、セキュリティー意識の低い裁判所は彼らの格好のパートナーになりうるでしょう。法の番人たる裁判所が、無法者に好きなように利用されている姿は滑稽ですが、国民にとっては悲劇以外の何物でもありません。
ところで、5年ほど前に脚光を浴びた「裁判官ネットワーク」は、その後成果をあげているのでしょうか?
督促状の悪用
昨年は拙宅や家族のところにも”未納料金請求書”の葉書が届きました。Googleで