452.ハードディスクを内蔵しない新モバイル端末 (2005/01/05)

日立新しい発想に基づいたモバイル端末を実用化したと言うニュースです。キーワードは情報セキュリティーPCのディスクにある機密情報が盗難・紛失された場合のリスクを、根本的になくそうと言うのが狙いです。


これまでにも多くの情報の漏洩が問題となってきましたが、ユビキタス環境においては企業の機密情報を個別に管理することには限界があると言うことでしょう。


まず日立の社内でモバイル端末を置き換えていく計画のようですが、将来的には社外に販売していくことも検討されているそうです。


新しいモバイル端末はネットワークを介してサーバーに接続される訳ですが、CPUストレージは別個の専用装置として開発したそうです。2005年度中に合計で1万台のモバイル端末を導入するそうです。


「435.ステートレス・デバイス」 サン・マイクロシステムズでのアプローチをご紹介しましたが、どちらもディスクやCPUをPC本体から取り除こうという考えのようです。どちらもセキュリティーの向上を謳い文句にしていますが、ウィンテルの牙城を崩そうとしているのは明らかです。


ただ、これらの新しいモバイル端末は、ビジネス用途のパーソナルコンピューターを対象としているように見えます。今のパソコンはビジネス用も個人用も、ほとんど同じハードウェア構成になっていますが、本来これらは別々に進化して行くべきだったのかもしれません。


ビジネスで必要とされるセキュリティー要件は、個人使用では必要がない場合もあるでしょう。目的に応じてパソコンに要求される機能もかなり異なるはずです。


ビジネス用のモバイルパソコンが大きく変われば、個人用のパソコンにも変革が訪れる可能性が高いでしょう。そして家庭の中に溶け込む事のできる、本当の意味の家電に生まれ変わることができるかもしれません。


さらに、パソコンがWindows一辺倒から脱却するならば、パソコンとPDAの役割に大きな変化が生じるでしょう。PDAにハードディスクが搭載される流れもありましたが、パソコンからディスクがなくなれば、パソコンとPDAのハードウェアにおける違いは、ディスプレーキーボード入出力部分だけになります。


そうなれば、もはやパソコンとPDAの決定的な違いはなくなり、単に大きさだけの違いになってしまいます。ノートブック型手帳型の違いはあっても、どちらもネットワーク端末というだけになってしまうでしょう。


パソコンやPDAを含めたモバイル端末の新しい潮流が、確かに始動しはじめたようです。

“452.ハードディスクを内蔵しない新モバイル端末 (2005/01/05)” への5件の返信

  1. ハードディスクを内蔵しない新モバイル端末

     日立の新しいシステムに対するコメントをいくつかのblogや記事で読んだ。集中から分散に流れたものが、再び流れが変わるのだろうか。しかし、メーカーの独自端末のバ…

  2. K Harada様、コメントをありがとうございます。おっしゃるとおりパソコンは、複雑で面倒だと思います。昔、本格的コンポステレオは趣味性が高く、システムコンポと呼ばれるセット物になるまでは一般的でなかったのと同じかと思います。自宅サーバーは、ネットワークとホスティングサービスのコストが十分安くなれば、これも趣味でやる人を除けば必要なくなるのではないでしょうか?それから、携帯電話が今は普及しているように見えますが、完全にクローズの世界です。いわば昔のホストコンピューターと同じ閉鎖的な環境ですから、これからのすべての機器がネットワークにつながる時代では、オープンに向かわざるを得ないでしょう。今はまだ通信とコンピューティングが切り離されている状態ですが、あと3年から5年ぐらいで垣根がなくなっていくように思います。確かにPCもPDAも携帯電話も区別はなくなるでしょうね。なんかあまり面白そうな世界ではなさそうな感じですが、誰もが使えるようになるためには、仕方がないことかも知れません。

  3. 小生、組織で仕事をしておりますが、この流れはわかる気もしますね。個人情報保護法がもうすぐ本格的に施行されるような状況下、企業としては、情報のコントロールをしたくなるのも無理はないでしょう。USBメモリー一本で、ごっそりと情報を簡単に持ち出せるというのも恐ろしいものがあるのでは。便利なんですけどね。
    今は外部組織に出向しておりますが、そこでは情報管理が厳しいため(Cドライブ使用不可・新規ソフト導入不可)、TungstenCは全くPCに接続せずに使用しております。(もちろん自宅では接続しております)

    それと、付け加えるなら、「今のPCは複雑になり過ぎた」感もあります。このwebsiteを眺めるような方は、自分のPCは自分で面倒を見るスキルをお持ちでしょうけれど、世間一般の水準はそこまで高くありません。「Windows update? なにそれ?」なんて輩がいるくらいですから。
    処理速度などに問題を生じないならば、振り出しに戻って集中管理するのもいいかも知れません。(サーバがこけて、予備に切り替わる際に、途中のデータが全て飛ぶようなこともあるでしょうけれど… )

    その一方、この手の情報統制は、けっこうmobileで仕事をする身にとってはpainfulなものでもあります。例えば、海外出張し、ホテル/他社の事務所で仕事をしている、などという場合に、いちいち会社のシステムにログインしようとしても難しいでしょうから。

    将来的には、ネットワークがどこまで発展するか、というところなんでしょうか。privateでも自宅にserverを置いて、外からHDDなど一切ない端末でloginし、いろいろ使用する、なんてことができればそれば便利かと思います。
    そこまでいったら、PalmもPCもないでしょうね、と書いていて、一昔前のWin CEを思い出してきました。小生にとっての問題は、結局PCの処理能力がないことだったんですが、standaloneでない場合、その問題はなくなる、と。
    HDDがないため衝撃に強く、仮に紛失しても情報漏洩がない、なんて環境は素晴らしい! けど、自宅でserverがトラブルを起こしたら帰るまでお手上げ(笑)

  4. 机上都市住民様、
    コメントありがとうございます。管理される装置と言う解釈もありますか。使いようによってはWindowdsでも同じ事が言えるかも知れません。私はパソコンが進化するひとつの方向にあるものではないかと考えています。実際は、今のウィンテル体制を崩して新しいビジネスに結びつけるのが目的だとは分かっていても、何か進歩的なことが起こるのではないかと期待してしまうのです。

  5. いよいよ、PCともPDAともつかない、次なるものの胎動が始まったかのような記事ですが、
    これは、「組織に属する人」を管理する側にとっては便利な装置ですね。
    PalmのようなPDAを使用している人には、「組織に属し依存している人」、「組織に属しているが個人に裁量がある仕事をする人」、「完全に個人で仕事をする人」があると思いますが、
    後者2種類の人にとってはあまり意味の無い(または不愉快な)装置かもしれません。

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