431.日本人の採点二題 (2004/12/15)

教育の話題に事欠かない昨今ですが、また国際的な学力テストで日本の順位が下がったと言うニュースです。asahi.comに、国際教育到達度評価学会が昨年実施した学力調査の結果が掲載されています。


このようなニュースが多く飛び交うと、「あまり神経質に反応するのは如何なものか?」とか、「そもそもテストの結果に信頼性があるのか?」などと、うがった見方をする方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、発表される結果がどれも同じように低下傾向にある場合は、何らかの考察が必要になるでしょう。学力の向上と共に日本の高度成長があったとは言い切れないかもしれませんが、あらゆる産業や文化活動の前提である学力が下がることが、好ましいことであるはずがありません。


今回の結果では、小中学生の理科の学力が特に低下したと言うことです。また、アンケートで「理科が楽しい」と答えたのは、参加46カ国・地域の中で最低レベルであったと言うことです。


試しにこのような国際的な学力調査を、各国・地域の先生にも受けてもらうと、どのような結果が出るのでしょう。また同様のアンケートをとったとしたら、日本の先生たちは自分が教えている教科を好きだと答えるのでしょうか?日本の先生たちは生徒が楽しくなるような授業になるように努力しているのでしょうか?先生自らが授業を楽しんでいるのでしょうか?


最近ゆとり教育を見直すと言う風潮があります。過去の詰め込み教育による落ちこぼれをなくすために、学習内容と授業時間を同時に削ったゆとり教育が取り入れられてきましたが、学力の低下が明確になってきたため、慌てて軌道修正を行おうとしています。


そもそも落ちこぼれが増えたと言っても、それが学習内容の詰め込みすぎが原因であるのかどうかは、簡単には判らないのではないでしょうか?授業自体が面白くなく退屈であれば、いくら時間をじっくり掛けても理解度は高まらないでしょう。


また、当然子どもたちの能力にはばらつきがありますから、このような学力テストの平均点の変化だけで全体像を予測するのも無理があります。


ネクタイの幅やスカートの丈ではあるまいし、流行のように学習内容と授業時間を延ばしたり縮めたりしても、本当の教育の質を高めることはできないでしょう。


教育は、その国の伝統に基づいた文化であるはずです。もちろん、変化していくことを否定する訳ではありません。しかし、今後ゆとり教育を見直すことになっても、ただ単に昔と同じところに戻って行く事だけは避けなければなりません。


ところで、MYCOM PC WEBに、英国DTIの情報通信技術活用度調査の結果が出ています。11カ国の企業内や役所関連のITの利用の度合いを調査したものですが、日本はフランス、イタリアと共に最下位グループに入っていたそうです。


日本人も、ラテン系の仲間入りでしょうか?(それはそれで別に良いのですが、、、)