381.タッチ通信システム (2004/09/14)

松下電工が、「タッチ通信システム」と言う人体通信技術を実用化したそうです。人体に微弱な交流電流を流し、手などにつけた機器から指を介して情報を他の機器に通信することができるそうです。


今回発売されるのは、計量器メーカーの対面販売計量プリンタに内蔵したものですが、商品情報を人体を経由して計量器に伝達するものです。このような人体から機器への通信だけでなく、人体から人体への通信も可能だそうです。


微弱な電流を用いるため外部に漏洩する危険性が低いと言うことや、低コストにできるメリットがあるそうです。


本来、人体は電気的には食塩水を満たした袋でありますから、人体を通信の伝送路として利用することは、古くから研究されていましたが、人体に影響がないレベルの微弱電流を扱わなければなりませんから、なかなか実用化しなかったのでしょう。


肩に人体側通信機を固定した場合、肩から指にかけての人体部分が通信線として使われます。そして、肩から脚の部分が大地に対して静電容量を持つため、機器側通信機のグランドとの間に交流電流による通信が可能になります。


人体機器側の両極間を流れる漏れ電流を検出して、フィードバックをかけることによって安定した通信を実現するそうです。実際には検出する電流レベルに個人差があり、かつ電流が微弱ですから、機器の設定には工夫が必要になるのでしょう。特許が出願中を含めて300件もあるそうです。


応用分野としては、車のキーレスエントリーや、入退出管理の為の個人認証電子マネーシステムなどが考えられるそうです。


3700bpsと言うビットレートは高速とはいえませんが、無線や赤外線で問題になる漏話性の問題がないため、セキュリティが重要視される場面で、今後利用されると思われます。


パームに応用できるかどうか考えて見ると、人体に取り付けたパームOS機から指でタッチした機器にデータを流し込む事が考えられます。


パームを人体側通信機として腕にくくりつけ、パームのPIMデータを携帯電話で参照する事が可能になれば、携帯電話のデーターサーバーとしてパームを使うことができておもしろいと思ったのですが、機器側通信機がグランドにつながっていなければ回路が形成されないため、携帯電話のようなハンディ機器には適用できないようです。


やはりパームをデータサーバーとして使うことを考えるより、パームOS採用の携帯電話の登場を待つ方が良さそうです。