今年は夏になった途端、一斉にいろんな種類の蝉が鳴き始めて驚きました。全国各地で、アブラゼミとクマゼミとヒグラシが同時に鳴き始めたそうです。
特にヒグラシと言えば、涼しくなる夏の終わり頃に「カナカナカナ・・・」と響き渡るような声で鳴くはずだったのが、今年に限っては暑さの真っ盛りに鳴き始めたようです。
USでは17年周期で現れるセミが話題になっていましたが、昆虫の変化が通常の周期的なものなのか、あるいは異常気象などの影響によるものなのか、判断が難しいところです。
また今年の夏は、朝家の玄関先にクワガタムシが4回もやって来ました。中にはかなり大型のもので、全長が8センチに及ぶものもいました。ヒラタクワガタに似ていますが、それにしては少し大きすぎるようです。
そう言えばつい最近のテレビで、日本原産の甲虫類に異変が起こっている事を紹介していました。事の始まりは7・8年前に始まった、大型のカブトムシやクワガタムシ等の甲虫類ブームだそうです。
最初の頃は、カブトムシのつがいがペットショップなどで2万円ほどで売られていましたが、1999年に輸入が解禁され、南方系の大型の甲虫類が大量に輸入されてきました。
最初は南方系の甲虫類は日本の気候では自然に繁殖出来ず、野山に放たれたとしても自然に淘汰されると考えられていたそうです。
ところが、南方系のものでも2000メートルぐらいの高地に住むものは、充分日本の気候に対応できることが分かってきたそうです。そして日本原産の種と交雑を行った結果、雑種が自然に生息しているものの中で、かなりの比率を占めるようになってきたそうです。そう言えば、映画「ジェラシック・パーク」でも同じような話しがありました。
我が家に飛んできたクワガタムシも、日本のヒラタクワガタなどに比べると肩幅が異常に大きく、外国産大型クワガタのDNAを引き継いでいるのではないかと思われます。
輸入された昆虫類は、ペットとして家の中で飼われているだけなら良いのですが、生きたまま自然界に放つと自然環境を破壊していきます。
農業用途に輸入される蜂も、生態系に及ぼす影響が思ったより深刻であることが判ってきていますし、湖で問題になっているブラックバスも、多くの日本原産の魚の存続を脅かしています。
工業製品の場合ならば、例えばビデオテープがDVDに置き換わったとしても、それは進化したのだと片づけることが出来ますが、生態系の場合は食物連鎖のどこかが失われてしまう可能性があります。つまり生態系への影響は、進化ではなく必ず破壊になるのです。
特に食物連鎖の下位に位置する生物の生態は、必ず上位に位置するほ乳類の生態に影響を与えます。食物連鎖の最上位に私たちがいると考えれば、人類の将来を脅かす事態になることも考えられます。
生態系のメカニズムには、まだ解っていないことがたくさんあります。一度破壊された生態系は、容易には元に戻せないのです。