パーム・アプリケーションが揃ってきましたので、今度は教育用パーム・ハードウェアを考えてみましょう。
パームを個人所有を前提で考えるか、他の生徒と共用することを前提で考えるかによって、ハードウェアの仕様に違いが生じます。343.と344.の雑記で紹介した例でも、個人で購入することを奨励してはいますが、基本的には共用しているようです。
個人で管理ができる年齢になれば個人所有も良いかもしれませんが、小学生の場合は共用の方が便利でしょう。教師によってインストールされたアプリケーションを把握することができますし、予め授業に応じたセットアップをしておくことができます。充電やトラブルに対するメインテナンスも、まとめて行うことができます。
パーム本体は、落としても壊れないような筐体と液晶画面が必要です。またポケットに入れて持ち運ぶ訳ではありませんから、あまり小さくする必要はありません。また1日中使ってもなくならない充電容量が不可欠です。
CPUやメモリーは、どのようなアプリケーションを使うかによって変わってきます。画像や音声を扱うのならば高速CPUと大容量メモリーが必要になります。しかし、何と言っても予算と相談することになるでしょう。
教師とのコミュニケーションは、赤外線かあるいは無線LAN、またはブルートゥースが必要になります。いずれにしても、多くの生徒が一斉にビームしてくるのを受け取ることができるように、天井付近にアンテナや赤外線センサーを設置する必要があるでしょう。
さて、教師用のパームですが、こちらは教室だけでなく常に携帯して、少なくとも1年間のデータを保存できなければなりません。CPUやメモリーは最強のものを奢ることが必要です。生徒たちは、「いつかは、あのパームを自分も手にするんだ!」、と羨望の眼差しを向けるのです。(教師は置き忘れないように、注意しなければなりません。)
教師は、教員室のパソコンとパームを連携して、ダウンロードやバックアップを行います。クレードルは、教師用のパームと生徒用のパームすべてを同時に搭載でき、充電、バックアップ、故障診断、アプリケーションやデータのインストールを行います。アタッシュケース型のクレードルなら、そのまま教室まで運べます。
1クラス分の生徒用パーム、教師用パーム、パソコン、クレードル、教室の受信設備などを一つのパッケージにして、学校に導入するのです。学年に応じたアプリケーションも、カリキュラムと共にパッケージすれば、速やかに授業に展開する事ができます。
これまで専用教室に導入してきたパソコンは、「パソコンのための授業」が必要でした。パソコンを使うこと自体が目的ならそれでも良いのですが、ITは道具(ツール)として利用されなければ意味がありません。
これからは、「授業のためのパーム」を導入しましょう。パームを授業に活用することによって、効果的な授業を、教師の負担を軽減しながら実現し、生徒は興味を持って授業に取り組むことができるのです。
学校教育におけるIT化が、今始まるのです。