海外の例の中にも、いくつかの教育用パーム・アプリケーションが登場していましたが、日本の教室で使うとしたら、どのようなアプリケーションがあれば良いでしょうか?
大きく3つに分類してみましょう。まず教材としてのアプリケーション、次に辞書や図鑑のようなリファレンスとしてのアプリケーション、最後に授業をサポートするアプリケーションです。
最初の教材として使うものには、ひらかな・かたかなの書き方を覚えるものや、九九の練習から始まって、足し算、引き算、掛け算、割り算の練習をするものが考えられます。
仮名の練習が終われば、漢字の学習が始まりますが、学年が進むに従って学習する漢字の数も増えてきます。パームを使って書き順をなぞって練習したり、漢字を表示して音読み・訓読みを入力したり、熟語を作成したりするアプリケーションがあれば、効率よく覚えることができます。
漢和辞典とリンクすれば、画数や部首、字の成り立ちなど、多くのことを同時に学ぶことができます。
実は、日本の初等教育で多くの時間を費やしているのが、漢字の勉強です。これを如何に効率よく勉強することができるかが、教育改革の重要な課題と言えるでしょう。
漢字の勉強を効率よく行えば、同じ教育内容でも時間的ゆとりを生み、英語などの時代の要請に合った内容を無理なく組み入れていくことができるのです。
漢字と同様に、難しい言葉も国語辞典とリンクしていれば、同音・同義語や参考文例等を含めて参照することができます。
パームのアプリケーションで実現すれば、学年に応じた難しさの国語辞典を使うことができるでしょう。今は、小学校に間に1冊かせいぜい2冊の辞典を使うようですが、学年に応じて字の大きさや説明の難しさを変えたバージョンを用意することもできます。
計算の練習も、パームのアプリケーションなら、多くのバリエーションを揃えることができます。毎日の結果を貯えておき、平均点やかかった時間などを記録することも簡単に出来ます。
これら以外にも、時計の読み方やカレンダーの使い方、度量法の勉強やことわざ辞典、地雷の伏せ方やのろしの上げ方(これは落語でした?)、等々、いくらでもパーム・アプリケーションを利用した教材を用意することができるでしょう。
リファレンスとしては、漢字辞典や国語辞典以外にも、理科年表や歴史事典、あらゆる図鑑の類から地図に至るまで、多くのものが考えられます。
今までの授業では、辞典や図鑑を授業中に参照することは、スペースの関係で無理がありました。掌のパームなら、狭い教室の机の上で十分です。
最後の授業をサポートするアプリケーションですが、前にも出てきた"Classroom Wizard"のような、教師と生徒のコミュニケーションツールが必要になります。
テストを迅速に実施し、結果をすぐさまサマリーする事ができる事は、手によって採点したり集計していたのに比べて、教師の生産性の向上に寄与するでしょう。
また、生徒がどの問題をどのように間違えたかがすぐに判るため、弱点に絞って重点的に指導することが可能になります。
出席を採ったり、生徒に連絡事項を伝えたりすることも、これまでより簡単で確実に行うことができます。
さらに、教師の為のアプリケーションとして、生徒情報管理や年間の行事管理、成績の統計的処理やレポート作成等々、パソコンとの連携を利用して様々な用途に使うことができます。
小学校から中学校、高校まで、ほとんどの学校教育の場でパームは有効な教育ツールとなるでしょう。パームを利用することによって、これまでより授業を効率的に行うことができ、教師の負担を減らすことができます。
そして最も重要なことは、生徒がパームを使うことによって、「勉強することが楽しくなってくる」ことなのです。