こしぱ WEBLOGのとらじろうさんの4月20日の雑記を読ませて頂いき、アマチュア無線にかつて凝っていた時の事を思い出しました。
おそらく数十年前までは、電波の利用においてまだ発展期であり、どのように電波が地球上を伝搬するか、それほど正確には分かっていなかったように思います。限られた出力で、できるだけ遠くに電波を飛ばす事を目標に掲げる無線家たちは、太陽黒点の動向を探り、アンテナを工夫して指向性を高め、真空管を磨き、他の国々の時差を計算し、通信技術を高めながら目的の交信相手と巡り会えることを目指したのです。その過程で多くの発明がなされ、新技術の開拓に多大な貢献をしてきました。
ある者は、アンテナに新しい概念のアクティブ・レフレクターを考案し、ある者は超高周波を増幅するために導波管を板金加工し、ある者は海外と交信するために語学力を身につけ、ある者はナローバンドのテレビ通信を実験し、そしていつしかそれらの技術は特殊なものではなくなって、私達の誰もが利用することが出来るようになってきました。
今、携帯電話の中継局として使われているものは、アマチュア無線で使われてきたリピーターの技術を応用したものです。また、テレビ会議システムなどで使われている画像伝送技術は、SSTV(Slow Scan TV)の技術です。
昔はアマチュア無線を、"King of Hobby"と呼んでいました。世界中で統一された免許制度のもとに、言葉や文化を超えた交流ができたのです。これ以上のグローバルな趣味があったでしょうか?
そして、電子技術の進歩によって、以前は特殊な技術が必要であった無線機の運用が、今や誰でも手軽に携帯できるようになったのです。それと同時に、無線や電波と言うこと自体をほとんど意識しないで、携帯電話(無線機)を使いこなすようになってしまいました。
長距離通信が高価なものであった時代においては、世界中に自由に電波を飛ばす事はアマチュア無線の特権でした。電波という言葉には特別な響きがあります。1秒間に地球を7周り半(30万キロメートル)も駆けめぐる光と同じ速さで伝わると言う神秘性は、コンピューターのネットワークとはまた違った魅力があります。
これから無線技術がどのように発展し、人類の進歩に貢献するのか分かりません。でももうどこかで、無線が新たな世界を切り開いているような予感を感じるのは、私だけでしょうか?