セイコーエプソンから新しくレンジファインダーを搭載したデジタルカメラが発表されました。これまでのM型ライカレンズを装着できると言うことで、優れたレンズと新しいデジタルカメラの融合を図ろうとしている意欲作のように見受けられます。
デジタルカメラとしては、液晶モニターを内蔵したコンパクトタイプのものが先行し、最近は一眼レフタイプのものが徐々に普及してきていますが、そこに本格的レンジファインダーカメラを引っ提げて、エプソンとコシナが共同で高級デジタルカメラの市場の一角を狙おうとしているようです。
予想売価が30万円と言うことで、ライカのレンズを既に所有している、ハイ・アマチュアクラスをターゲットにしているのでしょう。
マウントの規格などの情報はライツ社から有償支給されているものと思われますから、レンズのヘリコイドと距離計の連携などの精度も十分に出ているものと期待します。
ただ、個人的には企画としては面白いと思いますが、そこまでしてレンジファインダーをデジタルカメラに採用する意味があるのか疑問に感じます。レンジファインダーの広角レンズ系での測距精度が優れている点や、露光の瞬間にファインダーの暗転がないことを、レンジファインダー採用の利点として上げられていますが、背面に液晶モニターを搭載している事からも分かるように、レンジファインダーはおまけ的要素が強いように思います。
さらに、レンジファインダーの視野率は85%しかなく、液晶モニターの99.7%に比べてかなり見劣りがします。確かに実像式のファインダーは明るく見やすいのは確かですが、それもライカM3に代表されるような優秀なファインダー光学系があってのことです。
ましてや、撮影レンズを通して確認するTTLが常識になっているデジタルカメラにおいて、今更レンジファインダーでもないような気がします。
ノスタルジックなライカレンズを、最新のデジタルカメラとして使ったら、どのような結像をするのかという興味を満たすには格好のカメラと言えますが、実用的にはあまりにもアンバランスではないでしょうか?
レンジファインダーにはレンジファインダーの良さがあり、デジタルカメラにはデジタルカメラの良さがあるのですが、今回の製品はそれらの良さの相乗効果があるとは思えず、奇をてらっただけという感じがします。
そもそもデジタルカメラにおいては、ファインダーは銀塩カメラほど重要な要素ではないと思います。デジタルカメラは、その特長を生かして銀塩カメラに出来なかった機能を盛り込んで行くべきだと思います。
敢えてファインダーでしか特徴を出せなかった銀塩カメラの後追いをするのではなく、デジタル技術を生かした、進歩性のあるカメラの方が夢があるのではないでしょうか?