日経サイエンスの最新号に、「早まる春 崩れる生き物たちのリズム」と言う記事が掲載されています。地球の温暖化によってどのような変化が始まっているかを検証しています。
オランダ南東部のデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園のシジュウカラの産卵時期は、20年前とほとんど変わっていないそうです。ところがこの地域の春の気温は、平均で2℃上昇しているそうです。
その結果、雛がかえったときの餌になる蛾の幼虫には温暖化の影響が見られ、20年間で2週間も早く孵化するようになったそうです。以前は雛が最も餌を必要とする時期と蛾の幼虫の孵化の時期が一致していたそうですが、シジュウカラの雛が生まれて餌を最も必要とする時期に、既に幼虫のピークは過ぎてしまっているのです。
地球の温暖化によって、それまで一定のリズムを守ってきた食物連鎖において、ズレが生じ始めていると警告しています。
さらにこの研究では、蛾の幼虫の餌であるナラの木の柔らかい若葉の関係も調査をしています。ナラの芽吹きと幼虫の孵化がほぼ同時に起こらなければ、幼虫は餓死してしまうそうです。芽吹きより早くかえった幼虫が餌にありつけないだけでなく、芽吹きから2週間たつと葉がタンニンを含むようになり、やはり食べることが出来ないそうです。
ナラの芽吹きがこの20年間で10日早まり、幼虫の孵化は15日早まっているそうです。この結果、この蛾の幼虫の数が減ってきているそうです。幼虫が雛の餌になるシジュウカラの絶対数が減少傾向に向かうのは、時間の問題だとしています。
さて、問題はオランダのシジュウカラが絶滅する可能性があると言うことだけではなく、地球上であらゆる食物連鎖が崩れてきている(これを断絶と表現している)可能性があると言うことです。
地球上の生物が生存して行く為には、その生物に必要な環境が満たされることが必要であるだけでなく、その食物となる生物にとっての環境も重要であると言うことですから、ほんの少しの気候の変化が生態系に及ぼす影響には計り知れないものがあるようです。
地球は本当に「ガラス」で出来ているのかもしれません。