ラスベガスで開催されていたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES
2004)が、出展数・入場者数共に過去最高を記録して閉幕したそうです。米国のデジタル家電市場の好況を反映して、活気に溢れたものだったそうです。
デジタル家電は家電メーカーだけにとどまらず、いわゆるIT企業がこぞって参入し覇権を握ろうと狙っていますから、このような催しにおいて注目を集める製品を発表することは重要な意味を持つのでしょう。
AV関連の製品は、デジタルテレビを始めとして音楽やゲーム関連の製品が並んだようです。これらはそもそも何らかの情報を主に扱うため、デジタル化が容易ですから今後もデジタル家電の中心的存在になるのは間違いないでしょう。
CESの会場に未来の家"Next Gen04 Demonstration Home"がデーンと建てられていたそうですが、ネットワーク端末のアダプターが完備しており、将来のデジタル家電に家ごと対応できるようになっているそうです。
ただ面白いのは、そのデモンストレーションホームで注目を集めていたのが、デジタルとはあまり関係のないTOTOのウォシュレットだったそうで、米国ではまだ珍しいと見えて興味を示す人が多かったそうです。
さて変わり種と言えば、TMIOでしょう。"Tonight’s Menu Intelligent Ovens"とそのままのネーミングですが、今晩のおかずを賢く調理すると言ったところでしょうか。
TMIOのサイトに行くと、「"Jetsons"のように誰でも料理できる」と紹介されています。"Jetsons"とは30年ぐらい前にテレビで放映されていた米国アニメです。未来の自家用機で空中都市の空間を飛び交い、楽しく明るい未来を描いた番組でしたが、その中に自動調理器が出てきます。
TMIOのオーブンは普通のオーブンの機能に加えて、インターネットから操作することが出来ることと、調理するまでは冷蔵することが出来る点が異なっています。自宅に帰る時間にあわせて、外出先からインターネットや携帯電話で調理の時間を指定することが出来るそうです。
料理の材料は事前に用意しておかなければなりませんから、メニューを急に変えることは出来ませんが、家に帰ったときにアツアツの食事が出来ていることに意味がある人には良いかもしれません。
ただ、オーブンで何時間も調理するような料理なら便利かもしれませんが、数分で出来てしまう料理なら、家に帰ってからスイッチを入れても遅くないように思ったりしますし、冷蔵庫からその時に出せば良いので冷蔵機能も必要かどうか疑問が出てきます。
しかし特殊な用途、例えば介護が必要な人に温かい食事を届ける代わりになるとすれば、それはすばらしいことです。またこの製品が、将来は自動調理器に少しずつ近づいて行くのではないかと言う期待も出来ます。
Jetsonsの自動調理器は、食品の材料は粉末のような物を入れるだけであらゆる料理が作れました。でんぷんやタンパク質の粉末とサラダオイルを入れて、調味料の素をカートリッジで装填すれば、ハンバーグでもおでんでも、何でも出来る調理器があれば料理の革命です。キッチンはもはや家には必要なくなります。
最近、狂牛病や鳥インフルエンザのニュースが相次いでいますが、そのうち地球上の全ての食材が汚染されてしまい、化学的に合成されたタンパク質を使って自動調理器で食事を作るのが、当たり前になってしまうかもしれません。
TMIOのオーブンがこれからどのように発展して行くのでしょうか?デジタル家電の究極の姿がそこにあるような気がします。