フランスの探検家ジャック・カルティエは、中国を発見しようとして大西洋を渡り、セント・ローレンス川を遡って行きました。1534年のことです。
現在のモントリオール(Montreal)まで来た時、寒さで船が氷に閉ざされたためそれ以上進むことができず、冬の間塩漬けの豚肉とビスケットで生き延びようとしました。しかし、新鮮な野菜や果物がないためビタミンCが欠乏し壊血病になってしまい、何人もの隊員が死亡しました。当時は壊血病の原因が、ビタミンCの欠乏だとはまだ分かっていなかったのです。
その時、原住民(American Native)が彼らに教えたのは、松の樹皮や枝を煎じてTeaを作る方法でした。そのTeaを飲んだ隊員たちは、まもなく回復し生き残ることができたのです。
それから400年以上が経ち、フランスのボルドー大学の教授が、カルティエの冒険記を読み興味を持ちました。「松の樹皮には、ビタミンCだけではなく、もっと効果的に働くバイオフラボノイドがあるはずだ!」、とその正体の研究を仲間と始めます。
その後、PCO (Procyanidolic Oligomers)と呼ばれるようになったその成分は、松の樹皮だけでなく、ぶどうの種、レモンの木の樹皮、ピーナッツ、クランベリー、かんきつ類の果実の皮にも含まれていることが判ってきます。
教授は、松の樹皮からPCOを抽出する方法の特許を1951年に、ぶどうの種から抽出する方法の特許を1970年に取得します。その頃から、ぶどうの種から抽出されたPCOに関する研究が相次ぎ、薬理学的、臨床的解析が盛んにされるようになります。
このようにヨーロッパではフランスをはじめ各国で、ぶどうの種や松の樹皮の効用についての研究が盛んにされてきました。これらの抽出物から作った薬は、静脈瘤や動脈硬化、水腫やアレルギー疾患の治療薬として、ヨーロッパでは実績があるそうです。
ところで、心臓疾患の発症率を欧米諸国で比べてみると、フランスだけ異常に低かったそうです。これは「フレンチ・パラドックス」と呼ばれ、科学者の間で議論を呼ぶことになります。