274.ジャイアント・セコイアから学ぶ4: 樹皮を食べるサル (2003/12/09)

ジャイアント・セコイアの樹皮に含まれるタンニンが、樹木を病気や害虫から守り、3000年もの長い間生命を維持してきました。またタンニンは、樹木を紫外線の害から守るためにも重要な役割をしているそうです。


このように樹皮は、樹木の生命を維持する為にはなくてはならない物なのですが、この樹皮を食べる動物にとっても欠かすことのできない物なのです。


サルと言えば、動物園でバナナを食べている様子が目に浮かびますが、野生のサルがバナナを手に入れることは稀です。バナナに限らず果実や穀物の類は、そう簡単に手に入るものではありません。そこで、野生のサルは身近にある物を食べて、飢えをしのぐ必要があります。


サルは針葉樹の樹皮を常食しているらしく、サルのいる山では木々の樹皮が剥がされてしまうため枯れてしまう事があるそうです。バナナなどの果実なら、カロリーが高いため少量で済むのですが、木の樹皮は栄養分が豊富ではありませんから、大量に摂取しなければサルの体重を維持する事はできません。


結果として山の木が枯れていくのですが、同時にサルは樹皮を食べることによって、タンニンビタミンCなどの健康を維持するために必要な物質を摂取することができるのです。


このことは、サルと人の食生活の違いを考える時に参考になります。サルは必然性から樹皮を摂食することによって、様々な抗酸化作用を持つ物質を吸収し、その結果がんの発生が抑えられると言うのです。


本来野生動物が、果実や穀物を食べることができるのは、1年の内の限られた期間だった訳ですから、それ以外のシーズンはもっと栄養価の低い食事、けれどもタンニンなどの含有量の多い食事をしていたのです。ところが、農耕が発達したことによって常に栄養価の高い食事をすることになった人類は、タンニンなどの摂取が減ってしまったのです。


さて、樹皮に含まれる物質が人間にとって不可欠であると言う事は、世界の歴史の中にも裏づけがあります。