251.方向音痴な方位磁針 (2003/11/10)

今日は、「度忘れするメモリー」に引き続いて、「方向音痴な方位磁針」のお話です。


私が子供の頃は、方位磁石と呼んでいたように思うのですが、今小学校では方位磁針と教えているようです。コンパスと言った方が分かりやすい方もいらっしゃるかもしれません。


見知らぬ土地で車の運転をする時、いったいどっちの方角に進んでいるのか不安になることがあります。地図を片手に歩いているのなら、地形や目立つ建物などが見えますし、通りの名前を確認しながら地図の上での位置を確かめながら歩くことができます。


車の場合、交通の流れに乗って移動していると、地図上の現在地を把握するだけでも苦労します。増してや全く違った方角に進んでいて気づかなかった場合、とんでもない所まで行ってしまう可能性があります。


そこで、助手席にナビゲーターがいる場合、地図を見るのと同時に方位磁針を使って、進行方向が正しいか確認しながら進むと、安心して運転することができます。


2002年6月、私たちはフランクフルトでレンタカーを借り、そこからロマンチック街道を経由していくつかの街を訪れながら、オーストリア、スイスを抜け、フランスのリヨンまで南下しました。途中助手席のナビゲーターは、地図と方位磁針を使って進路を指示するのですが、方位磁針はいつも概ね南を指しています。南に向かっていますから正しい道を進んでいると言うことで、私たちは進行方向に自信を持って運転を続けて行きました。


さて、リヨンまで来るとここからはパリに向かって北上していかなければなりません。リヨンからハイウェイに入ると、大きく「パリはこっち!」と言う標識が出ています。さすがパリは大都会です。こんなに離れている都市でも表示が出ているのに関心しました。


大阪の街中で、「東京はこっち!」と言う標識が出ているのに近いものがありますから、如何にパリがフランスにおいて中心的な役割をしているかと言うことでしょう。私たちは自信を持って、そのハイウェイの流れに乗りました。


さて、パリに向かって北上していると思って方位磁針に目をやると、これが何と南に向かっているではありませんか。「いかん、パリに向かっていたはずが反対を向いて走ってしまっている。」と思ったのですが、相変わらず「パリはこっち!」の標識が出てきます。進行方向は正しく北上しているようです。昨日まで正しく示していたのに、どうして方位磁針が急におかしくなったか不思議でした。


そうこうしている内に、曲がらなければならない交差点を通り過ぎてしまったようです。来た道を反対側に戻りました。方位磁針はどちらを向いているかと言うと、あれまた南を向いています。ここでやっと気づきました。


休憩で車を止めた時、方位磁針を持ったまま降りると、針の示す向きが変わります。車から離れると正しく示しているようです。ところが、助手席に座ると前方が南になります。どうも、パワーウィンドのモーターか何かの影響を受けているようです。


これまで5日間ほど運転をしてきて、いつも概ね南を指していて安心していましたが、単なる偶然だったようです。最初から北上するルートを取っていたなら気付いていたかもしれませんが、南下している間中その概ね南向きを信じてドライブして来たと言うことです。


本格的な登山用の方位磁針であったので特に信頼していたのですが、自動車のように電装品が多いと、何に引っ張られるか分からないと言うことなのでしょう。そこで教訓。


方位に自信を持つのなら、方位磁針を持つよりも、地図をしっかり読みましょう!