243.森林は育てるもの (2003/11/04)

カリフォルニア州南部の森林火災が、ようやく鎮火しようとしています。これほどまでに燃え広がったのは、枯れた木を伐採して来なかったからだと、新知事は力説しています。


日本の林業が、一部のブランド銘木以外利用されなくなったのは、間伐植林の手間をかけなかったからだと言われています。森を育てるのは何十年とかかる長い仕事です。長い仕事になればなるほど、その間に少しでも手を抜けば、確実にその影響が出てきます。


神戸にある六甲山は、明治までは禿げ山だったそうです。元々花崗岩でできた山で、自然と木が生長するには適していなかったのかもしれません。その後植林に力を注いだおかげで、今では緑豊かな木々に覆われています。


松食い虫の被害を避けるため、ある時期からを積極的に植林してきたそうですが、最近これら常緑の針葉樹によって、低層に生えるべき草花が育ちにくいと指摘されています。そこで常緑の杉や桧を間引いて、その代わりに落葉する広葉樹を植えて行こうとしています。


広葉樹は、葉を落とすことから下層部の草にも日が当たる時間が増え、落ちた葉が土地を肥やすので多くの植物が育つ、いわゆる雑木林を形成し易くなります。雑木林は植物のみならず、小動物にとっても住み易い環境を形成します。


また、針葉樹は根の張り方が少なく、土砂崩れ鉄砲水などの災害が起きやすいのですが、広葉樹根を広く張るため地面の保水力が増し、水災害の対策としても効果があるようです。


一般的に、広葉樹はその枝葉が空中に広がっているのと同じだけ、地中に根を張り巡らせているそうです。つまり、上から見て枝葉が投影される地面には、根が伸びていると言うことです。それだけ大地に根ざしていると言うことでしょう。


森林の育成・保護には多くの人手と時間がかかります。また、継続的なメインテナンスも欠かせません。企業の中には、本来の事業とは別に、積極的に植林事業を進めているところもあります。


22世紀の森林は、もう生長し始めているのです。