216.お役所仕事ー2題 (2003/10/08)

NIKKEI NETの社説・春秋に、日本のお役所仕事に関する問題点の指摘が、同じ日に2つ掲載されています。一つは「社説2 薬のテレビ電話販売認めよ」で、厚生労働省の薬事法に関する問題点です。


薬剤師が帰宅した店舗に訪れた客に、テレビ電話を使って遠隔地にいる薬剤師が薬を選択し、資格のない店員が販売することに待ったをかけたものです。


その理由が、テレビ電話だと泥酔した客に薬を売った場合、用量を間違えて危険だと言うのです。しかし、酔った客に薬を売らないと言う決まりがあったとは思えませんし、薬剤師がいても同じことのように思います。


実際、薬剤師の常駐が求められていても、販売時には不在のケースが2割もあったと言う調査があるそうですから、薬剤師の常駐が義務化されていても既に形骸化しており、しいては薬剤師の不要論まで出て来るのは当然でしょう。


そもそも、印刷されたパッケージに入った一般的に常備薬といわれているものは、買ってきた時に飲むとは限らず、家庭の救急箱に常備されているものです。いちいち症状を薬剤師に見せてから服用する訳ではありません。


つまり、そのつど医師の処方箋によって処方される薬以外は、スーパーの棚から自由に取ってきて家庭で常備しておくもので、薬剤師が販売の独占をする必要性はありません。


これは、薬剤師の既得権を守るために、国民が犠牲になっている一例です。


次は、「春秋」で書かれているゆとり教育に関してです。文部科学省が進める新学習指導要領の問題点を指摘しています。


どうも、役所の仕事は、原因結果について考察しないで、なんとなくこれまでと違ったことを策定すればよいと言う感じがします。役所の仕事を無理やり作っているだけで、何ら結果に結びつかず、またしばらくして別のことを考え出す。まったくサイエンスの欠片もありません。


日本の教育レベルが高いと言われたこともありましたが、今や産業のグローバル化が進み、日本の企業だからと言って日本人を雇う必要もありません。世界に伍していける人材を輩出しなければ、グローバルな雇用市場で日本人が取り残されてしまうでしょう。人材の育成が文部科学省の役割であると言うことが分かっているのでしょうか?


日本のお役所仕事の問題は、今に始まったことではありません。近い内にシリーズでご紹介してみたいと思います。