204.新生コダックの示すもの (2003/09/26)

The New York Times on the Webに、コダックが企業戦略を転換して、株主への配当72%削減すると発表したと言うニュースが掲載されています。1880年に創業以来配当を下げたのは初めての事だということです。


以前、「179.コダックが写真から撤退?」でも書きましたが、90年代に事業のデジタル化を進めたにもかかわらず、現在でもコダックの売り上げの70%はフィルムやその現像処理から得ているそうですし、また会社の利益のすべてがそこから得られているそうです。


その中核となる事業を捨ててまで方向転換をしようとしている理由は、カメラと写真のデジタル化が予想を上回る速さで進行しているからだそうです。年初の予想を2倍のペースで上回る速さでデジタル化が進んでいるそうで、フィルムの需要がなくなるのは時間の問題であり、しかもそう遠いことではないと見切りを付けたと言うことなのでしょう。


年初の予想がどのようなものであったか、あるいは2倍のペースがどのぐらい速いかはわかりませんが、いま利益を上げているからと言って今捨てなければ間に合わないと、必死に舵取りをしている様子が伺えます。


ただ、デジタル化するとはいえ、これから競合して行くであろう企業としてHPキャノンセイコーエプソンゼロックスがあがっていますが、これらは強力で不動の地位を築いている企業であり、競争に勝つのは容易ではないと警告しています。


コダックは、かなり昔から優れたカメラを輩出し、その光学技術には定評がありました。今も、USではソニーの次に売れているデジタルカメラを販売しているそうですから、デジタルの世界でもやっていける手ごたえは十分あるのでしょう。


しかし、過去にも先走って突拍子もない製品を作ることが多かったのも事実です。これからは、ハイアマチュア向けの、高機能デジタルカメラの分野を伸ばして生きたいそうですが、他のデジタル企業にはない、これまで培ってきた写真産業の伝統を生かした製品作りをしてもらいたいものです。


追伸:


明日は子供の小学校の運動会です。帰りに梅田のヨドバシカメラに寄って、ASA400のフィルムを買いました。思わずコダックの新製品に手が出てしまいました。これが最後になるかもしれないと思うと、少し悲しくなりました。