193.国の危険回避調査が物語るもの (2003/09/11)

神戸新聞WEB NEWSに、「神戸、大阪の空やっぱり過密 国の危険回避調査
」と言う記事が掲載されています。危険回避を指示する衝突防止装置(ACAS)が作動した経歴を調査した結果、大阪地区の空が過密状態であると指摘されています。


現在大阪には、伊丹空港関西空港がありますが、これらに加えて神戸空港の建設が進められています。現在すでに過密化が問題になっていて、衝突防止装置が作動しているとすれば、さらに危険度が増すことは必死です。


ご存知の通り、飛行機は追い風では揚力が不足するため、向かい風になるような方角から、滑走路に進入・離陸します。関西空港の場合、普段は南側から着陸し、離陸は北向きいに飛び立つのですが、風向きによっては北から着陸することがあります。


この時、着陸態勢に入った飛行機は、徳島空港上空から淡路島をかすめながら、神戸港上空を通過して、大阪湾全体を使って旋回します。これは、伊丹空港の離着陸機を避けるためだと思われます。


しかし、その神戸港の中に、新しく神戸空港を建設しているのです。本当これらの空港は、同時に使うことが出来るのでしょうか?あまりにも距離が近すぎるように思えます。実際は、神戸に空港を造っても、それほど便数が無いのかもしれませんが、それならなおさら建設の必要は無いでしょう。あるいは頻繁に離発着が繰り返されるなら、異常接近する事が頻繁に起こるでしょう。


米国のハブ空港では、多くの便をこなすために、平行に2つの滑走路を持つ空港があります。同時に発進して同じタイミングで離陸していく飛行機を見ていると、お互いの旋回する向きを間違えると、すぐに衝突してしまいそうでヒヤヒヤします。


飛び上がって数十秒後には、お互い離れる方向に向きを変えていきますが、かなりアクロバティックな感じがします。只、同じ空港から飛び立つのは、管制官が2機とも把握しているので、間違いが起こりにくいかも知れません。しかし、近くにある別々の空港から飛び立った飛行機同士の場合は、あっという間に接近してしまい、管制官が異常接近に気づいた時は、既に手遅れになっているということが起こらないか心配です。


192の雑記の、製造現場の安全性でも同じ事が言えますが、安全を保つための努力をすることはもちろん必要です。しかしそれ以上に大切なのは、設備や交通システムそのものが持つ、潜在的な安全維持能力ではないでしょうか?地元経済への期待を皮算用する前に、交通機関で一番重要である安全性の検討を十分にして頂きたいものです。