Nikkei Netの社説に、「製造業は基本に戻り安全対策の確立を」と言う記事が掲載されています。最近、日本の製造現場で続いている事故の原因がどこにあるかを、検証しています。
原因のひとつとして、製造現場の人員削減を上げていますが、製造業の従事者の数は、1992年の1569万人から2002年の1222万人まで減ったそうです。無駄を省くための人員削減であれば良いのですが、安全に欠かせない人員の削減になっているのではないかと危惧を呈しています。
また、設備の老朽化が進んでいるそうです。製造設備の使用年数が、1991年では日本が9.3年、USが7.3年だったのが、今では日本12年、US7.9年と、極端に日本の設備の老朽化が進んでいるそうです。
使用年数に関しては、よく航空機の例が出されますが、安全と言われている航空会社は、概ね平均機齢が若いようです。勿論、新しいばかりではなく、使い込むことによってカバーできる部分もあるでしょう。これまで以上にアイディアをひねり出して、安全性を保つ方法を考えていかなければなりません。
NASAの事故の際にも、徹底的に安全性を見直したようです。スペース・シャトルが経済性や安全性で優れているという前提さえも、見直しの対象になっているそうです。
安全と言うものの考え方や設計思想までも含めて、日本の生産現場の現状に合わせた、新たな安全管理、品質向上の方法論を築いていかなければならないのです。
米国式は、マニュアルで事細かく規定して、誰がやっても同じ結果が出るようにしています。これに対して日本では、これまで製造現場の自主的な改善活動に任せておけば良かったのですが、これからは設計で品質を作り込むことを、いっそう進めていくことが求められて行く事でしょう。