昨日の話しの続きになりますが、エレベーターを使いやすくして利用客が増えれば、エスカレーターを利用する客は反対に減る訳です。当たり前と言えば当たり前ですが、ここに一つのヒントがあります。
一方が増えれば他方が減るような場合、例えば1本の紐を2つに切り分ける場合は、足した長さは変わりませんから、2本とも長くするような努力をしても無駄になります。
最近、大容量のハードディスクを搭載したビデオデッキが普及し始め、長時間の録画が可能になってきました。一方、家庭へのデジタル回線はますます高速になっていきます。はたして大容量のデータ記憶装置と高速回線の、両方が同時に家庭に必要でしょうか?高速回線があれば、予めデータを取り置きする必要はなくなってきます。
昔、ビデオが普及し始めた頃、忙しくてテレビの放送が見れない人が、これで好きな番組を見る事ができる、とビデオを買って録画をして暇な時に見ようとしたら、そもそも暇な時間がなかったと言う話しがありましたが、忙しさとテレビの両方を同時にこなす事に無理が合ったようです。
昔から、「二兎追う物は一兎も得ず」と言います。来客数や時間によって、全体が制限されている状態で、何かを変えようとすれば必ずもう一方にしわ寄せがきます。それでは、努力してもすぐに限界が来てしまいうまい具合には行きません。
PDAを、パソコンや携帯電話に挟まれた適応分野に限っていると、同様に一定の機能を取り合う事になりますから限界があります。そういう意味では、ソニーがエンターテインメントを目指すのは、パソコンや携帯電話と同じパイを取り合わない為かもしれません(その代わりMDプレーヤーなどと取り合いになりますが)。
例えば、PDA業界が一団となって、電子通貨の標準をまとめ、世界共通の電子財布を提案していくのはいかがでしょうか?失敗すればPDA業界がなくなる可能性もありますが、現状を打破するにはこれぐらいのインパクトが必要ではないでしょうか?