663.メイヨークリニック受診日記4: 呼吸器のテスト (2008/04/12)

さて翌日の木曜日、朝7時20分にプラマービルの3階に行き、呼吸器のテストを受けます。少し予約の時間より早く着いたので、まだ通訳のMJさんはいらっしゃいません。


受付を済ませて椅子に座って待っていると、典型的なアメリカ人のおばさん(どんな感じかというと、パーマを掛けて、色の白い顔で、縁のはっきりした少しつり上がって見える眼鏡を掛けた中年の女性)が、何やらカウンターの中でひそひそ私の方を見ながら、若い係の女性に指示を出しています。


その時、私はアレルギー症のためにマスクをしていたのですが、どうもUSではマスクをしている人間は、危険な伝染性病原菌をばらまく危険人物であると考えるのでしょう。予約の順番を入れ替えてでも早く検査を終えて、とっとと退出させなければならない決まりがあるようです。


案の定、待つ暇もなく検査室に呼ばれました。測定用の装置が置かれた検査室にいたのは、30才を過ぎた頃のスマートな女性でした。


私がマスクをして来たのを見て、その女性は恐る恐る引き出しからマスクを取り出そうとしたのですが、「アレルギーだからマスクをしている」と説明すると安心した様子です。この国では安易にマスクは出来ません。


テストが始まるとてきぱきと私に指示を出しながら、いろいろな呼吸機能のデータを取っていきます。このころになって通訳の方が入ってこられました。


息を止めたり強く吐いたり、いろいろなパターンで検査するので結構疲れます。アクリル板でできた水槽なようなものの中に入って、得体の知れないガスを充満した中で検査したのは初めてでした。検査は30分ぐらいで終わりました。


今回の検査をしてくれた方は垢抜けていて、ミネソタ出身と言うよりは都会的な感じを持った、素敵な女性でした。メイヨークリニックの医師の先生方は、全米から集まってこられているそうですが、それ以外の職種では地元出身の方が多いそうです。


さて、検査が終わってから通訳のMJさんに、テストを受けたプラマービルの3階にある博物館を案内してもらいました。メイヨー兄弟が初めて診療を始めた頃の文献や写真、治療器具等が展示されていて、なかなか面白い内容でした。


昔の治療器具は、以前コロニアル・ウィリアムズバーグアッパーカナダヴィレッジでも見たことがありますが、大工道具と見紛うほど迫力があります。虫歯の治療器具などは、どう見ても太いドリルややっとこですから、決死の覚悟で治療に臨んだことでしょう。


この建物はメイヨークリニックなかでも一番古いと見えて、エレベーターの天井には丁寧な木彫りの装飾が施されていますし、廊下などの重厚な内装には雰囲気があります。ロチェスターと言う街が、メイヨークリニックと共に発展してきたことがよく分かります。


今日は病院の駐車場ではなく少し離れた市営の駐車場に車を止めたので、駐車代が2時間のうち最初の1時間がタダになり1.5ドルと安かったのが嬉しかったです。(それより本当は今日の検査代の方が気になるが、、、)

662.メイヨークリニック受診日記3: 初診忘れるべからず (2008/04/09)

かなり回り道をしましたが、やっとメイヨークリニックのすぐれた医療を体験できます。一体どんなエキサイティングな診察が待っているのでしょうか?


予約時間を過ぎて、待つこと25分。その間に、日本語の通訳をしていただくMJさんが来てくださいました。メイヨークリニックに関係のある方が、ボランティアで診療の間通訳をしてくださいます。


診察室は、USの病院に良くあるパターンです。日本の病院は治療室という感じで殺伐としていますが、それよりは暖かみがあります。


診察してくれたのはDr.Brian。一通りの問診と触診があり、やはり次に耳鼻咽喉科アレルギー科を受診する事になりました。どちらか片方の診療科だけか、または両方の受診を選択出来たのですが、滞在期間の関係もあったのでアレルギー科を選びました。


内科の問診内容は特に変わったものではなく、症状やその履歴、家族の病歴などを一通り確認するものでした。


ただ、後から送られてきた診療記録を見たときに思ったのは、日本ではカルテに短くメモ書き程度に記録するのとは違い、かなり長い文章が書かれていました。特に患者の話した事は、ほぼ話した通りに記録されていたのには驚きました。


ドクターは受付カウンターまで案内してくれて、そこで明日のアレルギー科の診察と呼吸のテストの予約を取ってくれました。


その後、別の所に胸のX線写真を撮りに行くのですが、鍵の掛かる着替えるためのブースがいくつかあり、そこで撮影用のガウンに着替えます。トイレの個室のようなブースは、全く外から見えないようになっています。すぐに名前が呼ばれて、胸のレントゲン撮影をします。


レントゲン室の案内をしてくれたのは、典型的メタボ体型の女性、年齢不詳。


書いてしまうとあまり日本と変わらないのですが、やってみると何となく滑稽であり、変に杓子定規で、そして患者のプライバシーを守る事には気を使っているように感じました。


レントゲン撮影が終わった後は、通訳の方と少しお話をしてから帰りました。たどり着くまでが長かっただけに、意外とあっけなく終わった内科の診察でした。


さて次の日、予約していた時間にアレルギー科の受付に行ってみると、予約が変更されているとのこと。何やら呼吸のテストが終わってから受診した方が良いと言うことで、知らない間に変わったらしいのです。ホテルに滞在しているため昼間は不在で、私に電話で連絡ができなかったようです。


そこで、まずアレルギー科の予約を来週の月曜日に変えてもらった後、もし空いていれば呼吸のテストを今日受ける事ができると言うので検査室のあるプラマービルの3階に行ってみました。


しかし、やはり急には空きがないとのことで、予定通り呼吸のテストは明日の朝行くことになりました。


さすがにスムーズに事が運ばないことにも慣れてきました。「次はあっちへ行け、次はこっちだ」とやっている内に、広い病院の様子もだいぶ分かってきました。


病院の中のいろいろな人に相手にされて、これはこれで面白い経験ではなかろうかと思うようになってきました。(しかし、やっていることの割には駐車代が高く付くなぁ~。)

661.メイヨークリニック受診日記2: ようやく予約にたどり着き (2008/04/02)

最近は、日本でも高度医療を担う病院では、掛かり付けの医師からの紹介状がなければ、基本的に診察を受けることが出来なくなりました。


USではもっと古くから掛かり付け、すなわちホームドクター制度が一般的になっていましたから、メーヨークリニックで診察を受けるのにも、紹介状なるものがなければならないものと思っておりました。


ところが、ここロチェスターでは他のUSの地域とは制度が異なっており、、メイヨークリニックが地域医療の最前線に位置づけられていると言うではありませんか。


勿論、日本で言うところの医院的な施設がないわけではありませんが、その数はかなり少なく、まず病気になったらメイヨークリニックに電話を掛けて予約を取るというのが、ロチェスター流のようです。


そもそもメイヨークリニックは、複数棟のビルからなる巨大病院ですが、入院設備はなく外来専門だそうです。一方、入院施設のある病院としては、1マイル程離れたところにある同系列のセント・メリー・ホスピタルがあります。


電話帳を調べてみると、確かに外来の予約受付番号の案内があります。金曜日の午後に電話をしてみると、最初は内科の診察を受ける必要があるらしく、来週の月曜日の朝一に初診フロアに来れば診察してもらえるとのこと。予約時間がはっきりしていないことが気に掛かりましたが、とにかく診察してもらえそうなので一安心です。


またその時に、メインビルディングの1階にある、International Departmentで登録手続きをしなければならないと言うので、場所を確認することも兼ねて、金曜日の夕方に行ってみることにしました。


確かに、ビルの1階に銀行の窓口のように綺麗なカウンターがあり、簡単な書類を提出すると登録手続きをしてくれて、日本の医療機関と同じ様なプラスチックの診察券を受け取ることが出来ました。


メイヨークリニックでは、海外からやって来る患者が診察を受けるときに、無料で通訳の方を用意してくれます。医学用語には難しい言葉が多く、聞き間違いは命取りになりかねませんから、お願いすることにしました。


さて、ここまでは順調だったのですが、月曜日に早速問題が起こります。


朝7時半に内科のフロアで待つこと3時間。予約が取れていると思ったのは間違いで、誰かが予約をキャンセルすることを見込んで、キャンセル待ちをすると言うことだったようです。ゆったりとしたソファーの並び待合室は快適ですが、さすがに3時間ともなると退屈です。


すると、カウンターから呼び出しがあり、「午前中はキャンセルが出そうにないから、もう一度午後1時に来れば、1時半ごろには診てもらえるだろう。」と言うので、いったん会社に戻り、午後また内科にやって来て待つこと30分。


すると今度は、「明日の午後1時15分に内科の予約が取れたので、明日出直しなさい。」とのこと。


喜んで良いのか悲しまなくてはいけないのか、よく分からないままに病院を後にしたのでした。