パームの次期スマートフォンのOSに、マイクロソフトのウィンドウズを採用するというニュース。パソコンのOSの覇者となったマイクロソフトが、携帯電話のOSの分野に本格的に乗り込んでくるようです。
これまでPDAのOSにおいてライバル同士だったパームとマイクロソフトが手を組むと言う事で、新しい時代の幕開けを期待したいですが、要はパームがパームOSを見限ったと言うことですから、マイクロソフトとしてはライバルがひとつ消えたことになります。
もちろんAccess社に買収されたパームソースが、今後も携帯電話の分野でパームOS製品を出してくるでしょうが、携帯電話では国際標準から外れた日本市場の枠に閉じ込められてしまうのではないかと思われます。
パームがいかにパームOSを今後も継続して製品に採用していくと言っても、パームOSのPDAあるいは携帯電話機におけるシェアーの低下は避けらないでしょう。
リナックスがPDAや携帯電話のOSとして取りざたされてきましたが、一方のウィンドウズが着実に地盤を固めようとしています。パソコンの販売台数が世界的に頭打ちになっている中、新しいウィンドウズの適用分野としてモバイルの主流である携帯電話の分野を重点的に攻めるのは当然のことでしょう。
20年ほど前はオープン・アーキテクチュアーなどの言葉がもてはやされ、オープンこそが新しいコンピューティングの姿であると信じていたものが、時が経ってみれば結局以前にも増して閉ざされた、1社独占による競争のない世界になっていたとは皮肉なことです。
やはりOSと言うのは一種のメディアとしての性格を持つのでしょうか。OSを製品として供給する企業が存在する限り、健全な発展はあり得ないように思います。複数の企業が切磋琢磨しながらよりよい製品を目指すという一般の工業製品とは、異なるコントロールが必要なのではないかと思います。
メディアは社会の共有財産でなければなりません。そこに人々が知恵を出し合い、よりよいものに高めていくことが望まれるのです。
コンピューティングと通信の融合は、マイクロソフトに全てのモバイル機器のOSを独占することを許すかもしれません。これは、健全な競争に基づく市場経済の目指すところではありません。
このニュースを聞いて、パームがウィンドウズを採用することに新たな展開を期待する人もいらっしゃるでしょう。
しかし、私個人的には、少なくともモバイル環境においてウィンドウズの対抗勢力のひとつであったパームが、スマートフォントというお土産を持ってマイクロソフトの軍門に降る事は、非常に残念でなりません。
近い将来訪れるユビキタス社会を実現するために、パソコンをさらにダウンサイジングし、通信をも取り込んだ手のひらサイズの端末に、パームはなっていたはずだったのです。
私にとってのパームは、終わったのかもしれません。