539.愛・地球博探訪記3: 万博に見るテクノロジーの進化 (2005/08/19)

大阪万博が開催されてから35年が経ちました。愛・地球博におけるテクノロジーは、35年前と較べてどれほど進化しているのでしょうか?


よくニュースにトヨタ館演奏ロボットが登場しますから、ロボットがテクノロジーの象徴のような印象を受けますが、全体的にはロボットを使った展示は多くはありません。


今回のトヨタ館のロボットはトランペットを演奏するとき、胸に内蔵した空気袋(肺)を使って、本当に吹いているそうですから、大阪万博のフジパンロボット館からは、かなり進歩しているようです。


あと目立ってロボットが登場するには三菱未来館ぐらいでしょうか? こちらは最新式ではなく、見た目はフジパンロボット館の時代とさほど変わらないように感じます。


JR東海パビリオンは、リニアモーターカー一色です。超伝導実験や映像、そして実験線を実際に走っていたリニアモーターカーが展示されています。


35年前に日本館で模型が走っていたのを覚えておられる方は、いまだに実験中であることに違和感を覚えるでしょうが、35年前の模型は決してリニアモーターで走っていたわけではありません。会場への交通としてリニモが実用化されていますから、着実に進歩してきたと言えるでしょう。


会場内の交通にはいくつかの方法があります。自転車タクシーはローテクの最たるものですが、なかなか人気があるようです。


ゴンドラやトラムは目新しいものではありませんが、IMTSと呼ばれる自動運転のバスは、新しい交通システムとして注目されています。


大阪万博のモノレールは自動運転が可能でしたが、実際は運転手が乗っていました。IMTSは何とモリゾーのぬいぐるみが運転席に座っています。


自動運転には特別な軌条が必要になりますが、道路の上でもバスとして運転することが出来ますから、密集地では鉄道のように連接して運行し、周辺地ではそのままバスになる事が可能です。


離れていた車体が、連結器もないのにピタッとくっつくように走行するのは見事です。ディズニーランドの「プーサンのハニーハント」のライドを、実用的な都市交通に発展させたものと言えるでしょう。


さて、今回の万博のキーデバイスの一つに、ICカードを利用した入場券があります。事前予約当日予約機は、このICカードがなければ成り立ちません。最新技術を有効に利用している好例と言えるでしょう。


ただ、ITインフラが整備されていて、会場内で必要な情報がすぐに手にはいるかと言えば、決してそう言うわけではありません。パビリオンの混雑状況もエリア内の情報に限られていますし、毎日変わるイベント情報の入手も困難です。


フードコートで警備員が2才ぐらいの子どもを抱えて親を捜し回っていたのも、あまりハイテクとは言えないでしょう。迷子センターや迷子ワッペンが提供されていた大阪万博の方が進んでいたかも知れません。


一方パビリオンや交通機関の混雑状況が、携帯電話で確認できるようになっています。確かに携帯電話は便利なものですが、その便利さだけに頼ってしまうと、他の情報伝達の手段が発達しなくなる恐れがありそうです。


大阪万博のシンボルであった太陽の塔には、3つの顔がありました。未来の顔の目から一直線に放たれた強力なせん光には、未来を明るく照らし出すという意味が込められていました。


愛・地球博のシンボルである大地の塔は、ギネス公認、世界最大の万華鏡です。変幻自在に見える万華鏡が、私たちの混沌とした未来を暗示しているのでしょうか?