さて、保守的な小学校の教育現場では、IT化による変革がないまま時代に取り残されつつあります。しかし、世間にはIT機器が溢れていますので、子どもたちはいつしかIT機器のような物を手にするようになります。
携帯型ゲーム機は、その際たるものと言えるでしょう。その普及の度合いはパームの比ではありません。対象とする年齢層において、カリスマ的な存在と言っても過言ではありません。
今の日本の子どもたちは、IT機器に幼いときから接し、意識しないで使うことができるのです。教育のための道具として使わない手はありません。
幸か不幸か、携帯型ゲーム機を売りまくっている企業が、元来ゲームやエンターテインメントが本業であるため、このハードウェアを教育用に使おうとはしていないようです。その気になればかなり高度な教育ソフトに対応できると思いますが、ゲーム以外には手が回らないといったところでしょうか。そのうちゲーム機としての需要に陰りが見られたら、教育ソフトにシフトするのかもしれません。
汎用型ではありませんが、単一機能の電子機器は、小学生向きの雑誌の付録として既に提供されています。例えば、ベネッセが小学生向きに通信教育・家庭学習教材として販売しているチャレンジシリーズには、年に数回電子機器を使った教材が付録に付きます。
小学1年生なら、ひらかなの練習機です。ボードの上をペンでなぞると、正しい書き順ならば「ピンポーン!」、誤りなら「もう一度!」とキャラクターの声で反応します。ボード上に圧力センサーが埋め込まれており、それぞれのかなの書き順に従った順番にオンになるかどうかを、検出しているようです。
学年が進むに従って、より高度な教材になっていきます。まず足し算・引き算の練習機が登場し、九九の練習機や掛け算・割り算の練習機が続きます。それぞれの機能の為に専用に設計されたハードウェアが用意されています。
パームを使えば、これらの機能を1台で賄うことができます。学年が進めば使わなくなるハードウェアは無駄ですし、ソフトウェアで対応するならば、専用のハードウェアをいちいち開発しなくても良くなります。この共通のプラットフォームを使うことによるコスト削減は、より良いソフトウェアの開発を可能にするでしょう。
教育の中でも基本的な部分では、その内容はほとんど変化がありません。例えば、ひらかなの書き方や九九の練習は、今も昔も同じと言えるでしょう。一度優れた教育ソフトウェアが完成すれば、長い間愛用され続ける可能性が高いのです。
しかし、そのためにはプラットフォームが安定して、長期にわたってサポートされなければなりません。新規性や斬新さを競い合う携帯型ゲーム機とは、異なるコンセプトが要求されます。大切なのは、汎用性や信頼性であり、しかも継続的に保たれていることが重要です。
正にパームOSとパーム・ハンドヘルドが活躍できる分野ではないでしょうか?