今日は、四捨五入のお話です。わざわざ説明するまでもありませんが、小学校で習って以来慣れ親しんできた、数字を丸める為の手法の一つです。
ある数字の桁に注目して、4以下なら切り捨て、5以上なら切り上げます。そうすると近いほうの切りの良い数字になりますから、その後の数字の扱いが楽になります。切り捨てる場合と切り上げる場合がありますから、一見最終結果に悪い影響を与える事はなさそうに思えます。
今、90から100までの数字が並んでいます。1の位を四捨五入するとき、四捨五入する前と後で、合計に変化があるかどうかを調べてみましょう。
90 → 90
91 → 90
92 → 90
93 → 90
94 → 90
95 → 100
96 → 100
97 → 100
98 → 100
99 → 100
100 → 100
四捨五入する前の合計は、1045、四捨五入した後の数字の合計は、1050です。
0から9までの数字で、0は切り上げも切り捨ても行われませんから、残りの1から9までの9つの数字で数の増減が起こります。1から4の切り捨ては9から6の切り上げに対応しますが、5を切り上げているのに対応する切り捨てがありません。切り捨てを4回、切り上げを5回行ったので、増加しているのです。
95を切り上げた時の5が合計の増加分になります。1の位の数字に0から9までの数字が出る確率が同じだとすれば、切り上げが必ず多く発生します。
また数字の取り方が5刻みの場合で、(79.5, 80.5,
68.0, 92.5, 84.0)のような場合に、下1桁を四捨五入した場合は、切り捨てがなく切り上げしか行われませんから、明らかに大きくなってしまい結果の妥当性に疑問が生じます。
そこで、5以外はこれまで通りに切り捨て・切り上げを行い、5の場合のみ50%の確率で起こる事によって切り上げるか切り捨てるかを選択する方法が考えられます。例えば、その一つ上の位の数字が奇数なら切り上げ、偶数なら切り捨てるなどの方法があります。(この方法では結果が偶数になりますから、後から2で割る場合などに有効です。)
このように数字を丸める方法を、四捨六入と呼び、測定値の計算などで広く使われています。必ず0から9までの数字が同じ確率で登場するとは限りませんし、母数の分布も傾向があるなど、その場合に応じた方法を採る必要がありますが、四捨五入には結果を少し大きく見せる傾向があるという事は、知っておく必要があります。
数字は一度結果が出てしまうと、途中の計算過程で何が起こっていたかが分からなくなるので、常に計算方法の妥当性に気を配りたいものです。