55日ぶりにJR宝塚線の運行が再開されました。通勤・通学が始まった昨日は、主要駅に報道陣も駆けつけ、空にはヘリコプターが舞い、騒然とした中での再開となりましたが、今日は落ち着きを取り戻し、以前と同じような朝の風景に戻ってきました。
再開された列車の先頭車の状況は、既にGEEKのpanheadさんが昨日報告されておられますので、私の担当は最後尾、車掌室の様子などをご報告させていただきたいと思います。
昨日は、駅の係員も含めて3人がかりで、ホームの停止位置マークを指差しながら「停止位置よしっ!」はいささか大袈裟。そのあとも背広姿の社員が車掌室に乗り込んできて、発車のあとの確認点呼を車掌と一緒に繰り返していました。
「ホーム異常なし!」、「ホーム異常なし!」、「車両状態よしっ!」、「車両状態よしっ!」と繰り返すのは良いのですが、車両から身を乗り出している車掌が確認するのは当然として、車掌室の中にいる背広の社員には車外の様子が判る訳がありません。
取って付けただけの確認点呼では意味がないと思っていたら、早速今日からは背広社員が乗り込むこともありませんでした。報道関係者へのデモンストレーションだと言われても仕方がないでしょう。
最高速度が120Kmから95Kmに制限されたと言っても、それ程遅いと感じるほどではなく、振り替え輸送で使っていた阪急電車に比べると、まだ十分に速く感じます。
今回最高速度を下げたことによって、宝塚・尼崎駅間で2分ほど余分に時間が掛かるようになりますが、これはもともと中山寺駅に快速を停車させるために、無理に圧縮したのを元に戻したに過ぎません。
快速を中山寺駅に停車させたときに所要時間を延長しなかったことが、その後の定時運行を困難にさせた原因のひとつと言えるでしょう。今後、宝塚・中山寺間に駅を新設するという話もあるようですが、同じ過ちを繰り返さないようにしてもらいたいものです。
事故現場を通り過ぎる時は、少し寒気を感じます。カーブに差し掛かり、この辺りで脱線した思われる位置から衝突したマンションまでは、想像していたより距離が長いと感じました。
この距離を先頭車両は地面に触れることなくマンションまで到達したのですから、コースを外れたジェットコースターのようにすっ飛んで行ったのでしょう。
この事故によって、多くの命が失われました。その犠牲のおかげで、これから安心して電車に乗ることができるようになる、という意見も聞かれます。
しかし、果たしてどれほど安全性が向上したのでしょうか?まだ誰も気付いていない危険が、たくさん潜んでいるような気がします。