JR宝塚線の悲惨な事故から1ヶ月以上が過ぎました。もうだいぶ前のことのように感じますが、まだまだ大勢の方々が入院生活を強いられておられますし、亡くなられた方々の無念の思いは弱まることはないでしょう。
JR大阪駅に到着する列車では、運休に伴う振り替え輸送についてアナウンスが繰り返されています。「脱線による事故の為、振り替え輸送を行っております。」と毎日聞いていても、脱線と言う言葉の異様な緊張感を毎回感じない訳にはいきません。
事故が起こった当初は、「速度制限を何十キロもオーバーするなんて、常識では考えられない。」と語る関係者がほとんどでした。しかし、最近のテレビ報道でJRの現役の運転手が、「スピードオーバーで脱線するとは思っていなかった。」とも言っています。
極端な場合、制限速度の倍の速度で走っても脱線はしないと信じていた運転手もいたようです。本来重要な意味を持つはずの制限速度に対して、その捉え方にばらつきがあったことに注視するべきでしょう。
自動車の運転においても、制限速度は常に付きまといます。直線区間の制限速度が、カーブや交差点の近くでさらに制限されることは良くあることです。
もう15年ほど前になりますが、USの地方国道を夜中に走っていた時のことです。日本に比べて路肩が広いため楽に走ることができる反面、周りが真っ暗ですから、道路がどこまであるのかを注意していなければなりませんでした。
センターラインが消えかかっていたため、カーブの手前にある右カーブか左カーブを示す矢印の標識を頼りにしました。矢印の下にはカーブでの制限速度が書かれています。ある所で州境を越えてから、道路はそれまでと同じように続いているのですが、何かが変です。
カーブの途中でブレーキを踏まなければ、カーブを曲がりきれないのです。それまでは、カーブの手前にある制限速度を10マイルぐらい上回っていても大丈夫だったのが、隣の州に入った途端、制限速度まで速度を落とさなければ曲がりきれなくなったのです。
カーブにおける制限速度は、限界の速度にある程度の安全率を加味して決めるものでしょうが、隣同士の州においてさえ、限界速度や安全率の設定に差があったと言うことでしょう。それからは、カーブの制限速度を忠実に守って運転したことを覚えています。
高速道路でトラックやバスが転倒する事故があります。重心が高いこれらの車両は、車線変更のような左右に連続してハンドルを切る動作を急に行うと、いとも簡単に倒れてしまうそうです。
また、ヨーロッパでは高速道路にシカなどの大型動物が飛び出すことを想定して、新型車を認定する時、急激な連続ハンドル操作を伴う「エルクテスト」なるものが課せられています。ベンツのAクラスが当初見事に転倒したそうですが、意外と自動車の限界性能は低いものなのでしょう。
列車がカーブで速度超過で脱線したと言う事実。安全神話が崩壊したと言われています。カーブを曲がりきれなかったという、もっとも基本的な運転技術に未熟さが残っていたのかもしれません。
「脱線はしないものだ」から「脱線するかもしれない」という意識の変化が、重要な意味を持つように思います。
(私もそろそろ振り替え輸送に疲れてきました。)
B3様、コメントをどうもありがとうございました。限界性能は、限界に達しなければ判らないと言うことなのでしょうね。自転車や単車で限界を知るためには、一度限界を超えなければならないわけで、鉄道においてはこれまで限界を超える事がなかったと言うことなのでしょう。限界をミスによって超えないようなシステムの整備は重要ですが、その前に何が限界であるか判っていなかったというのが、今回の事故の本当の原因かも知れませんね。また、コメントをお待ちいたしております。
いつも、記事を読ませていただいております B3 と申します
今回、初めてコメントさせていただきます。
JRの車掌が「脱線はしないものだと思っていた!」 と言う事に
大変驚いています。
普通、自転車でも、単車でも乗ったことあれば、遠心力で吹っ飛ばされる感覚分かりそうなもんだと思ったりするのですが….
##子供の頃ですが、自転車でよく吹っ飛んだり、転んだり、ぶつかったりしていました、免許とってからは単車で….(^^;
そこに見えている危険を身体が察知しないって、とても怖いことです。
あと、ご存知かとは思いますが、カーブの最中にブレーキ踏むととっても危険です(^^;;
単車ではよくカーブの最中にブレーキ操作を誤って外側へ放り出されるこてます(レースなんかじゃしょっちゅうです)
お気をつけください(そんなに飛ばさないですよね(^-^;)
振替輸送ご苦労様です、本当に大変だと思います、福知山から
大阪市内に通っている知人は、もう挫けそうだと申しております。