180.サザン・オールスターズとポートアイランド (2003/08/23)

今日と明日、サザン・オールスターズが神戸のポートアイランドで、野外コンサートを開きます。各日7万人ずつの観客動員数を予想しているそうですが、2000人の警備員や数百人の警察など、かなり厳重な警備体制で臨んでいるようです。


あまり神戸地域で、これほどの規模のイベントが行われたことはないので、いったいどれぐらいの警備が必要であるのか、判らないことも多いようですが、明石の事故の後、兵庫県下で催されるイベントには慎重を期しているようです。


特に、交通の面でポートアイランドはネックがあり、ポートアイランド大橋神戸港港島トンネルしか陸地とつながっていないため、一旦渋滞が起こり始めると大問題になります。8年前の神戸大震災において、埋め立て地への交通手段が寸断される事の重大さがクローズアップされ、その後新たにトンネルを掘った経緯があります。


ポートアイランドの公共交通手段で主要であるのは、新交通システムであるポートライナーですが、7万人が一度に集まるイベントになると、増便してフル稼働しても、その3分の1の人数しか運ぶことが出来ないそうです。


今日は、全く別のイベントでポートアイランドを訪れていたのですが、事前の交通に対するアナウンスが効いていたのか、シャトルバスやポートライナーで、時間を早めて訪れた人が多かったためか、それほど多くの混乱もなかったように見えました。あるいは、40分かけて最寄りの鉄道駅から徒歩で、会場に向かう人が多くおられました。


ただ、トイレの数が足らなくなるようで、コンサート開始1時間前にポートピアホテルのロビーでは、30メートル程の行列が婦人用トイレの前に出来ていました。


頻繁にシャトルバスが往復していましたが、自家用車の数を、駐車場の予約制によって制限した甲斐もあって、ほとんど渋滞していませんでした。


このようなイベントで、交通手段を計画することの難しさ、緊急時の対策など、ビッグなエンターテイナーのイベントを開催するのは、完璧を期して用意周到に事を進めなければならないものだと実感しました。

179.コダックが写真から撤退?(2003/08/22)

日経BizTechに、「米コダックが事業転換、写真から商業用印刷へ◇ロイター」という記事が掲載されています。規模の縮小が続いている、消費者用写真事業から、商業用印刷事業にシフトして行こうということです。


コダックと言えば、カラーフィルムの発色世界七不思議のひとつに数えられていたことを、懐かしく思い出される方も多いのではないでしょうか?


まだ、日本製の製品がアメリカを追いつけ追い越せといっていた時代に、コカコーラの味と並んで、コダカラーフィルムの発色のすばらしさは、なかなか追いつけないように思えたものです。


その後、日本製のフィルムの性能が飛躍的に向上し、コダックは輝きを失ってきていましたが、ついに写真事業のリストラを決断するまでになったようです。どれぐらいの時間をかけて縮小していくのかは判りませんが、一つの時代が去ったと言うことなのでしょう。


ネガカラーフィルムでは、日本の市場ではフジフィルムが一番高く売られ、コダックはプライスリーダーになれなかったのですが、数年前のUSでは、コダックが一番高く売られていたと思います。しかし、USのハイアマチュアの中には、フジのベルビアのような鮮やかな発色を好んで使う人が増えてきていました。


コダックのフィルムといえば、その現像プロセスの複雑さに特徴がある、リバーサルカラーフィルムのコダクロームが代表です。フィルム乳剤中に色素を持たない外式と呼ばれ、色素を乳剤中に持つエクタクロームや、フジフジクロームコニカコニカクロームなどとは一線を画しています。


外式の現像作業は、色素を注入するために潜像の反転作業が必要になるため、現像中に露光作業をしなければなりません。その複雑なプロセスの為、日本では2カ所の現像所しかコダクロームを処理できないと聞いたことがあります。


特に、コダクローム25(ISO25)の渋めの発色と、驚異の粒状性は人気がありました。プロのカメラマンが風景写真を撮影するときは、引き伸ばし時の耐性を考えて、大判中判カメラを使いますが、唯一コダクローム25と35mm一眼レフカメラの組み合わせは、プロの要求に耐えることができました。


また、白黒フィルム傑作といえば、Tri-X(ISO400)がありますが、このフィルムとD-76という現像液の組み合わせは、正に白黒現像の世界標準として何十年と君臨してきました。白黒フィルムには、多くの現像処方が存在していますが、そのほとんどがコダックの処方であったり、その変形であったりして、世のカメラマンが多くの作品を残すことに貢献してきたのです。


写真の起源は、銅乾板を使ったフランスタゲレオ・タイプであると言われていますが、まだ100年少ししか経っていません。最初一部の金持ちの道楽であった写真を、一般大衆娯楽文化、あるいは芸術にまでなっていった過程で、コダックの果たした功績は偉大であったというべきでしょう。


これから、写真はますますデジタル画像化していきますが、コダックが写真分野に残してくれた財産を大切にしていきたいものです。

178.EOS Kiss Digitalを分析する (2003/08/22)

キャノンが8月20日に、普及型デジタルAF一眼レフカメラの新製品である、「キヤノン EOS Kiss Digital」を発表しました。9月20日から発売するそうです。


注目すべき点としては、その販売予想価格が12万円であること、実績のあるEOS Kissシリーズの特徴を継承していること、専用レンズが開発されセット販売で提供されることなどでしょう。


キャノンのプレスリリースを見ると、これまで提供してきたプロ用ハイアマチュア用に加えて、今回のデジタルAF一眼レフカメラの普及機を追加することによって、デジタル一眼レフのラインアップを完成させることになるとしています。


これまでのフィルムを使った一眼レフのユーザーや、コンパクトデジタルカメラからのステップアップを図るユーザーを、取り込もうとしているようです。本格的なデジタル一眼レフを、手の届く価格で提供するという意図は、十分に理解できます。キャノンは、過去にもAE-1で5万円ポッキリという、AE一眼レフカメラの価格破壊(死語)を起こしてきましたし、両優先AEのA-1Kissシリーズでもプライスリーダーを長年務めてきました。


基本的にフィルム式の一眼レフシリーズと同じレンズマウントであるキャノンEFマウントを採用しており、すべての既存のEFレンズ群を装着することができます。35mmカメラの焦点距離の1.6倍のレンズとして使うことができます。しかし、35mm用のレンズは不必要に大きいため、専用のレンズが有利であることは間違いありません。


そこで今回同時に、ショートバックフォーカスの専用レンズが発表されました。APS-Cサイズの撮像素子に合わせて、より小さいイメージサークルに対応させた、EF-Sという規格のレンズです。


ショートバックフォーカスは、レンズ後玉と焦点面の距離が、今までの一眼レフより短いものを指しますが、撮像素子の大きさに合わせてレンズ自体も小型に作ることができます。このショートバックフォーカスに合わせて、クイックリターンミラーも小さく作られているのでしょう。


このあたりは、既存のEFレンズが使えるとは言いながら、やはりイメージサークルの小さいレンズの優位性も捨てられないというジレンマを感じさせます。大量のEFレンズを保有するEOSユーザーを、無理なくデジタル一眼レフに導くといった意図があるのでしょう。オリンパスが、あっさり、フォーサーズというまったく新しい規格に移ったのとは対照的です。


これまで一眼レフを愛用してきたユーザーに、デジタルカメラの優れた特徴を体験してもらうためには、EOS
Kiss Digitalは最適でしょう。しかし、撮像面のサイズが変わったということは、マウントやボディに大きく影響しますから、光学系だけでもまったく新しい設計にしなければ、本当の性能を追求することはできません。


今回の製品発表で、デジタル一眼レフのラインアップが完成したといっていますが、これはあくまで、銀塩フィルム式からデジタル式への、移行段階のものだと思われます。


銀塩フィルム時代のカメラは、ファインダー系に重点を置いた設計をしてきました。しかし本来、デジタルカメラとして、その本領を発揮するのは、撮像素子画像処理系に重点を置いた、新しいコンセプトのカメラが開発されなければならないと思います。もはやファインダーは、画像処理系の一部としての意味しかなくなってくるでしょう。


ファインダーを設計の中心にしてきたこれまでのカメラの考えから脱却し、デジタルスチールカメラの特徴を理解し、新しいカメラの理想を追求出来るカメラメーカーが、これからのデジタルカメラ時代をリードしていくものと思われます。

177.感染症拡大中 (2003/08/21)

一昨日、会社のパソコンが感染しました。亜種と言われているやつです。これまで、Windows NT4.0(古い!)だったパソコンを、Windows XPにアップグレードしたとたんでした。


XPにしてから、ユーザー設定を確かめていた時に、ノートンウィルススキャンリアルタイムスキャンのエラーメッセージが出ました。NTの時には、最新のパッチを常に当てていたのですが、XPのアップグレードのCDは、最新のパッチの対応しておらず、アップグレードしたとたん脆弱性を露わにしてしまったようです。


そういえば、以前テレビの番組でお医者さんが、「人間が出すすべての液体は、感染性物質であると考えなくてはならない」と言われていたのですが、ネットワークにつながったパソコンにとっては、すべてのダウンロードされたデータソフトウェアメールは、感染性物質であると考えなければならないと言うことでしょう。


本物のウィルスも、最近は以前より増して繁殖してきているようで、エイズなどは若者の間ではかなりの勢いで蔓延して来ているそうです。人間もコンピューターもネットワーク時代になり、ますます感染症に対する心構えが必要になっているはずですが、実際の対応はかえってお粗末にさえなってきています。


Windowsの脆弱性が問われ初めてかなり時間がたちますが、一向に収束する気配さえないのは、脆弱性と言うよりもとから無防備であったと言うことでしょう。そろそろマイクロソフトも、根本的な対策を講じる振りでもしなければ、愛想を尽かされるかもしれません。


未来を描いた映画などでは、細菌戦争核戦争世界を滅ぼすものとして想定されているものが多いですが、パソコンやサーバーのコンピューターの世界を滅ぼすのは、コンピューター・ウィルスワームであるのかもしれません。


と言うか、いい加減攻撃されてから塞ぐのはやめて、すべての可能性のある脆弱さを、予め塞ぐことは出来ないものでしょうか?>B.G.様

176.エブリデー・ロー・プライスは定着するか? (2003/08/21)

日経ビジネス8月18日号の「ケーススタディー ―西友改革」というタイトルで、日本に進出するウォールマートのCEOのインタビュー記事が掲載されています。この中で、日本の競合する流通業との比較をしながら、ウォールマートの戦略について解説されています。


ウォールマートでなんと言っても有名なのは、EDLPと略される「エブリデー・ロー・プライス」というポリシーです。一定期間だけ安売り(セール)をするというのではなく、毎日最低価格で販売するというものです。他店より高い場合、広告を持参すれば差額を返却してくれる最低価格保証もあります。


毎日が最低価格でありますから、セール品やバーゲンなどもありません。目玉商品としてのセール品売れ残りの在庫処分などは、赤字覚悟でやる場合が多く、また商品の入荷量も大きく変動しますから、流通と製造の業者にとって望ましいものではありません。年間を通じてコンスタントに売る方法があれば、それに越したことはありません。


また、USでは返品にほとんど無条件で応じることが要求されますから、セールで同じ商品の値段を上げ下げすることによって、返品が増えるということも起こります。


同じような販売方針を持っているホーム・デポでも、セールは一切しません。ホームセンターという、あまり商品の入れ替わりがない業界ですから可能になるのでしょうが、定番商品を一年を通じて安定的に供給することによって、仕入れ価格を抑えようとしています。


買う側の立場でも、いつも同じ価格体系であったほうが安心できますし、セールで買いに行ったついでに余計なものを買ってしまうこともありません。


ところで、USのスーパーでの話になりますが、実際セール品を買う人は、ついでに何かを買って帰ることが多いそうです。あまりの安さに、それだけを目的に買い物に来たけれど、ひとつだけではレジに並ぶのがかっこ悪いか、あるいは物足りないのか、もうひとつ何かを買ってしまうそうです。


そのとき、セール品を買った人が、ついでに何を買ったかの統計をとってみると、意外なものがよく売れてたりするそうで、トイレットペーパーのセールでは、ビールが同時に売れやすいなどの傾向があったそうです。


そこで、セール品のトイレットペーパーの横に、ビールの箱を積み上げておくと、さらに売り上げが伸びたという話です。


さて、ウォールマートが進出した町では、競合相手であるKマートや、ハードウェアストアが撤退していきました。セールに頼った販売方法より、エブリデー・ロー・プライスに軍配が上がったということでしょうか。日本に、西友と組んで本格的に進出するウォールマートは、その販売戦略を日本で定着させることができるでしょうか?