176.エブリデー・ロー・プライスは定着するか? (2003/08/21)

日経ビジネス8月18日号の「ケーススタディー ―西友改革」というタイトルで、日本に進出するウォールマートのCEOのインタビュー記事が掲載されています。この中で、日本の競合する流通業との比較をしながら、ウォールマートの戦略について解説されています。


ウォールマートでなんと言っても有名なのは、EDLPと略される「エブリデー・ロー・プライス」というポリシーです。一定期間だけ安売り(セール)をするというのではなく、毎日最低価格で販売するというものです。他店より高い場合、広告を持参すれば差額を返却してくれる最低価格保証もあります。


毎日が最低価格でありますから、セール品やバーゲンなどもありません。目玉商品としてのセール品売れ残りの在庫処分などは、赤字覚悟でやる場合が多く、また商品の入荷量も大きく変動しますから、流通と製造の業者にとって望ましいものではありません。年間を通じてコンスタントに売る方法があれば、それに越したことはありません。


また、USでは返品にほとんど無条件で応じることが要求されますから、セールで同じ商品の値段を上げ下げすることによって、返品が増えるということも起こります。


同じような販売方針を持っているホーム・デポでも、セールは一切しません。ホームセンターという、あまり商品の入れ替わりがない業界ですから可能になるのでしょうが、定番商品を一年を通じて安定的に供給することによって、仕入れ価格を抑えようとしています。


買う側の立場でも、いつも同じ価格体系であったほうが安心できますし、セールで買いに行ったついでに余計なものを買ってしまうこともありません。


ところで、USのスーパーでの話になりますが、実際セール品を買う人は、ついでに何かを買って帰ることが多いそうです。あまりの安さに、それだけを目的に買い物に来たけれど、ひとつだけではレジに並ぶのがかっこ悪いか、あるいは物足りないのか、もうひとつ何かを買ってしまうそうです。


そのとき、セール品を買った人が、ついでに何を買ったかの統計をとってみると、意外なものがよく売れてたりするそうで、トイレットペーパーのセールでは、ビールが同時に売れやすいなどの傾向があったそうです。


そこで、セール品のトイレットペーパーの横に、ビールの箱を積み上げておくと、さらに売り上げが伸びたという話です。


さて、ウォールマートが進出した町では、競合相手であるKマートや、ハードウェアストアが撤退していきました。セールに頼った販売方法より、エブリデー・ロー・プライスに軍配が上がったということでしょうか。日本に、西友と組んで本格的に進出するウォールマートは、その販売戦略を日本で定着させることができるでしょうか?