さて、人間でも長寿の方の健康法には見習わなければならないことが多々ありますが、これが樹齢3000年のジャイアント・セコイアとなれば、たとえ相手が樹木であろうと長寿の秘訣を知っていて損はないでしょう。
マリポサ・グローブの森の中には、トレイルを歩く人がジャイアント・セコイアについて知識が得られるように、解説の書かれたパネルがいくつかあります。その中の一つに、「セコイアの中にも生命力の強いものと弱いものがあり、強いものだけが生き残ってきた」、と書かれていました。
確かに今もそびえるセコイアのそばに、朽ちて倒れてしまったセコイアの木がいくつもありました。そして、その解説パネルには「倒れた木を調べてみると、その樹皮に違いがあった」、と書かれていました。
木には、内部に色が濃い心材(Heart Wood)、俗に言う赤身と、周辺部の色が薄い部分(Sap Wood)、俗に言う白太(しらた)があります。
赤身の部分は、活動を止めた細胞からなり、樹脂を含み強度があります。樹木全体を支える骨の役割をしています。木材として使う場合は、利用価値の高い部分です。
白太の部分は、根から吸い上げた養分を樹液として葉まで行き渡らせるための導管があり、樹脂を含まず生きた細胞によって出来ています。木材としては収縮が多く虫が食いやすいので、利用価値の低い部分です。
白太の外側には、細胞が1層だけの厚さになった形成層(Cambium)があります。まさに細胞分裂をして成長している部分です。細胞分裂によって白太や樹皮を形成していきます。
形成層の外側には樹皮(Bark)が有り、生きた細胞でできた内部樹皮(Inner Bark)と死んだ細胞でできた外部樹皮(Outter Bark)があります。
人間でも風邪を引かないように乾布摩擦で皮膚の鍛錬をしたりしますね。樹木にも同じことが言えるそうです。
倒れてしまったセコイアの樹皮を調べると、倒れていないものに比べてタンニンの量が少なかったそうです。タンニンと言えばお茶に含まれる成分として良く知られていますが、タンニンが樹皮の中に少ないと、病気や害虫から樹木を守ることができなくなるそうです。
樹皮がジャイアント・セコイアの生命を、2-3千年もの間守って来たのです。私たちも、これから寒い季節がやってきますが、皮膚の鍛錬でもして、タンニンの強いお茶でも飲むとしましょうか。