554.CMSについて考える5: BlogからCMSへ (2005/11/08)

Blog (Web Log)が広く受け入れられた理由のひとつに、ネーミングによってユーザーに使い方を提案したことが挙げられると思います。


「HTMLエディター」より「ホームページビルダー」の方が、目的が判りやすいのと同じです。


個人的な記録をBlogで毎日手軽に残せる事によって、多くの人たちがインターネットの情報提供者になり得たのです。


一方、CMSは機能を表したネーミングであるため、それによって何ができるかが判りにくいようです。企業などが持つ大規模なサイトを管理するためのツールとして生まれましたから、味気のない名前になったのでしょう。企業向けCMSと言えば、ソフトウェアのパッケージが100万円もするような大規模なものが多いようです。


大勢の担当者が一斉にひとつのサイトに含まれるコンテンツを更新し、保存すると同時に更新の承認権限のある人に対してメールを自動的に送ったり、コンテンツのバージョンコントロールを自動的に行うなどの機能が、標準で装備されています。


個人のサイトでも管理対象となるファイルが多くなってくると、なかなかメインテナンスが大変になってきます。コンテンツが少ないうちはBlogで十分だとしても、多くなるに従ってCMSに移行する必要が出てくるかもしれません。


前回ご照会したZOPEにploneというソフトウェアを追加すると、ZOPEのCMS機能にさらに強力なマネージメント機能を追加することができ、企業サイトの管理システムに近いものが実現できます。


このように、CMSはモジュールを追加することによって新たな機能を追加することができるものが多く、必要に応じて拡張することができます。


将来的には、データベース管理画面などの基本となるCMSエンジンに、サイトごとに違ったモジュールを追加して、コンテンツ管理システムを組み立てていくようになるでしょう。


その中の機能のひとつとしてBlogも提供され、後に機能を拡張する場合でも既存のデータの移行を伴わずに、シームレスに行うことができるようになるのではないでしょうか?


サイトを設置するサーバーにCMS環境が構築され、誰にでも失敗なくCMSによるサイト管理が可能になるのも、それほど遠い話ではないように思います。


そのときはCMSに、一般受けするもっとインパクトのあるネーミングが必要になるでしょうね。今から考えて、商標登録とドメイン取得でもしておきましょうか!

553.CMSについて考える4: CMS導入における問題点 (2005/11/07)

Blogは、今やサイト管理ツールの筆頭として、押しも押されもしないスタンダードなものとなってきました。しかし、Blogは本来日記などの作成に適した設計になっているため、適応するサイトの内容によっては、Blogと違った趣旨で開発されたツールを必要とする場合もあるでしょう。


あるいは、Blogをさらに進化させたサイト管理ツールを採用したいとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。あまりにもポピュラーになってしまったBlogでは面白くないとか、Blogの機能では物足りないと思われている方もいらっしゃるかもしれません。


これらの場合、CMS (Contents Management System)と呼ばれるツールが候補となるわけですが、Blogとは違って、今はまだなかなか環境が整っていないようです。


Blogでも、無料ポータルサイトなどがすべての環境を整えて提供しているものと、自分でサーバーに何らかのツールを導入しなければならないものがあります。前者は、BloggerYahoo Blogがありますし、後者にはMovableTypesbがあります。


自分で導入しなければならないタイプだと、サイトを構築するレンタル・サーバーの環境によっては実現不可能な場合もありますから、事前に調査しておく必要があります。サーバーのプロバイダーが、そのツールの導入をサポートしている場合は、間違いなく実現できるでしょうが、そうでない場合はサーバーの環境を事前に調査しておく必要があります。


注意しなければならないのは、データーベース、使用言語、HTTPサーバーの3点です。前回ご照会したリンクには各種のBlogとCMSが必要とするサーバー環境が表になっていますから、BlogやCMSを使うに当たって予め何を導入しておかなければならないかを知ることができます。


サーバー側のソフトウェアもフリーのものが多いですから、もし足りない場合でもインストールすることは不可能ではありません。しかし、1台のサーバーを占有している場合はともかく、共用サーバーの場合は勝手に導入できないソフトウェアもありますから注意が必要です。


CMSとして人気があるのは、日本語環境が整備されているXOOPSZOPEなどです。このサイトがあるさくらインターネットのレンタルサーバーでは、データーベースのMySQLがスタンダードプラン以上サポートされており、XOOPSの導入マニュアルも用意されています。


しかし、ZOPEを導入しようとすると、データーベースにZOPE独自のものを内蔵していて制約を受けないのは良いのですが、HTTPサーバーも独自であるためDAEMONとして立ち上げておかなければなりません。レンタルサーバーでは、DAEMONの設置が禁止されていることがありますから、注意が必要です。


今の現状では、CMSをレンタルーサーバーで動かすには、さまざまな制約があるようです。海外のレンタルサーバーではCMSの利用が多いためか、CMSの環境を整備したレンタルサーバーが数多くあるようですから、これから徐々に国内のレンタルサーバーでも、環境が整ってくるのではないかと思われます。


ただ、CMSごとに必要とする環境が異なっていますから、BlogにおけるデファクトスタンダードとなったMovableTypeのように、多くの支持を受けるCMSが登場するのを待たなければならないかもしれません。


今後Blogに代わるサイト管理ツールとして、CMSが脚光を浴びることでしょう。

552.CMSについて考える3: BlogとCMSの相違点 (2005/10/31)

そもそも、Blogコミュニケーションの為のツールであると定義するところから、誤解が生じて来るようです。


Blogを使ったサイトがさらに進化していくと、もっと優れたコミュニケーションの手段が必要になり、それを実装したツールが、Blogに取って代わる次世代のサイト構築ツールになると考えがちです。SNSツールが、次世代のウェブツールの主流になると予想されていたとしても不思議ではありません。


確かに、HTMLを直にコーディングしたサイトと比較すれば、Blogコメントトラックバックなどのコミュニケーション機能に特徴を持っています。しかし、Blogが持つコミュニケーションの機能だけを将来にわたって拡張していけば、さらに優れたウェブツールになるかと言えば、そうとも言い切れません。


つまり、Blogがこれほどまでに広まってきたのは、優れたコミュニケーション機能を持っていたからだけでなく、Blogのコンテンツ管理ツールとしての利便性が受け入れられたからではないかと、考えられるようになってきました。


現在では、BlogCMS (Contents Management System) を区別せずに、BlogをCMSのひとつの形だと見なす場合もあるようです。


よく引き合いに出されるのは、もう一年以上前のものですが、ITmediaの「主要Blog、CMSツール機能比較(2004年7月版)」と言う記事です。BlogとCMSの言語やデータベースを一覧表にしていますが、特に日本語環境の程度を記載しているところがありがたいです。


ここでもBlogとCMSのどちらに分類されるか困難なツールがあると書かれていますが、BlogとCMSの違いを次のように定義しています。



Blog
日常の備忘録の為のツールで、トラックバックやping機能を持つ。
CMS
サイトのコンテンツをモジュールごとに管理して、ページ上の配置やコンテンツをGUIメニューで変更する機能を持つ。

Blogはデーターベースによってコンテンツを管理し、ウェブ上で利用可能なcgiによってコンテンツの管理やレイアウトの修正を行うことができます。また、サイト内のページ間リンクや、日付順・テーマ別のインデックスを自動作成する機能は、正にCMSそのものと言って良いでしょう。


このことから、コメントやトラックバック機能は、CMSが提供する機能の一部であると考えられるようになってきました。実際、ほとんどの大規模CMSには、これらをサポートするモジュールが装備されているようです。


Blogが今後どのように発展していくかを考える時、CMSという枠組みの中で捉えることが重要になって来るでしょう。

では次回は、もう少しCMSについて勉強してみたいと思います。

551.CMSについて考える2: ソーシャル・ネットワーキング・サイト (2005/10/29)

サイトの作成者がすべてのコンテンツを作っている場合に較べて、Blogの場合はコメントやトラックバックによって、コンテンツにサイト作成者以外のよるものが含まれてきます。


どれぐらい活発に投稿されるかによってその割合は異なってきますが、コメントが全体の数%から数十%になることは珍しくないでしょう。そして、コメントが全体のコンテンツの50%を越えた辺りから、サイトの性格に変化を来します。


すなわちサイト作成者は、全体のコーディネートをすることが中心となってきて、多くの人の様々な意見がサイトの大勢を占めるようになってきます。個人の日記であるBlogから、コミュニティー・サイトの意味合いが強くなってきます。


Blogが急速に広まった時、次に訪れる波がコミュニティーのためのウェブ・ツールになると予想されていたのも当然かも知れません。


一般にソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)と言われる場合、会員による紹介でなければ参加できないものを指すようです。ですから、USではソーシャル・ネットワーキング・サイトと出会い系サイトが、同じ意味で使われている場合も多いそうです。つまり最後はデートがあると。


MovableTypeは、Blogにおけるデファクト・スタンダードとなりつつありますが、同様にソーシャル・ネットワーキング・ツールとして、XOOPSが注目を集めていました。ただ、XOOPSにはサイトを管理するための機能が充実しているため、どちらかと言えばコンテンツ・マネージメント・システム(CMS)として分類されているようです。


一方、Yahoo GroupGoogle Groupにように、完全に仲間内のコミュニケーションに特化したサービスが広まってきました。これらはポータルサイトから無料で利用することが出来、意見やスケジュールを共有することが可能です。又、メーリングリストもその機能の一つとして提供されています。


今後、ソーシャル・ネットワーキング・サイトとしては、Groupというツールが主流になるのではないでしょうか。会員が新しい仲間を招待したり、過去のメーリングリストを掲示板のスレッドごとに表示する機能などが装備されています。


次第にソーシャル・ネットワーキング・サイトとGroupが同一のものと見なされ、これ以外のサイト作成ツールはBlogかCMSのいずれかに分類されていくのでしょう。


それでは、次回はBlogとCMSの相違点を考え、CMSにはどのようなものがあるかを、探していきたいと思います。

550.CMSについて考える1: HTMLエディターからBlogへ (2005/10/27)

当サイトが、Blog(ウェブログ)ツールのひとつであるMovableTypeを採用してから、約1年が経ちました。まだ、十分にその機能を使いこなしているとは言えませんが、これまでに使用して感じたBlogのメリット・デメリットと、今後の個人サイト運営におけるツールのあり方を少し考えてみたいと思います。


この数年でパーム・コミュニティーはもちろんのこと、個人サイトに限らず芸能人や企業サイトでも、Blog(ウェブログ)はもっともポピュラーなウェブ・ツールになったと言えるでしょう。今新しくサイトを開設する場合には、まずBlogを第一候補に考えるのではないでしょうか?


始めからBlogをサポートした無料ウェブスペースもたくさんありますし、有料レンタル・サーバーでもBlogが予めインストールされているところが少なくありません。


以前から個人サイトを始めて持とうとする人に対しては、テンプレートを使った簡易サイト作成ツールがプロバイダーなどから提供されていましたが、今ならその簡易ツールそのものが、Blogの構築ツールであることが少なくありません。


考えてみれば、Blog以前にはクライアント・ツール(パソコン側で実行するプログラム)として、ホームページビルダーに代表されるHTMLエディターが中心でした。パソコンにバンドルされていたソフトウェアを使って、サイトオーナーの仲間入りした方も多いのではないでしょうか?(実は私もその一人です。)


これらのソフトウェアは、HTMLのタグを覚えなくてもHTMLファイルを作成することができたり、用意されたテンプレートによって、デザインを簡単にカスタマイズできるところに、主眼が置かれていました。


ですから、1ページずつHTMLファイルを作っていくのには便利なのですが、ページ数が増えてサイトが複雑になってきたときに、それを効率的に管理するのはあまり得意ではありませんでした。


また、個人サイトとして重要な機能であるコミュニケーションの機能が、クライアントで実行するツールであるために、うまく取り込むことができませんでした。


これらのソフトウェアにも、掲示板アンケートを実現するツールが用意されていましたが、クライアントだけでは実現できない部分があり、サーバー側のツールとの連携が必要でした。そのため制限が多く、初心者には使いやすいとは言えなかったのです。


そこで、Blogが登場してきます。BlogがHTMLエディターと大きく異なるのは、サーバー側で実行されると言うことです。


HTMLエディターの場合、クライアントでサイトの内容(コンテンツ)を全て作りこみますから、そこにクライアントの外から変更を加えることは不可能です。


しかし、サーバーで実行される場合は、サーバーにアクセス可能ならば、制限された範囲内で誰にでも更新が可能になります。サイトの構築手段が、HTMLエディターからBlogに移り変わっていったことによって、サイトが持つコミュニケーション能力が格段に高まりました。


コメントトラックバックによって、多くのユーザーやサイトが有機的に結びついたのは言うまでもありません。Blogは、実行する場所をクライアントからサーバーに移すことによるメリットを、十分に生かしていると言えましょう。


さて、Blogの爆発的な広まりを見て、さらにコミュニケーション機能を拡張することによって、コミュニティ型サイト、つまりSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)が、Blogの次にブームになると考えられました。


そこで、次回はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)について、考えてみたいと思います。