日経エレクトロニクスの最新号に、2画面特許の記事が載っています。携帯電話やPDAは言うに及ばず、ノートパソコンやDVDプレーヤーまで、その対象に含めてしまうような特許です。
この特許の内容は、WEB上で”2画面特許”で検索すれば出て来ますが、その特許の内容と共に、出願の歴史も重要になるようです。
この特許が、日本の有力メーカーによって、無効にされるのか、あるいはこの特許に屈してしまうのか、これから注目していきたいと思いますが、日経エレクトロニクスの記事を読んでいて、2つほど疑問が起こりました。
この特許は、全文修正を行っています。確かに修正は、最初の出願時である1992年の出願の範囲を超えなければ、できると言うことになっています。2画面と言う言葉を、最後の全文修正時に請求項に入れたようですが、この出願の範囲を超えるかどうかは、たとえ2画面という言葉で、物事を限定する場合でも、実際の社会に於いては、2画面という言葉によってより広く解釈できるようになる可能性があると思います。
本来、PDAを想定していたと思われる、ペン入力デバイス(ニュートンの発表の時期と一致する)の記述があったのを、全文修正を繰り返す間に、2画面と言う言葉にすり替わっている様ですが、これほど内容が変わる、ましてや対象にする機器を変えるような修正が、1992年に遡って適応されるなど、あり得る事なのでしょうか?
使う言葉が代わる場合、それによって範囲が狭められるか、逆に広がるかは、状況によって変わってきます。修正をする場合、もっと厳格な制限を設けるべきだと思います。
書面を十分準備する時間がない場合でも、出願できるようにすると言う趣旨も分かります。しかし、それを良いことに、書面作成のテクニックと称して、一般常識から外れたアンフェアなやり方が、まかり通っているのではないでしょうか?
もう一つの疑問は、担当の弁理士が、全文修正を入れたときに、「既に多く出回っていた2画面付きの携帯電話を見て、思い付いた」と語っていることです。このことは、現在普及している物を、過去に遡って特許請求できると言うことを、弁理士自ら証明している事になります。
そのようなことを公言した特許が、このまま生き続ける事ができるのでしょうか?実に面白い特許事例になるでしょう。6月に特許公開されるそうです。