実は、この特集は前回で終わっていたのですが、日経ビジネスの5月8日号にインドの特集記事が掲載されていましたので、少しその感想を書かせていただきたいと思います。
記事の趣旨は、「経済・産業分野でインドが新しいブームになりかけているが、中国や他のアセアン諸国と同じように考える事は危険である」と言うことでした。
社会の近代化やインフラの整備が急速に進む中国に較べて、インドはすべての進化が思っているほど速くはないため、中国に進出した時と同じ方法は使えないと、安易なインド進出の危険性を指摘しています。
カルスト制度が、一部では弱まってきているとは言え根深いものがあり、ニューインドとオールドインドの差が激しいこと、また本来資本主義であるインドにおいて発展していなかった産業を興そうとすることは、社会主義である中国が市場経済に移行するよりも、かえって困難であるとしています。
また、インドを英国が統治していたこともあって、全般的にアジアよりもヨーロッパ指向である為、概ね親日的だとしても、日本とインドがお互い理解し合えるパートナーになるためには、時間がかかるのではないかということでした。
インドから見ても、日本よりヨーロッパが地理的にも近く言葉の障害も少ないですから、何もわざわざ日本の企業と組まなくても良いと考えるでしょう。
インドの人件費が安いことに目を付けて、成長著しいITの分野でインドの企業と手を組もうとしても、うまく行かない事が多いそうです。ソフトウェアの外注先として開拓したとしても、日本国内向けのソフトウェアの仕様書が日本語であるため、翻訳作業や開発の作業指示を出すための労力が多大になり、コスト的なメリットを打ち消してしまうようです。
実際、インドの人たちと仕事を始めてみると、顧客が仕様書として作成した日本語のエクセルファイルの翻訳作業が大変で、ファイルを送るたびに丸1日作業が遅れていくのは確かに無駄です。ファイルに少しでも日本語フォントが残っていると、受け取った先では日本語の部分が文字化けするだけでなく、ファイルサイズが0バイトと表示されてしまうことがあり厄介です。
単にすべての文字をアルファベットにするだけでなく、フォントも欧米文フォントに変えておかなければならないそうです。インターネットで調べてみると、「パソコン便利ツール集」というサイトの「海外にEXCEL・WORDなどの英文資料を送る場合の注意」というページに詳しく説明されています。このサイトには、他にも有用な情報がたくさんありますので参考になります。
さて、インド人との共同作業も準備段階がようやく終わって、そろそろ本格的な作業が始まりました。行き交うエクセルファイルも増えてきました。既に翻訳作業に悲鳴を上げそうになっておりますが、果たして今回のプロジェクトはうまく行くでしょうか?